■ターシャ・テューダーの本

〜憧れのライフスタイル〜


ターシャ・テューダーに出会ったのは、落合恵子氏のレビューを読んだのがきっかけです。 本を集めるうち、絵本にとどまらないターシャの世界の素晴らしさに、すっかり魅せられてしまいました。
このページでは、ターシャの多くの作品の中から、わたしの本棚に並んでいるお気に入りの本をご紹介します。

↓クリックすると紹介に飛びます。

●著者紹介

●絵本・画集

「すばらしい季節」

「輝きの季節」

「喜びの泉」

「心に風が吹き、かかとに炎が燃えている」

「ローズマリーは思い出の花」

「キャラコブックス」

「もうすぐゆきのクリスマス」

「ホワイト・グース」

「コーギビルの村まつり」

「クリスマスのまえのばん」

「A Child's Garden of Verses」


●関連書籍

「ターシャ・テューダーの世界」

「ターシャ・テューダーのガーデン」

「ターシャ・テューダーのクリスマス」

「暖炉の火のそばで」

「今がいちばんいい時よ」




●著者紹介


ターシャ・テューダー ―Tasha Tudor―

絵本作家、挿絵画家。

1915年、米国マサチューセッツ州ボストンに生まれる。父親は飛行機やヨットの設計者、母親は肖像画家。
9歳、両親が離婚。コネティカット州レディングに住む両親の友人の家に預けられる。
15歳、学校をやめ一人暮らしを始める。
23歳、結婚。処女作『パンプキン・ムーンシャイン』出版。
30歳、ニューハンプシャーの田舎に越す。
4人の子ども(2男2女)に恵まれる。
42歳、『1 Is One』でコルデコット賞受賞。
46歳、離婚。
56歳、バーモント州の山奥に18世紀風の農家を建て、一人で暮らし始める。
レジャイナメダル受賞。
2008年6月18日、バーモント州にて、92歳で永眠。

デビュー以来、100冊以上の作品を発表。園芸家としても広く知られる。 絵本のほか、彼女が実践した19世紀のライフスタイルを紹介する写真集なども多数出版され、多くの人々の共感を呼ぶ。

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●絵本・画集


「すばらしい季節」

タシャ・チューダー 作/末盛千枝子 訳 (すえもりブックス)
すばらしい季節
この絵本は、農場で暮らす少女サリーが体験する、四季の美しさとすばらしさを描いた作品です。
サリーは季節のうつりかわりを、からだのぜんぶをつかって確かめます。目でみて、耳できいて、においをかいで、 手でさわって、口にいれてみて、季節のよろこびを知るのです。

現代の日本では、もう味わえないのかもしれない”すばらしい季節”。しあわせな子どもの時間。
きっとこの作品は、幼年時代をコネティカットの農場で過ごしたという、ターシャ自身の体験をもとに描かれているのでしょう。
ターシャの作品のなかでも、とりわけシンプルな一冊で、中の絵には(ターシャの絵の特徴である)飾り罫などは描かれていないのですが、読み返すたびに心にしみてくる、しみじみと美しい絵本です。 丁寧で素朴な絵から、作者のあたたかいまなざしが伝わってきます。
草花や動物、特に犬の絵は最高にかわいくて、ターシャがほんとうに犬好きだということが、よくわかります。

→Amazon「すばらしい季節

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「輝きの季節」

ターシャ・テューダーと子どもたちの一年
ターシャ・テューダー 絵・文/食野雅子 訳 (メディアファクトリー)
輝きの季節―ターシャ・テューダーと子どもたちの一年
この絵本は、季節のうつりかわりを楽しみながら暮らす、ターシャとその家族の年中行事を描いた作品です。
やさしい色彩と飾り罫が美しい絵に、マザーグースやシェークスピアからの引用と、短い言葉が添えられ、 月ごとに多彩な行事が紹介されています。

驚きなのは、この絵本で紹介されている行事が、今もターシャの家で続けられているということ。 関連書籍のところで紹介している写真集には、この絵本の絵そのままの写真が載っており、あわせて読めば楽しさ倍増です。
細部まで丁寧に描きこまれた絵には、ターシャの愛情があふれていて、 眺めているだけで、あたたかい家族の輪の中に入り込んだような、 幸せな気持ちになれます。

→Amazon「輝きの季節―ターシャ・テューダーと子どもたちの一年

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「喜びの泉」

ターシャ・テューダーと言葉の花束
ターシャ・テューダー 著/食野雅子 訳 (メディアファクトリー)
喜びの泉―ターシャ・テューダーと言葉の花束
人はみな月と同じように、
だれにも見せない
暗い面をもっている。
マーク・トウェイン
―食野雅子 訳『喜びの泉』より
この絵本は、シェークスピア、ワーズワース、マーク・トウェインなどの作家や詩人の言葉に、 絵本作家ターシャ・テューダーの絵を組み合わせた作品です。 ただの名言集ではなく、ターシャが、いつも喜びを与えられている言葉たちに、自分の絵を添えたというものです。

ターシャが選んだ言葉たちはどれも、生きることの喜びも悲しみも包含して、世界のすばらしさを謳いあげたものばかり。 あたたかい水彩画で描かれているのは、 幼年時代を過ごしたというコネティカットの家、かわいがっているコーギ犬、草花、 ちいさな孫たち、そして子どもの頃のターシャ本人。
すべての絵に、明るさと愛情と喜びが満ちあふれていて、そのぬくもりだけで涙が出そうになります。

→Amazon「喜びの泉―ターシャ・テューダーと言葉の花束

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「心に風が吹き、かかとに炎が燃えている」

ターシャ・テューダーと家族が愛する詩
ターシャ・テューダー 編・絵/内藤里永子 訳 (メディアファクトリー)
心に風が吹き、かかとに炎が燃えている―ターシャ・テューダーと家族が愛する詩
この絵本は、ターシャが編んだ、美しい詩画集ともいうべき作品です。 ターシャと家族が愛した62編の詩のすべてに、モノクロでありながら、色彩と温もりを感じさせる、 素敵な挿絵が添えられています。

ターシャの家では、冬の夜、暖炉のそばで、家族みんなが詩を朗読しあうという習慣があったそうです。 ターシャが詩を好きなことは、『喜びの泉』などを読むとよくわかります。この本には、 ターシャの子どもたちが愛した詩も収められていて、より多彩で読みごたえのある詩集になっています。
また一編ごとに添えられた、家族との思い出をもとに描かれた挿絵は、読者を詩の世界へ、やさしく誘ってくれます。 名詩選としてもすぐれた1冊と言えるでしょう。

→Amazon「心に風が吹き、かかとに炎が燃えている―ターシャ・テューダーと家族が愛する詩

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「ローズマリーは思い出の花」

ターシャ・テューダーのメモリーブック
ターシャ・テューダー 著/食野雅子 訳 (メディアファクトリー)
ローズマリーは思い出の花―ターシャ・テューダーのメモリーブック
心密かに勝ち誇れ
われわれの知るかぎり
それがいちばん難しい

ウィリアム・バトラー・イェーツ

『ローズマリーは思い出の花』より

この絵本は、メモリーブックです。書き込みができる12ヶ月分のカレンダーに、 ターシャの絵と、イェーツやエマーソンなどの引用が、ひとこと添えられています。
カレンダーに描かれた飾り枠も美しく、もったいなくて、わたしには書き込みなんてできませんが(^^;)

「結婚の贈り物や、赤ちゃん誕生のお祝いにも最適」と帯に書かれているとおり、何かの記念のプレゼントに最適。 でもわたしは自分のために買いました(^^)
ターシャの絵に、彼女のお気に入りの言葉が添えられているというのは、『喜びの泉』と似た趣向ですが、 この本に引用されている言葉たちも、また素敵です。 もちろん言葉のイメージを喚起するターシャの絵がすばらしく、挿絵画家としての力量を感じさせられます。

→Amazon「ローズマリーは思い出の花―ターシャ・テューダーのメモリーブック

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「キャラコブックス」

ターシャ・テューダー 著/内藤里永子 訳 (メディアファクトリー)
キャラコブックス
これは、手のひらサイズの絵本3冊セットで、ターシャの初期作品の復刻版。処女作「パンプキン・ムーンシャイン」と、 それに続く「がちょうのアレキサンダー」「こぶたのドーカス・ポーカス」の英語版3作が、日本語訳と解説の載った小冊子とともに、 ちいさな箱におさめられています。

訳者の内藤里永子氏所蔵の原本を解体し、印刷用の原稿として使用したとのことで、紙がセピア色に古びた感じまでが復刻されています。 手のひらにおさまるサイズ、カバーの下にちらりとのぞく水玉模様の表紙など、とてもかわいらしい装幀。 原本は、水玉模様の木綿布で装幀されていたので、キャラコブックスと呼ばれたのだそうです。
古めかしさが郷愁をそそる、大人にとって楽しい復刻版です。

※ この素敵なセット、3冊の絵本がおさめられたブックケース(右上の画像)のデザインを、クラフト・エヴィング商會の吉田浩美・吉田篤弘のお2人が担当されています。 クラフト・エヴィング商會のファンでもあるわたしにとっては、嬉しい限りです(^-^)

→「クラフト・エヴィング商會の本」はこちら

→Amazon「キャラコブックス

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「もうすぐゆきのクリスマス」

ターシャ・テューダー クラシックコレクション
ターシャ・テューダー 著/内藤里永子 訳 (メディアファクトリー)
もうすぐゆきのクリスマス―ターシャ・テューダークラシックコレクション
この絵本は、クリスマスを待ち望む子どもたちの日々と、古き良き時代の聖夜のお祝いを描いた作品です。
丘をたくさんこえた、そのまたむこうに、ねずみたちがはしりまわり、壁にたくさんきつつきあながあいている、 ふるい、ふるい家がありました。そこに暮らすセスとベサニーとマフィンは、体をいっぱい使って冬の日々を楽しみながら、 やがて素敵なクリスマスを迎えるのです。もちろん、ねずみたちも一緒に。

初期の傑作を集めた「ターシャ・テューダー クラシックコレクション」のなかの一冊。 古い家の中の様子、森の奥の情景など、細部まで丁寧に描かれたターシャの絵は、 アーリーアメリカンの素朴であたたかな暮らしを今に伝えています。
クリスマスの準備に忙しいキッチンの様子を描いた絵が、ターシャらしくてわたしは好きです。

→「クリスマスの絵本」はこちら

→Amazon「もうすぐゆきのクリスマス―ターシャ・テューダークラシックコレクション
→セブンネットショッピング「もうすぐゆきのクリスマスicon

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「ホワイト・グース」

ターシャ・テューダー クラシックコレクション
ターシャ・テューダー 著/内藤里永子 訳 (メディアファクトリー)
ホワイト・グース―ターシャ・テューダークラシックコレクション
この絵本は、白いはねの雁の妖精と、とがり耳をもつ少年ロビンの、不思議な出会いと別れを描いた作品です。
夜と夜明けの合間。白い羽の雁が1羽、はぐれて消えるのを見たロビンは、 雁の呼ぶ声のほうにかけていき、ひとりの少女に出会います。 少女はロビンに、いっしょに行こうと誘いますが、家族を思う心にひきとめられたロビンは、 少女が白いはねの雁に姿を変えて、飛び立つのを見送るのです。

初期の傑作を集めた「ターシャ・テューダー クラシックコレクション」のなかの一冊。 くすんだ青を基調に描かれた絵は神秘的で、ストーリーはファンタジーとも言える幻想的なもの。
夜と夜明けのあわいの不思議な時間が、このちいさな本の中に、永遠に、閉じ込められています。

→Amazon「ホワイト・グース―ターシャ・テューダークラシックコレクション

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「コーギビルの村まつり」

ターシャ・テューダー 著/食野雅子 訳 (メディアファクトリー)
コーギビルの村まつり
この絵本は、ターシャ・テューダーの人気作品「コーギビル・シリーズ」の記念すべき第一作。
コーギビルは、コーギ犬と猫とウサギとボガートが住んでいる小さな村。 住民みんなが楽しみにしている村まつりでは、ヤギレースが開かれ、毎年大にぎわい。 コーギ犬のケイレブは、レースに向けてヤギの調教に気合が入りますが、 優勝を狙う猫のエドガー・トムキャットが、何やら企んでいるようで…。

とても楽しい絵本。コーギビルの様子が、細部まで丁寧に描きこまれていて、じっと見入ってしまいます。 動物たちも、写実的でありながらかわいらしく、ターシャの愛するコーギ犬は、ほんとうに生き生きと魅力的。
空想で描かれたのではない、実際のおまつりの様子をスケッチしたのであろう絵の数々は、 読者に、この村まつりに参加してみたい、と思わせずにはおきません。

→Amazon「コーギビルの村まつり

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「クリスマスのまえのばん」

改訂新版
クレメント・クラーク・ムア 詩/ターシャ・テューダー 絵/中村妙子 訳(偕成社)
ターシャテューダー クリスマスのまえのばん
サンタクロースのイメージを決定づけたクレメント・クラーク・ムーアの有名な詩に、ターシャ・テューダーが絵を添えたクリスマス絵本。
ぬくもりと幻想的な雰囲気とがみごとに合わさった、ターシャらしい『クリスマスのまえのばん』です。

藍色の夜空をバックに、楕円の枠の中におさめられた絵は、サンタクロースが、コーギ・コテージと思われる家を訪れる様子を描いています。
部屋の中の家具調度、雑貨、愛らしい動物たち。どれもターシャの住いコーギ・コテージに、実際にあるものばかり。
そして雪深い冬の夜、月明かりに照らされて、トナカイたちの引くサンタクロースのそりが登場する場面の、神秘的で美しいこと。
ターシャの描くサンタクロースは、輪郭もはっきりしない、妖精のような小人のおじいさん。
こんなサンタ像が、いちばんリアリティがあるなと感じるのは、わたしがケルト好き、妖精好きだからでしょうか。
煙突を、さっと幻のようにのぼっていくところなんか、なるほどと思いました。
あと、ターシャの絵本はいつも、見返しも凝っていて、この一冊でも見所のひとつになっています。 楽しそうな動物たちの音楽会。クリスマスのまえのばんなら、こんなことも起こりそう。

コーギ犬や猫、ねずみなど、ちいさな動物たちとサンタクロースがくりひろげる、クリスマスのまえのばんの楽しい光景。
大人も子どもも、家族みんなで、クリスマスにページを繰るのにふさわしい絵本だと思います。

→「The Night Before Christmas―特選クリスマスの絵本―」はこちら

→Amazon「ターシャテューダー クリスマスのまえのばん

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「A Child's Garden of Verses」

Robert Louis Stevenson 著/Tasha Tudor 絵
(Simon & Schuster Children's Publishing)
A Child's Garden of Verses
『A Child's Garden of Verses』は、『宝島』『ジキル博士とハイド氏』などの作品で知られるロバート・ルイス・スティーヴンソンが、自身の子どもの頃の思い出を歌った詩集です。
子どものための韻文詩集として、英語圏ではよく親しまれており、チャールズ・ロビンソン、ウィルビーク・ル・メール、ジェシー・W・スミス、ブライアン・ワイルドスミス、アリス&マーティン・プロベンセンなど、数多くの画家たちが、美しい絵を寄せていることでも知られています。

ターシャ・テューダーもまた、この詩集を素晴らしい絵本に仕上げています。
自分の子どもや孫たち、コーギー犬や猫や鳥たち、コーギーコテージと美しい庭の風景を、凝った飾り罫の中に描く、ターシャの絵の世界。
『A Child's Garden of Verses』でも、おなじみのコーギー犬が顔をのぞかせ、草花や小動物や玩具などが細かく描きこまれてテキストを縁取り、喜びや、恐れや、幻想に彩られた子どもの世界が、いかにもターシャらしく表現されています。
ターシャの絵本は、見返しにもたいてい凝った絵があるのが嬉しく、この本でも、すべての見返しにひとつずつ違った絵が刷られているので、要チェック。

いまやターシャ・テューダーは、作品のみならずそのライフスタイルも、日本ではよく知られていますよね。
ターシャの『A Child's Garden of Verses』は洋書しかなくて、詩といっても、親しみやすく人気のある画家が絵を描いているこういう絵本は、邦訳版があっても良いのにと思うのですが…やっぱり著作権などさまざまな問題(?)があるのでしょうか。

→「A Child's Garden of Verses ―子どもの詩の園―」はこちら
→「ジェシー・W・スミスの絵本」はこちら
→「ウィルビーク・ル・メールの絵本」はこちら

→Amazon「A Child's Garden of Verses
*Amazonで中身検索できます。

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●関連書籍


「ターシャ・テューダーの世界」

ニューイングランドの四季
ターシャ・テューダー&リチャード・ブラウン 著/相原真理子 訳 (文藝春秋)
ターシャ・テューダーの世界―ニューイングランドの四季
大型・ハードカバーの写真集で、読みごたえ・見ごたえ、ともに充分。 ターシャの世界を満喫できる贅沢な一冊です。
ターシャ自身の言葉と、リチャード・ブラウン氏の絵のように美しい写真とで、 ニューイングランドの四季とともに廻る、ターシャの暮らしぶりが紹介されています。

彼女が実践している、19世紀そのままの生活。 庭仕事、山羊の乳しぼり、糸つむぎ、午後のお茶。 それは誰もが懐かしさや憧れを抱かずにはおれない、満ち足りた孤独な世界です。
この本に載っているすべての写真は、ターシャが描く絵そのもの。
18世紀の農家を模した家、本物の暖炉に燃えさかる炎。代々伝わっている糸車、日常に使われている時代物の陶器。 アンティークの洋服や、精巧につくられたドールハウス。 愛くるしいコーギ犬、鳩、鸚鵡、ガチョウ、子山羊。 そして、ターシャが「この世の楽園」と手放しで自慢する、美しい庭。

ページを繰っていると、まるで、ターシャが絵本の中に住んでいるように見えます。 けれども実は反対で、彼女は自分の暮らしそのままを、絵にとどめているだけなのです。 そのことに気づくたび、読者は希望と勇気を、彼女から与えられます。

さて、本好きのわたしが目をひかれたのは、ターシャの蔵書の写真。 今日の日本ではあり得ない、布張りに金文字の、古めかしい装丁の本たち。背表紙が擦り切れてぼろぼろになっているのは、 ターシャが何度も繰り返し、手にとって読んだ証拠です。

「遠くの国へ運んでくれるという点で
どんな軍艦も本にはかなわない」
これは、ターシャがとりあげていた、エミリー・ディキンソンの言葉です。
ずっと孤独に、家のなかにひきこもって暮らしていた、 エミリー・ディキンソンという詩人の、心の世界の豊かさが、よくわかる言葉です。
エミリー・ディキンソンについては、マイケル・ビダード 作/バーバラ・クーニー 絵/掛川恭子 訳 「エミリー」(ほるぷ出版)という絵本を読んでから、興味をもっていたので、 ターシャが彼女の言葉を好意的に紹介していたことが、ちょっと嬉しかったのでした。

本との出会いって、こうやって、繋がっていくものだなと、ほんとうに思います。 それは、とても、幸せなことです。

→バーバラ・クーニー『エミリー』の紹介はこちら

→Amazon「ターシャ・テューダーの世界―ニューイングランドの四季

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「ターシャ・テューダーのガーデン」

トーバ・マーティン 著/リチャード・W・ブラウン 写真/相原真理子 訳
(文藝春秋)
ターシャ・テューダーのガーデン
大型・ソフトカバーの写真集。ターシャの友人トーバ・マーティンさんの文章と、リチャード・W・ブラウン氏の写真とで、 ターシャの夢のように美しい庭が紹介されています。
世界中のガーデナーの憧れであるターシャの庭は、テレビなどでも紹介され、ガーデナーのみならず、日本でも多くの人の知るところとなっています。
「この世の楽園」――ターシャが手放しで自慢する庭の光景は、ガーデニングに興味のない人でも、きっと魅了されるはず。

一見気取らないようでいて、実は細部まで計算されつくしたターシャの庭。 とにかくさまざまな種類の花が、あちこちでからまりあい、大きなかたまりになって咲いているのですが、色彩の調和がとれていて、どの場所を切り取っても絵になるのです。
やはり挿絵画家としてのセンスで、絵を描くように庭づくりをされているからなのでしょうね。実際ターシャの絵本には、自分の庭の草花がたくさん描かれていますし、 絵の題材にするために栽培されている花もあるそうです。

また、ハーバード大学で絵画を学んだというリチャード・W・ブラウン氏の写真が素晴らしく、どのページを開いても、ほんとうに絵のように美しいです。
この写真集では、トーバ・マーティンさんの語りで、ターシャとブラウン氏との心あたたまる交流の様子も知ることができ、庭づくりをめぐるエピソードの数々も、面白く読めました。
誰もが癒される、おすすめの写真集です。

→Amazon「ターシャ・テューダーのガーデン

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「ターシャ・テューダーのクリスマス」

ハリー・デイヴィス 著/ジェイ・ポール 写真/相原真理子 訳 (文藝春秋)
ターシャ・テューダーのクリスマス
上記『ターシャ・テューダーのガーデン』と同じく、大型・ソフトカバーの写真集。 ターシャの友人で、彼女の個人事務所「コーギー・コテージ」主宰でもある著者が、自らの体験を交えながら、テューダー家の伝統的であたたかいクリスマスの様子を綴っています。 写真とともに、クリスマスを愛情深く描いたターシャの挿絵もふんだんに盛り込まれています。

テューダー一家のクリスマスは、昔ながらのしきたりに、オリジナルの楽しみ方も加えながら、何十年も続けてきたもの。
降臨節にターシャが手作りするリース、クッキーやぬいぐるみや木彫りのクリスマス・ギフト、雪のランタン、有名なジンジャーブレッドのオーナメント。 森のなかのクレッシュ(キリストが誕生したときの厩の情景を人形などで再現したもの)、ターシャ自慢のローストターキーに型ぬきされたクランベリーソースのディナー、 そして本物のろうそくで灯りをともす、あまりに見事なクリスマスツリー。
すべて写真で見ることができます。ファンにとっては「これがあの有名な」と思うようなイベントやお料理に、目を見張ってしまいますし、 ファンならずとも手作りのクリスマスの素晴らしさに、うっとり魅せられてしまうはず。

この本は、商業主義に堕したクリスマスしか知らない日本の読者に、クリスマスを心をこめて祝うことの楽しさや、クリスマスに対する神聖な気持ちといったものを教えてくれます。

→「クリスマスの絵本」はこちら

→Amazon「ターシャ・テューダーのクリスマス
→セブンネットショッピング「ターシャ・テューダーのクリスマスicon

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「暖炉の火のそばで」

ターシャ・テューダー手作りの世界
トーバ・マーティン 文/リチャード・W・ブラウン 写真/食野雅子 訳
(メディア・ファクトリー)
暖炉の火のそばで―ターシャ・テューダー手作りの世界
上記『ターシャ・テューダーの世界』と同じく、大型・ハードカバーの写真集で、読みごたえ・見ごたえ、ともに充分。 ターシャの友人トーバ・マーティンさんの文章と、リチャード・ブラウン氏の絵のように美しい写真とで、 ターシャの手作りの世界が紹介されています。

ほんとうに、めくるめく美しい手作りの世界! ターシャへの敬愛に満ちた、トーバさんの紹介が、丁寧でわかりやすいです。
動物を飼い、チーズやバターを作り、それが美味しい料理になる。 庭で亜麻を栽培し、糸を紡ぎ、織り、息子や孫たちの洋服を縫う。 かご、石けん、ろうそく、生活に必要なものはすべて手作り。 マリオネット、ドールハウス、ぬいぐるみなど、玩具も一から作ってしまう。

この本の中に「わたしは芸術家じゃないから、アトリエにこもらなければ描けないなんていうことはないの」 というターシャの言葉がありますが、確かに彼女は芸術家ではありません。 絵だけ描いていられればいいという人ではなく、 昔ながらの手作りの暮らしを貫き、子どもを育て、客人をもてなし、 そうやって自分の人生を生きることによって、人々の共感を得ているのです。
この本を読むと、尊敬と感動とともに、そのことがよく伝わってきます。

リチャード・W・ブラウン氏の手になる写真集はどれも素晴らしく、この本では、 薄暗い室内での、窓からの陽光を頼りにした手作業の様子など、まるでフェルメールの絵のように静謐で美しいです。
リチャード・W・ブラウン氏は、ハーバード大学で絵画を学んだと言いますから、 写真の絵のような美しさも頷けますが、知識や技術だけでなく、ターシャの暮らしぶりへの敬愛の念があるからこそ、 こういったものを撮ることができたのだと思います。

すべての写真に驚嘆させられますが、わたしがとりわけ感心したのは、自家製バターの写真。
飼っている山羊の乳を搾って作るバターに、古めかしい木製の型で、鳥や草花の模様を型押ししてあります。
ターシャが手作りするものは、バターでさえも美しい…。
これ、ほんとうです。

→Amazon「暖炉の火のそばで―ターシャ・テューダー手作りの世界

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「今がいちばんいい時よ」

ターシャ・テューダーの言葉3
ターシャ・テューダー 文/リチャード・W・ブラウン 写真
ウィンズロー・テューダー 写真/食野雅子 訳 (メディア・ファクトリー)
今がいちばんいい時よ (ターシャ・テューダーの言葉 (3))
エッセイと写真の本。大きくて見やすい文字で、ターシャの最新の言葉を味わうことができ、 写真はオールカラー。 大型写真集は値段が張るので手が出ないという方におすすめの、こぶりで値段も手ごろな本です。

おなじみのリチャード・W・ブラウン氏とともに写真を手がけたウィンズロー・テューダー氏は、ターシャの孫で、文筆家・写真家なのだそう。 『輝きの季節』のなかで描かれている、誕生日のケーキを川の上流から流す様子などが、ウィンズロー氏の手で撮影されていて、 身内でなければ写せない貴重な写真になっています。

写真ももちろん素敵なのですが、ターシャの言葉も素晴らしいです。この本は、ターシャ自身が気負いのない言葉で、 日常の出来事や人生観・老いについて語っていて、肩の凝らない読み物になっています。
鳥かごの新聞紙を取り替えるとき、政治家の顔がのっているページをわざと上に向けて敷くという話や、 ヒヨコを懐に入れたままスーパーへ行き、レジで「ヒヨコの鳴き声がしない?」と言われて、 「ああ、わたしの補聴器よ」と答えて知らんぷりしたという話など、ターシャの茶目っ気が垣間見えます。

→Amazon「今がいちばんいい時よ (ターシャ・テューダーの言葉 (3))

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ターシャ・テューダーの本に興味をもったなら…

ターシャ・テューダーは、おりにふれてエミリー・ディキンソンの詩を引用しています。
「ターシャ・テューダーの世界」では、ターシャが詩人の言葉をひきながら書物について語っており、
ディキンソンへの興味が深まりました。 また「心に風が吹き、かかとに炎が燃えている」
「ローズマリーは思い出の花」には、ディキンソンの詩の数篇に、ターシャが絵を添えています。

「エミリー・ディキンソンの本」はこちら

ターシャ・テューダーは、絵本だけでなく挿絵の仕事も手がけています。
福音館書店版の『若草物語』には、ターシャ・テューダーの挿絵が収録されています。
母さまと娘たちがかもし出すあたたかい家庭の雰囲気、貧しくとも工夫をこらして楽しむ様子が素敵な物語、
ターシャのやさしいイラストが、作風とぴったり合っています。

オールコット『若草物語』の紹介はこちら

ジェシー・W・スミスは、19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカで活躍したイラストレーター。
愛らしい子どもを描くことに優れ、児童書、絵本のイラストを数多く手がけました。
ターシャと同じく、オールコット『若草物語』、『クリスマスのまえのばん』、
マザーグースなどの作品に、クラシカルな美しい絵を寄せています。

「ジェシー・W・スミスの絵本」はこちら


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