精巧につくられた美しい人形、愛らしいぬいぐるみ。
不思議に人をひきつける、人形たちを描いた絵本。
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「パメラ・パティー・ポッスのあたらしいいえ」いしい むつみ 作/こみね ゆら 訳(教育画劇) |
まりのおとうさんが作った、パメラ・パティー・ポッスのあたらしいいえは、とても素敵ないえです。
げんかんを入って右奥の部屋は、おかあさんがおひるごはんを作っている台所。食堂には青い模様のカップやお皿が並んでいます。おばあちゃんは出窓のそばの揺り椅子で、うたたね。2階の左側にお父さんの書斎、反対側がパメラ・パティー・ポッスの部屋。テーブルにベッドに椅子、ちいさな本棚には絵本が並び、おもちゃばこには、おもちゃがいっぱい…。 『パメラ・パティー・ポッスのあたらしいいえ』には、こみねゆらさんの絵の魅力が凝縮されているといっても過言ではないのでは。 まりのおとうさんが作った「パメラ・パティー・ポッスのあたらしいいえ」は、素敵な素敵なドールハウス。このお家の中を、ゆっくりゆっくり見て回る構成になっています。 まるで本物のお家みたいで、でも間違いなく静止した人形の家。パメラ・パティー・ポッスの部屋のバルコニーから見下ろした、弟のクリスが遊ぶ池のある庭の、幻想的な美しさ。 精巧に作りこまれたドールハウスの魅力、そしてドールハウスから広がる空想の楽しみが、あますところなく描き出されています。 テキストページに、ドールハウスに置かれた小物の絵がちいさく描かれていて、これがまたかわいい。あ、よく見ると、『もじゃもじゃペーター』の絵本もありますよ! お人形とドールハウスのおはなしというのは、こみねゆらさんの画風にぴったりの題材で、とりわけ魅力的な一冊に仕上がっていると思います。 →ハインリッヒ・ホフマン『もじゃもじゃペーター』の紹介はこちら →Amazon「おつきさまは、よる、なにしているの?」 |
「トトコのおるすばん」こみね ゆら 著(ハッピーオウル社) |
わたし、トトコ。きいろいくまのぬいぐるみ。なのはちゃんが幼稚園に行っているあいだ、お部屋でおるすばん。
トトコはひとりで遊べるんです。くるりとでんぐりがえし、あっちにごろごろ、こっちにごろごろ。のんびりしたり、たいくつしたり、お昼寝したり…。なのはちゃん、早く帰ってこないかな。 まわりに人がいないとき、ぬいぐるみやお人形が、実は動いたり話したりしている…なんて、想像するだけで楽しいですよね。 ぬいぐるみのトトコは、花模様のワンピースを着て、とてもかわいい。なのはちゃんのお部屋もかわいくて、ピンクの壁紙にバラの花模様のカーテン。棚に置かれた雑貨も細かく描きこまれていて、やっぱり、このかわいい箱とかほしいなあなんて思ってしまいます。 さてこの絵本、じつはわたしが持っているのはサイン本なのです! サイン本欲しさに、友人と大阪のとある人形のお店を訪れて購入。見返し(見返しもラブリー♪)の裏にめちゃかわいいイラストとYura Komineのサイン…。ふふふ、いいでしょ〜。これは単なる自慢ですが(^^;) 絵が中心で、テキストは少し。表紙カバーはピンク色、こぶりで手にとりやすく、ちいさい女の子への読み聞かせにも、お子さん自身で読むのにも、ぴったりではないでしょうか? →Amazon「トトコのおるすばん (ハッピーオウル社のおはなしのほん)」 |
「テディ・ベアのおいしゃさん」ガブリエル・バンサン 作/今江祥智 訳(BL出版) |
「くまのぬいぐるみのおふる いたみ ひどくても高価にて買いうけます。おもち下さい」
こんなはり紙を出している、テディ・ベアのおいしゃさん。道端に捨てられ、ボロボロになってしまった、くまのぬいぐるみたちを拾ってきては、 彼らの話に耳を傾け、丁寧に傷みをなおしていきます…。 くまのぬいぐるみの身の上話と、テディ・ベアのおいしゃさんのやさしい気持ちを綴った水彩画絵本。 とにかくバンサンの絵のちからを感じる一冊。あえて細部まで描きこまないことによって、より多くのことを物語る、洗練された描線。 灰色の髪はうすく、口のまわりにふさふさしたひげを生やし、眼鏡をかけた、とってもやさしそうなテディ・ベアのおいしゃさんが、 ぬいぐるみを子どものように大事に思う気持ちが、ほんの少しの線から、よく伝わってきます。 いろんなデザインのくまのぬいぐるみが登場するので、テディ・ベア好きの人にはたまらないのでは。 見返しに描かれたぬいぐるみたちも、見逃さないで。 →Amazon「テディ・ベアのおいしゃさん」 |
「クリスマス人形のねがい」ルーマー・ゴッデン 文/バーバラ・クーニー 絵/掛川恭子 訳(岩波書店) |
これは、ねがいごとのお話です。
主人公のお人形の名前はホリー。ホリーは可愛がってくれる人に出会うことをねがっていました。 そして、イブの日に孤児院からとびだした女の子アイビーは、お人形をプレゼントされることをねがっていたのです。 この一冊は、ゴッデンが”The Holly and the Ivy”(ヒイラギとツタ)という賛美歌の題名をモチーフに書いたクリスマスの物語に、クーニーが挿絵を添えて絵本にしたものです。 文章が多く、おはなしは長めですが、ストーリーテリングの上手さが際立ち、するすると読めてしまいます。子どもたちも、きっとひきつけられるはず。 クーニーの絵は、丁寧でやさしく、寒い雪の情景を描きながらも、見る者になぜかあたたかみを感じさせます。 クーニーの絵筆が描く、古き良き時代の西洋のクリスマスの情景は、大人の心にも、あたたかい灯をともしてくれるのです。 →「クリスマスの絵本」はこちら →Amazon「クリスマス人形のねがい (大型絵本)」 |
「くるみ割り人形」E.T.A. ホフマン 原作/ズザンネ・コッペ 文/リスベート・ツヴェルガー 絵/
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クリスマスイブの夜、ちいさなマリーは、ツリーの下に置かれたくるみ割り人形を見つけます。
夜がふけてから、マリーが目にしたふしぎなできごと。時計の上の金めっきのふくろうがしゃべりだすと、7つ頭のねずみの王さまとその軍勢が部屋を埋めつくし、 くるみ割り人形とおもちゃの兵隊たちが、彼らと戦いをくりひろげたのです。実はくるみ割り人形とねずみの王さまには、秘められた因縁話があったのでした。 ホフマンの有名な原作を、ズザンネ・コッペが短く書き下ろしたおはなしに、ツヴェルガーが絵をつけた作品。 1980年にもおなじ原作に絵を寄せたツヴェルガーは、2003年、新たにこの『くるみ割り人形』を描きました。 現実と空想とが、複雑にしかし美しくからみあった魅惑的な物語は、きっと画家の創作意欲をかきたてるのでしょう。 この『くるみ割り人形』は、きわめて洗練された美しい絵の数々が、おはなしに彩りを添えています。 思ってもみない意外な構図。淡い色はかろやかに淡く、深い色はこっくりと深く描かれ…さらに独特の絵具のにじみが、読者の空想をかきたてます。 →「クリスマスの絵本」はこちら |
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