■クリスマスの絵本



クリスマスの絵本たちは、手にとるだけでワクワク♪
感動的で美しい絵本は、クリスマスギフトにもぴったりです。



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「クリスマス・イブ」

「クリスマス・キャロル」

「クリスマス人形のねがい」

「クリスマスまであと九日 セシのポサダの日」

「くるみ割り人形」

「賢者のおくりもの」

「サンタ・クロースからの手紙」

「ターシャ・テューダーのクリスマス」

「ちいさな曲芸師バーナビー」

「もうすぐゆきのクリスマス」

「モミの木」

「山のクリスマス」

「リサとガスパールのクリスマス」

→まだまだあるよ!クリスマスの絵本

→「The Night Before Christmas―特選クリスマスの絵本―」



「クリスマス・イブ」

マーガレット・ワイズ・ブラウン 作/ベニ・モントレソール 絵/矢川澄子 訳
(ほるぷ出版)
クリスマス・イブ
クリスマス・イブの夜、眠れない四人の子どもたち。みんなで居間のクリスマス・ツリーを見に行って、ねがいごとをしようと、ベッドを抜け出します。
窓の外は、雪。階段には、ひいらぎの赤い実や、緑の葉が飾り付けられて。子どもたちは、居間の中に入ると、暖炉の残り火にきらめく、みごとなクリスマス・ツリーを前に、しんと黙って身動きもできませんでした。
そのとき、しんしんとふる雪の中から、歌声がきこえてきました…「きよし このよる ほしは ひかり」…。

『クリスマス・イブ』は、「おやすみなさいおつきさま」等の絵本で有名な、マーガレット・ワイズ・ブラウンの遺作です。
クリスマス・イブの夜、眠れずにベッドから抜け出した、四人の子どもたちの目をとおして、クリスマスの神聖な雰囲気、雪の夜の静けさと美しさを描いた一冊。
オレンジ色の下地に、ぬくもりのあるやさしい線画、そこに黄色でアクセントをつけた、クラシカルな絵。
クリスマス・ツリーの絵がことに見事で、暖炉のまえにつるされた靴下や、ツリーのまわりに並べられたプレゼントなど、たしかに「まるで まほうが ほんとうになったみたい」に、美しいです。
しんしんとふる雪の中から聞こえてくる聖歌のうたごえに、窓辺で子どもたちが耳をすます様子…読者の耳にも、きよらかな調べが、遠くから響いてくるよう…。

さて、夜中にこっそり起き出した四人の子どもたちは、目の前にある靴下やプレゼントの包みに、手を触れることができませんでした。それは無言のうちに、クリスマスの神聖な雰囲気を、感じとったから。
クリスマスは、救い主、幼子イエスの誕生を信じる人々にとって、何よりたいせつな行事。
西洋の人々が描くクリスマスの絵本や物語を読んでいると、日本人も軽薄に騒ぐだけでなく、西洋の伝統的なクリスマスの習わしを、尊重するべきではないかと、考えさせられてしまいます。

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「クリスマス・キャロル」

リスベート・ツヴェルガー 絵/チャールズ・ディケンズ 作/吉田新一 訳
(太平社)
クリスマス・キャロル ディケンズの有名な物語に、ツヴェルガーが絵を寄せた、クリスマスにおすすめの絵本。大判・縦長のちょっと変わった版型。
お金がいちばん大事だと信じ込み、笑うことを忘れた男スクルージ。クリスマス・イブの夜、彼の前に、 かつての相棒マーレーの幽霊が現れます。鎖をひきずって、長く苦しい旅を続けているというマーレーの幽霊が、スクルージに語ったことは…。

絵本というよりは、豪華挿絵本とも言うべき一冊。わりと長めのおはなしなので、絵は数ページに一葉、という感じ。
これもツヴェルガー絵の『アンデルセン コレクション』と同じく、場面と場面のすきまを垣間見せてくれる挿画。 繊細な描線と、おさえた色使いの絵が、19世紀イギリスの風俗をよく伝えています。ページをめくるごとに変化していく、スクルージの表情に注目!

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「クリスマス人形のねがい」

ルーマー・ゴッデン 文/バーバラ・クーニー 絵/掛川恭子 訳(岩波書店)
クリスマス人形のねがい (大型絵本)
これは、ねがいごとのお話です。主人公のお人形の名前はホリー。ホリーは可愛がってくれる人に出会うことをねがっていました。 そして、イブの日に孤児院からとびだした女の子アイビーは、お人形をプレゼントされることをねがっていたのです。

この一冊は、ゴッデンが”The Holly and the Ivy”(ヒイラギとツタ)という賛美歌の題名をモチーフに書いたクリスマスの物語に、クーニーが挿絵を添えて絵本にしたものです。
文章が多く、おはなしは長めですが、ストーリーテリングの上手さが際立ち、するすると読めてしまいます。子どもたちも、きっとひきつけられるはず。
クーニーの絵は、丁寧でやさしく、寒い雪の情景を描きながらも、見る者になぜかあたたかみを感じさせます。 クーニーの絵筆が描く、古き良き時代の西洋のクリスマスの情景は、大人の心にも、あたたかい灯をともしてくれるのです。

→バーバラ・クーニーの絵本の紹介はこちら
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「クリスマスまであと九日 セシのポサダの日」

マリー・ホール・エッツ&アウロラ・ラバスティダ 作/
マリー・ホール・エッツ 画/たなべ いすず 訳(冨山房)
クリスマスまであと九日―セシのポサダの日
もうすぐクリスマス。おかあさんが、自分のためにポサダをしてくれるというので、セシは大喜びです。
ポサダというのは、メキシコのクリスマス行事。ピニャタというねんどのつぼが入った紙の人形に、おかしや果物をつめ、ポサダの夜にみんなで割るのを、子どもたちは楽しみにしています。
セシは、星のかたちをした美しいピニャタを買ってもらいますが、自分のピニャタを割られてしまうのが、悲しくてなりません…。

マリー・ホール・エッツの、美しいクリスマス絵本。
メキシコのクリスマス行事ポサダについて、セシという少女の視点で丁寧に描いた作品で、クリスマス絵本としては異色かもしれません。
文章が長く、メキシコの人びとの生活の様子、セシの心の動きなどが細やかに描きこまれているので、読み聞かせより、ひとりでじっくり読むのに向いていると思います。
コルデコット賞を受賞したエッツの絵は素晴らしく、見返しを開いただけで、もうメキシコの空気がわっと伝わってきます。
オリーブ色の下地に、繊細な鉛筆画、そこに黄色・朱色・ピンク・白でアクセントがつけられていて、その色の選び方が素敵。
クライマックスの、夜のポサダの行列の絵などは、とても神秘的で美しいです。
メキシコのクリスマスの風景って、こんなふうなんですね。地域のひとびとがみんなで参加するにぎやかなポサダ、とっても楽しそうです(^-^)

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「くるみ割り人形」

E.T.A. ホフマン 原作/ズザンネ・コッペ 文/リスベート・ツヴェルガー 絵/
池田香代子 訳(BL出版)〜音楽と朗読のCD付き〜
くるみ割り人形
クリスマスイブの夜、ちいさなマリーは、ツリーの下に置かれたくるみ割り人形を見つけます。 夜がふけてから、マリーが目にしたふしぎなできごと。時計の上の金めっきのふくろうがしゃべりだすと、7つ頭のねずみの王さまとその軍勢が部屋を埋めつくし、 くるみ割り人形とおもちゃの兵隊たちが、彼らと戦いをくりひろげたのです。実はくるみ割り人形とねずみの王さまには、秘められた因縁話があったのでした。

ホフマンの有名な原作を、ズザンネ・コッペが短く書き下ろしたおはなしに、ツヴェルガーが絵をつけた作品。
1980年にもおなじ原作に絵を寄せたツヴェルガーは、2003年、新たにこの『くるみ割り人形』を描きました。 現実と空想とが、複雑にしかし美しくからみあった魅惑的な物語は、きっと画家の創作意欲をかきたてるのでしょう。
この『くるみ割り人形』は、きわめて洗練された美しい絵の数々が、おはなしに彩りを添えています。 思ってもみない意外な構図。淡い色はかろやかに淡く、深い色はこっくりと深く描かれ…さらに独特の絵具のにじみが、読者の空想をかきたてます。

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→E.T.A. ホフマン『クルミわりとネズミの王さま』の紹介はこちら
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「賢者のおくりもの」

オー・ヘンリー 文/リスベート・ツヴェルガー 画/矢川澄子 訳(冨山房)
賢者のおくりもの
クリスマスの贈り物にまつわるオー・ヘンリーの有名なおはなしに、ツヴェルガーの絵が添えられた絵本。これも大判・縦長の版型。
つましい暮らしを贈る一組の夫婦。夫へのクリスマス・プレゼントのために、妻は自慢の長い髪を売り、懐中時計につける鎖を買い求めます。 ところが夫は、代々つたわる懐中時計を売ったお金で、妻に櫛を贈ろうとしていたのです。

この絵本の絵は、ツヴェルガーの初期の頃の作品。深い色や、あざやかな色も使われている現在の画風とは若干異なり、色使いが淡くひかえめで、斬新なデフォルメもありません。でもクラシックな感じのする上品な絵が、何とも良いのです。
髪を切ったあとのえりあしを気にする妻の仕草、家具や雑貨の描写の繊細さなど、女性ならではの目線と確かなデッサン力で描かれた絵の数々は、ツヴェルガーのファンならずとも必見。

→リスベート・ツヴェルガーの絵本の紹介はこちら

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「サンタ・クロースからの手紙」

J.R.R.トールキン 著/ベイリー・トールキン 編/せた ていじ 訳(評論社)
今年はいつもよりもっと手がふるえる。これも北極熊のせいだ! 世にたぐいなく大きなドカーンだった。それに今までにためしなく大きな大きな花火だったよ。おかげで北極柱(ノース・ポール)はまっくろ。星と云う星はゆすぶられて位置がずれてしまう。月は四つに割れ――月の男がうちの裏庭に落っこちてきおった。

『サンタ・クロースからの手紙』1926年の手紙より

サンタ・クロースからの手紙 (評論社の児童図書館・絵本の部屋) 『サンタ・クロースからの手紙』は、『ホビットの冒険』『指輪物語』などのすぐれたファンタジー作品を生み出したトールキンが、サンタ・クロースになりかわり、 自分の4人の子どもたちに毎年毎年送りつづけた手紙を、絵本のかたちにまとめた一冊。
つまり公表することを前提にして書かれたのではない、プライベートな書簡集なのですが、 それなのに、いえそれだからこそ、北極の切手や、サンタ・クロース独特のふるえた文字、雪のしみがついた封筒など、凝らされた趣向の何と楽しいこと!

トールキンはサンタ・クロースからの手紙に、実に愉快な物語を織り込み、自筆のユニークな絵を添えています。
北極に住むというサンタ・クロースの住まいの様子、北極熊やエルフ、地の精(ノウム)といった仲間たちの繰り広げるトラブルやイベント、そしてゴブリンの攻撃と、 この手紙に書かれた内容は、『ホビットの冒険』『指輪物語』の読者には、あの美しい中つ国の消息を伝えるものとも読みとれます。
もちろん『指輪物語』を読んだことがなくとも、子どもたちへの愛情にあふれた、そしてトールキン教授自身が何より楽しんでいるに違いない、この手紙の面白さが減ずることはありません。
またトールキン教授の絵というのが、とぼけた落書きのようでありながら、細部まで描きこまれていて、何とも味わい深いのです。
ちょっと風変わりなクリスマス絵本として、おすすめの一冊。

→「J.R.R.トールキンの本」はこちら

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「ターシャ・テューダーのクリスマス」

ハリー・デイヴィス 著/ジェイ・ポール 写真/相原真理子 訳 (文藝春秋)
ターシャ・テューダーのクリスマス
大型の写真集。絵本ではないけれど、 写真とともに、クリスマスを愛情深く描いたターシャの挿絵もふんだんに盛り込まれています。
ターシャの友人で、彼女の個人事務所「コーギー・コテージ」主宰でもある著者が、自らの体験を交えながら、テューダー家の伝統的であたたかいクリスマスの様子を綴っています。

テューダー一家のクリスマスは、昔ながらのしきたりに、オリジナルの楽しみ方も加えながら、何十年も続けてきたもの。
降臨節にターシャが手作りするリース、クッキーやぬいぐるみや木彫りのクリスマス・ギフト、雪のランタン、有名なジンジャーブレッドのオーナメント。 森のなかのクレッシュ(キリストが誕生したときの厩の情景を人形などで再現したもの)、ターシャ自慢のローストターキーに型ぬきされたクランベリーソースのディナー、 そして本物のろうそくで灯りをともす、あまりに見事なクリスマスツリー。
すべて写真で見ることができます。ファンにとっては「これがあの有名な」と思うようなイベントやお料理に、目を見張ってしまいますし、 ファンならずとも手作りのクリスマスの素晴らしさに、うっとり魅せられてしまうはず。

この本は、商業主義に堕したクリスマスしか知らない日本の読者に、クリスマスを心をこめて祝うことの楽しさや、クリスマスに対する神聖な気持ちといったものを教えてくれます。

→ターシャ・テューダーの本の紹介はこちら

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「ちいさな曲芸師バーナビー」

バーバラ・クーニー 再話・絵/末盛千枝子 訳(すえもりブックス)
ちいさな曲芸師バーナビー
もう何百年も前のこと、旅から旅へと曲芸をして歩く、バーナビーという名の少年がいました。 バーナビーには、お父さんもお母さんもいません。歌って踊って曲芸をし、お金をもらっていました。 冬の寒さの中、曲芸を見てくれる人もいなくなったとき、寂しさにたえかねたバーナビーを助けたのは修道士。 バーナビーは神様のために働く修道士たちとともに、修道院で暮らすことになりますが…。

フランスではよく知られた古い伝説「聖母マリアの曲芸師」のお話を、クーニーが語りなおし、美しい絵を添えた、珠玉の作品。 クーニーはこの絵本のためにフランスで精力的に取材を行い、「聖母マリアの曲芸師」のお話がおさめられた、13世紀の写本までを実際に確かめてから、制作にとりかかったのだとか。 このことは、絵本の最初で、作者自身の言葉で語られています。
自分の息子を「バーナビー」と名づけるほどの思い入れをもって描かれた絵の数々は、美しく、あたたかく、そして厳かです。
中世の古めかしい街並み、城、修道院。開かれた写本のさりげない描写も、そのページの挿絵が「受胎告知」の場面であるとわかるほど、綿密に描きこまれています。
聖母マリアと天使たちが現れる奇跡の場面などは、神聖な美しさの中に、クーニー独特の、あたたかでやさしい手触りも感じられ、ほんとうに素晴らしいです。

またクーニーの再話による物語も素敵。キリスト教的なお話で、聖母マリアが現れるという「奇跡」など、日本人にはなじみにくい部分もあるかもしれません。 けれどもバーナビーの純粋な思いを、彼の見出した希望を、周囲の人々がちゃんと受けとめてくれるという結末は、誰の心も、あたたかい灯火で照らすはず。
字を知らないバーナビーが、自分にできる唯一のこととして、聖母マリアにささげつづけた「曲芸」。生きとし生けるものの、ひたむきに生きる姿こそ、祈りそのものなんだなあと、深く心に染み入ります。

カバーをはずすと表紙は赤い布張り、曲芸をするバーナビーの姿が箔押しされています。クリスマスの絵本としても、おすすめの一冊です。

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「もうすぐゆきのクリスマス」

ターシャ・テューダー 著/内藤里永子 訳 (メディアファクトリー)
もうすぐゆきのクリスマス―ターシャ・テューダークラシックコレクション
この絵本は、クリスマスを待ち望む子どもたちの日々と、古き良き時代の聖夜のお祝いを描いた作品です。
丘をたくさんこえた、そのまたむこうに、ねずみたちがはしりまわり、壁にたくさんきつつきあながあいている、 ふるい、ふるい家がありました。そこに暮らすセスとベサニーとマフィンは、体をいっぱい使って冬の日々を楽しみながら、 やがて素敵なクリスマスを迎えるのです。もちろん、ねずみたちも一緒に。

初期の傑作を集めた「ターシャ・テューダー クラシックコレクション」のなかの一冊。 古い家の中の様子、森の奥の情景など、細部まで丁寧に描かれたターシャの絵は、アーリーアメリカンの素朴であたたかな暮らしを今に伝えています。
クリスマスの準備に忙しいキッチンの様子を描いた絵が、ターシャらしくてわたしは好きです。

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「モミの木」

ワンス・アポンナ・タイム・シリーズ
H・C・アンデルセン 原作/マルセル・イムサンド リタ・マーシャル 写真・構成/小杉佐恵子 訳(西村書店)
モミの木 (ワンス・アポンナ・タイム・シリーズ) 『モミの木』は、西村書店から邦訳版が刊行されている、<ワンス・アポンナ・タイム・シリーズ>の中の一冊で、 斬新な切り口の絵本がたくさんラインナップされたシリーズのなかでも、とりわけ異色の作品です。

アンデルセンの有名な童話「モミの木」を原作とした写真絵本(モノクロ)なのですが、ただ木や森を撮ったものではなく、主人公であるモミの木は、なんとちいさな男の子。
この男の子が美しい森の中に佇む様子、そのあどけない澄み切った眼差し。
かなしい結末であるだけに、モミの木=男の子の姿が、なんとも清らかで痛々しく、胸に迫ってきます。
雪の白さや陽の光の美しさ、愛らしい動物たちの様子も魅力的。
大人も楽しめる斬新な趣向のこの『モミの木』、クリスマス絵本としてもおすすめの一冊です。

※<ワンス・アポンナ・タイム・シリーズ>は、第一線で活躍するイラストレーターやアーティストたちの自由な発想で、おなじみの民話や童話のあたらしい魅力を紹介する、要チェックの絵本シリーズ。 写真絵本『赤ずきん』『モミの木』のほかにも、さまざまな技巧を用いた数々の異色作がラインナップされています。こぶりでひかえめな装幀もおしゃれ。

→「アンデルセン童話の世界」はこちら
→「写真絵本はたのしい」はこちら

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「山のクリスマス」

ルドウィヒ・ベーメルマンス 文・絵/光吉夏弥 訳編(岩波書店)
山のクリスマス (岩波の子どもの本)
町の子ハンシは、クリスマスのお休みに、山で暮らすハーマンおじさんの家へ出かけます。 汽車と馬ぞりを乗りついでたどり着いた、ハーマンおじさんの山の家では、初めての楽しいことがいっぱい。
ハンシはいとこのリーザール、犬のワルドルといっしょに、山暮らしならではの体験をしながら、神聖なクリスマスを迎えます。

『山のクリスマス』は、<マドレーヌ>シリーズで知られるベーメルマンスの、初めての絵本。
おはなしが長く、絵は少なめですが、冬の山の暮らしを描いたベーメルマンスの絵は、素朴なあたたかみがあります。 故郷チロルの山々を想うベーメルマンスの心が、味わいのある描線から、しみじみと感じられるのです。
主人公である町の子ハンシが、山暮らしで少し成長するというおはなしも、とても読み応えあり。
<岩波の子どもの本>シリーズの中の一冊で、地味なのだけれども、クリスマス絵本としても冬の絵本ととしてもぜひおすすめの、たいへん良質な一冊です。

→ルドウィッヒ・ベーメルマンスの絵本の紹介はこちら

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「リサとガスパールのクリスマス」

アン・グットマン 文/ゲオルグ・ハレンスレーベン 絵/石津ちひろ 訳
(ブロンズ新社)
リサとガスパールのクリスマス (リサ・シリーズ)
もうすぐ楽しいクリスマス。先生にあげるクリスマスプレゼント、何がいいかなあ? ガスパールのうちで、いっしょに考えたんだけど…。あっ、いいこと思いついた! 先生、いつも自転車にのってるから、雨がふるとびしょぬれなのよね。だからプレゼントにはレインコートがいいんじゃない? そこでリサとガスパールは、レインコートを手作りすることにしたのですが…。

リサとガスパールが、とにかくかわいい! 油絵具を厚く塗りかさねているために、キャラクターたちに立体感があり、さわると体温が感じられるような気さえします。 文章はリサの一人称。ちょっとおしゃまな語り口が、小憎らしくも可愛らしいです。
この本では、あれこれと思いつきで行動するリサに、ガスパールがふりまわされている感があり、そこがくすりと笑えます。 表紙の絵が、赤と緑のクリスマスカラーで描かれていて、プレゼントにもぴったりの一冊。
リサとガスパールが、小雪の舞うクリスマスムード溢れる街を散歩する絵が、とても好きです。

→ゲオルグ・ハレンスレーベンの絵本の紹介はこちら

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▼まだまだあるよ!クリスマスの絵本


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まりーちゃんのくりすます (岩波の子どもの本 (15))
「まりーちゃんのくりすます」フランソワーズ

クリスマスのものがたり (世界傑作絵本シリーズ―日本とスイスの絵本)
「クリスマスのものがたり」フェリクス・ホフマン

おもいでのクリスマスツリー
「おもいでのクリスマスツリー」バーバラ・クーニー

ゆうびんやのくまさん (世界傑作絵本シリーズ)
「ゆうびんやのくまさん」フィービとセルビ・ウォージントン

マーガレットとクリスマスのおくりもの
「マーガレットとクリスマスのおくりもの」植田 真

うまやのクリスマス
「うまやのクリスマス」バーバラ・クーニー

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クリスマスのまえのばん、サンタクロースがやってくる

「The Night Before Christmas―特選クリスマスの絵本―」はこちら


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