■ガブリエル・バンサンの絵本

〜洗練された描線の魅力〜


●ガブリエル・バンサン ― Gabrielle Vincent ―

1928年、ベルギーのブリュッセルに生まれる。
ブリュッセルの美術学校で絵画を学び、長期にわたりデッサンに専念。描線の確かさで世界的な評価を受けている。 日本では『アンジュール―ある犬の物語』に代表されるデッサン絵本が人気。また「くまのアーネストおじさん」シリーズなどの水彩画絵本も多数発表している。
『ナビル―ある少年の物語』でボローニャ国際児童図書展ラガッツィ賞、『テディ・ベアのおいしゃさん』『たまご』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。 2000年9月24日、ブリュッセルにて永眠。



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「あめのひのピクニック」

「おやすみのまえに ―きょうのおはなし―」

「テディ・ベアのおいしゃさん」

「ふたりでしゃしんを 」



「あめのひのピクニック」

くまのアーネストおじさん
ガブリエル・バンサン 作/もり ひさし 訳(BL出版)
あめの ひの ピクニック     くまのアーネストおじさん やさしいくまのアーネストおじさんと、おしゃまなねずみのセレスティーヌは、ふたりで仲良く暮らしています。
ピクニックに出かけようと、前の晩からお弁当の用意をし、とても楽しみにしていたセレスティーヌですが、当日はあいにくの雨。 「きょうはでかけられないんだよ」というアーネストおじさんの言葉に、すっかりふてくされてしまいます。そこでアーネストおじさんが出したアイデアは…。

タイトルからも察せられるとおり、雨の中をピクニックに出かけるこのお話。 じめじめとして気分もふさぎがちな雨の日を、ぱっと楽しくしてくれる、梅雨の季節にぴったりの一冊です。
文章は短く、登場人物の心情はすべて絵(水彩画)で表現されているのですが、これがなんとも巧み。 セレスティーヌが朝起きて喜ぶ様子、雨だと知ってふてくされる姿、ほんとうに子どもらしい! また、アーネストおじさんの、何気ない仕草のひとつひとつが、セレスティーヌへの深い愛情を感じさせます。 ふてくされるセレスティーヌのしっぽにそっと触れて、アイデアを話す様子。見知らぬ誰かが近づいてくるのに気づいて、体全体でセレスティーヌをかばう姿など、せつないほどです。
「くまのアーネストおじさん」シリーズは、オチのきいたお話の楽しさと、上質な絵で、子どもも大人も楽しめる絵本になっています。

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「おやすみのまえに」

きょうのおはなし
ガブリエル・バンサン 絵/ピリ・マンデルボーム 詩/もり ひさし 訳
(BL出版)
icon icon
じめんにねている おちばさん
かぜにのって まってきたのに
じっとしてるの たいくつね
また かぜさんがくるまで
ぼくがワルツを おどらせてあげる
ほうら ほうら おちばさん
バンサンの淡い水彩画に、子どもたちの日常を切りとった短い詩が添えられた絵本。
ピリ・マンデルボーム氏というのは、バンサンの30年来の友人で、絵からインスピレーションを受け、詩作に取り組んだのだそうです。
デッサンや水彩による絵本をたくさん発表したバンサン。 この作品では、細い枠の中に水彩の絵が描かれているスタイルですが、ささっと手際よくひいたような線や淡い色に、なんともいえない雰囲気があります。 見る人の心に、せつないような、ふしぎな余韻を残す絵。
夏の終わりの海辺の情景を描いた見開きが、とくに好きです。

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「テディ・ベアのおいしゃさん」

ガブリエル・バンサン 作/今江祥智 訳(BL出版)
icon icon 「くまのぬいぐるみのおふる いたみ ひどくても高価にて買いうけます。おもち下さい」
こんなはり紙を出している、テディ・ベアのおいしゃさん。道端に捨てられ、ボロボロになってしまった、くまのぬいぐるみたちを拾ってきては、 彼らの話に耳を傾け、丁寧に傷みをなおしていきます…。

くまのぬいぐるみの身の上話と、テディ・ベアのおいしゃさんのやさしい気持ちを綴った水彩画絵本。
とにかくバンサンの絵のちからを感じる一冊。あえて細部まで描きこまないことによって、より多くのことを物語る、洗練された描線。 灰色の髪はうすく、口のまわりにふさふさしたひげを生やし、眼鏡をかけた、とってもやさしそうなテディ・ベアのおいしゃさんが、 ぬいぐるみを子どものように大事に思う気持ちが、ほんの少しの線から、よく伝わってきます。
いろんなデザインのくまのぬいぐるみが登場するので、テディ・ベア好きの人にはたまらないのでは。
見返しに描かれたぬいぐるみたちも、見逃さないで。

→「人形たちの絵本」はこちら

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「ふたりでしゃしんを」

くまのアーネストおじさん
ガブリエル・バンサン 作/もり ひさし 訳(BL出版)
icon icon ふたりで仲良く暮らしている、くまのアーネストおじさんと、おしゃまなねずみのセレスティーヌ。
ある日、セレスティーヌは鍵のかかった抽斗をこっそり開けて、しまい込まれた写真の束を見つけます。 それは、アーネストおじさんの昔の写真。ところがそこに、知らないねずみの子どもたちが、楽しそうに一緒に写っていて、セレスティーヌはすっかりすねてしまうのです…。

「くまのアーネストおじさん」シリーズの、とっても愛らしい一冊。
写真に写った知らない子どもたちや、可愛いしろねずみの子に、やきもちをやくセレスティーヌの様子が、とっても可愛い。
そして、アーネストおじさんの仕草のひとつひとつが、セレスティーヌへの愛情にあふれていて、絵を見るだけでぐっときます。 「スープができたよう」と、2階のセレスティーヌに向かって呼びかけるアーネストおじさんの表情。 大きな手、太い指で、セレスティーヌのとっておきのドレスを選んであげる姿。
セレスティーヌは、こんなにも愛されているんだから、すねることなんてないのに…。でも、女性としては、セレスティーヌの気持ちもわかるなあ。 女の子って、こういうもんなんです。
セレスティーヌにすねて泣かれて、アーネストおじさんが一体どうしたかは…結末が、また素敵なんです♪

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