■本の蒐集記録(2006年7-8月)





2006/08/30(Wed)
●平出 隆 著『ベルリンの瞬間』(集英社)
●アンドレ・ダーハン 作/きたやまようこ 文
『ぼくのともだちおつきさま』(講談社)

詩人・平出 隆氏の文章にすっかり魅せられ、『猫の客』に続き『ベルリンの瞬間』も購入。この方の著書は、いつも装幀が凝っているのも嬉しいです。
この本は、厚みがあって、文章がみっちり詰まっている感じなので、じっくりゆっくり読み進めようと思います。

『ぼくのともだちおつきさま』は、とても有名な絵本、ですよね。
だけどわたしはよく知らなくて、コマーシャルでアンドレ・ダーハン氏の絵を目にして、素敵な絵だなあと、ぼんやり思っていたのです。
たまたまネットで、この絵本の一場面(おつきさまと「ぼく」が向かいあって食事しているところ)を使ったポストカードを見かけて、これは好きな絵だなと思ったら、 あのコマーシャルのアンドレ・ダーハン氏の作品だということがわかり、よくよく調べてみたら、いろんな絵本サイトで良い良いと評判の、ベストセラー絵本だった、という。
そしてこの絵本、現在は短い文章の添えられた講談社版が流通していますが、最初は文章のないバージョンが架空社から刊行されていて、ネット上の書評でも、架空社版を推す声が多いんですよね。
しかし架空社版は重版未定…仕方がないので、講談社版を購入しました。
まず絵だけをじっくりと見て、次に文章と一緒に味わい、3度目はまた絵だけ眺めて、自分なりの文章を考えてみたりと、これがなかなか楽しめます。
ほんとうに、素敵な絵本。「ぼく」とおつきさまとの出会い。やさしくてあたたかくて、眺めていると、顔がにっこりしてしまうのです。

→平出 隆『猫の客』の読書日記はこちら

▲トップ




2006/08/29(Tue)
●『Dulac's Fairy Tale Illustrations In Full Color』
●Illustrated by Lisbeth Zwerger『Noah's Ark』
●アルビン・トレッセルト 文/ロジャー・デュボアザン 絵/江國香織 訳『きんいろのとき ゆたかな秋のものがたり』(ほるぷ出版)

『Dulac's Fairy Tale Illustrations In Full Color』は、エドマンド・デュラックのイラスト集。
54点ものイラストがフルカラーで収録されているにもかかわらず、ペーパーバックで安価なのが嬉しいところ。 「美女と野獣」「アラビアン・ナイト」「眠れる森の美女」など、邦訳版が絶版になってしまっている作品の挿絵も目にすることができます。

『Noah's Ark』は、大好きなリスベート・ツヴェルガーの絵本。ツヴェルガー作品の邦訳版は、絶版になってしまっているものも多く、ついに洋書を購入することに。 洋書に手を出すと歯止めがきかなくなりそうで、今まではガマンしていたのですが…。
この『Noah's Ark』は、未邦訳作品。わたしが買ったのは、ペーパーバックのもの。洋書って、絵本もペーパーバックで安価な版が量産されていて、有難いなあと思います。 装幀が凝っている本もたいせつだけれども、上質な絵や物語を、誰でも気軽に手にとることができる環境というのも、大事なんでしょうね。
だけど安価な量産品といえども、洋書ってどれも、表紙のレイアウトや、タイトルの書体がおしゃれなのは何故でしょう。
図書館で仕事をしていて、雑誌の受入作業をしているときにも、外国雑誌のおしゃれな装幀には、いつも感心してしまいます。
さて、肝心の絵本の中身ですが、やっぱりツヴェルガーの絵は素敵です。構図といい、色といい。 おはなしは、有名な「ノアの箱舟」のおはなしなので、英語が読めなくても大丈夫。子どもむけにやさしく書かれているようなので、なんとなく文章をたどることはできます。

『きんいろのとき』は、ロジャー・デュボアザンに興味をもっているのと、そろそろ秋の気配がしてきたのとで、購入した一冊。
この絵本も、『ゆくえふめいのミルクやさん』と同じく、見返しの絵がおしゃれ。また、テキストのまわりを囲む絵も素敵です。
金色にかがやく黄色が目に鮮やかで、読んでいて、秋の紅葉が待ち遠しくなりました。

→エドマンド・デュラックの紹介はこちら
→「リスベート・ツヴェルガーの絵本」はこちら

▲トップ




2006/08/26(Sat)
●シャーロット・ゾロトウ 作/ハワード・ノッツ 絵/松岡享子 訳
『かぜはどこへいくの』(偕成社)

ネット上で見かけた表紙画像にひかれたのですが、わたしにとって、シャーロット・ゾロトウとの出会いの一冊となりました。
「どうして、ひるはおしまいになってしまうの?」「かぜはやんだら、どこへいくの?」そんな男の子の問いかけに、お母さんがやさしく答える、心にしみ入る絵本。
ハワード・ノッツの鉛筆画も魅力的で、見開きでひとつながりの絵が、左ページと右ページ、それぞれのテキストに対応していて、細部まで神経がゆきとどいているなあと感じました。

子どもの心が抱く、たくさんの不思議に、わかりやすく答える母親の――おそらくは、ゾロトウ自身の――言葉には、ほんとうに共感します。
おしまいに なってしまうものは、なんにもないの。
べつのばしょで、べつのかたちで はじまるだけのことなの。

『かぜはどこへいくの』8ページより

▲トップ




2006/08/25(Fri)
●ロジャー・デュボアザン 作・絵/山下明生 訳
『ゆくえふめいのミルクやさん』(童話館出版)

癒しの絵本を求めてネット上をさまよっているうち、気になったのが、ロジャー・デュボアザン。 素敵なタッチの絵だなあと思い、まずは『ゆくえふめいのミルクやさん』を購入。

まい日まい日、くる日もくる日も、ミルクを配達し、おくさんたちとお天気の話をするのに嫌気がさしたミルクやさんが、気のむくままに車をはしらせ、森の中で数日を過ごすというストーリー。
日々の仕事にちょっとうんざり気味のわたし(?)に、ぴったりの一冊。
絵は、色彩感覚が独特で、とってもしゃれたタッチで描かれていて、見れば見るほど味わいあり。
見返しの絵も凝っています。

▲トップ




2006/08/24(Thu)
●平出 隆 著『猫の客』(河出書房新社)

同じ著者の『葉書でドナルド・エヴァンズに』と『ウィリアム・ブレイクのバット』を続けて読了し、すっかり平出氏の文章に魅せられてしまったわたし。
この詩人の選ぶ言葉の連なりは、なんとも読んでいて心地よく、清々しいのです。
きらりと光る詩人としての鋭敏な感性と、感じの良い人柄をにじませる文章を、もっと味わいたくなり、『猫の客』を購入しました。
まさに日本文学、という感じの渋い装幀が、わたしの本棚の中では新鮮に映ります。
出だしを読み始めると、もう豊かな日本語の虜。
いま、ついするすると第二節まで読んでしまったけど、これはまた日を改めて、端正な美しい文章を堪能しながら、ゆっくり読み進めることにします。
ああ、楽しみ〜(^-^)

→平出 隆『葉書でドナルド・エヴァンズに』の読書日記はこちら
→平出 隆『ウィリアム・ブレイクのバット』の読書日記はこちら

▲トップ




2006/08/17(Thu)
●佐々木マキ 作・画『変なお茶会』(絵本館)

癒しの絵本を求めてネット上をさまよっているうち、出会った一冊。
タイトルにも、表紙のおつきさまの絵にも惹かれ、購入しました。
装幀が凝っているとの評判に、手にしてさっそくカバーをはずしてみたら…。
うぐいす色と黄土色の中間のような、くすんだ色合いの布張りの表紙の真ん中に、縦書き・明朝体・黒い文字で、「変なお茶会」と箔押しされてあるのです!
レトロ感あふれる素晴らしい装幀に脱帽。この表紙だけを見れば、明治の文豪の幻の傑作の初版本かとさえ思えます。

これだけでももう購入した価値あり、と感じましたが、本の中身もまた良しで、マッチ箱を想起させる絵の面白さ、ナンセンスな中にもほのぼの感を漂わせるおはなし、 さすが1979年の初版からロングセラーを続けるだけのことはあるなあ、と唸らされました。

最後のページは、まさに癒し本。
微笑むおつきさまの横顔に、添えられたひとことが、安らかな眠りへと読者を誘います。
(……ココアを飲んで、おやすみなさい)

▲トップ




2006/08/10(Thu)
●吉田篤弘 著
『それからはスープのことばかり考えて暮らした』(暮しの手帖社)

クラフト・エヴィング商會の物語作家、吉田篤弘氏の待望の新刊。
「暮しの手帖」に連載されていた『それからはスープのことばかり考えて暮らした』が、ついに単行本化されました。
雑誌連載時はチェックしていなかったので、こうして発売されて嬉しいです。
やっぱり素敵な装幀。今回の本は、佃 二葉さんのイラストも見所。 丁寧であたたかみのあるタッチが、ソフトカバーの装幀としっくり調和していて、とっても素敵です。
これまた、読むのが楽しみな一冊。

→「クラフト・エヴィング商會の本」はこちら

▲トップ




2006/08/09(Wed)
●平出 隆 著『ウィリアム・ブレイクのバット』(幻戯書房)
●ユリー・シュルヴィッツ 作・画/瀬田貞二 訳
『よあけ』(福音館書店)

平出 隆 著『葉書でドナルド・エヴァンズに』を、とても面白く読んだので、続けて『ウィリアム・ブレイクのバット』も買ってしまいました。
『葉書で〜』は、完成された詩的な世界だと感じましたが、『ウィリアム・ブレイクの〜』は、いろいろな雑誌に発表されたエッセイをまとめたもので、 より親しみやすい読み物という印象。装幀も素敵だし、図版も綺麗。読むのがとても楽しみです。

ユリー・シュルヴィッツは、気になっていた絵本作家のひとり。ずっと欲しいなあと思っていて、やっと手許に届いた『よあけ』は、ほんとうに素晴らしい絵本でした。
夜明け、黎明の静けさと美しさを、しみじみと感じさせてくれる一冊。
ほんとうに美しい絵と、そっと添えられた短い言葉。
瀬田貞二氏の訳文が、また心に沁みます。

→平出 隆『葉書でドナルド・エヴァンズに』の読書日記はこちら

▲トップ




2006/08/07(Mon)
●イタロ・カルヴィーノ 著/米川良夫 訳『見えない都市』(河出文庫)

マルコ・ポーロが皇帝フビライ汗に、さまざまな空想都市について延々と物語る幻想小説。
どこにもない国、見えない都市。なぜかそういうものに、いつも惹かれる。 けれども架空の都市は、ときに現実を映す鏡にもなる。

→『見えない都市』の読書日記はこちら

▲トップ




2006/08/01(Tue)
●イーダ・ボハッタ 作/松居スーザン 永嶋恵子 訳
『雨だれぽとり』『ほしのこどもたち』(2冊とも童心社)
●文 巖谷國士 /作品 桑原弘明
『スコープ少年の不思議な旅』(パロル舎)

『はなのこどもたち』『かわいいひかりのこたち』を購入してから、邦訳版の続刊を望んでいたイーダ・ボハッタ。
やはり反響があったのでしょう、新刊が発売されました(^-^)
イーダ・ボハッタの絵本は、どれも手のひらサイズというところが可愛い♪ やさしい色使いも大好きです。
今回の2冊は、擬人化された小さな雨だれたちや、夜空のおつきさまが、ユーモアたっぷりに描かれています。

そして、『スコープ少年の不思議な旅』。
これは、凄い本です。というか、この本で紹介されている「スコープ」作品が、凄いのです。
掌にのる程度の、四角い小さな箱。その箱からは細い筒が出ていて、先端のレンズから覗くと、最初は暗くて何も見えません。
ところが箱の側面の小さな穴から懐中電灯の光をあてると、不思議に懐かしい部屋や庭などの光景が見えてきます。
凄いのは、この光景が、写真や絵ではなくて、箱の中におさめられた小さなオブジェなのだ、ということです。
掌にのる程度の箱の中におさまる、部屋や庭のオブジェ…ひとつひとつ、手作りの…しかもそれを、スコープで覗く…。
それだけでも凄いのですが、極めつけは、光を強めたり弱めたり、別の穴から光を当てたりすると、なんと、箱の中の光景が、 朝や昼や夜、また燭台に灯がともったり、扉の向こうの景色が見えてきたりと、さまざまに変化するのです!

うわ〜、なんだろう、この奇妙で素敵で魔術的なオブジェは!

「スコープ」オブジェを作っているのは、アーティスト桑原弘明氏。
この本で初めてそのお名前と、作品の素晴らしさを知りました。
たくさんの「スコープ」が写真で紹介されていて、思わずじっと見入ってしまうのですが、 惜しむらくは、それぞれの作品の光による変化を、もっと見せてほしかったなあ、ということでしょうか。

もっと「スコープ」を覗いてみたい、と思ってしまうのは、作品にとてつもない魅力があるから。
こんなオブジェと、こんな凄いものを作る人が、この世界に存在するということが、まさに驚異だと感じました。

→「イーダ・ボハッタの絵本」はこちら

▲トップ




2006/07/27(Thu)
●平出 隆 著『葉書でドナルド・エヴァンズに』(作品社)

アマゾンのおすすめ商品。チャールズ・シミック 著『コーネルの箱』を持っている人におすすめ、とのこと。
ネット上の書評の評価も高く、思わず購入してしまいました。

著者の平出 隆氏は、詩人。ドナルド・エヴァンズというのは、架空の国が発行する、架空の切手を描き続けた、夭折の画家。
この本は、詩人が、葉書でドナルド・エヴァンズに、短い日記を送りつづけるという体裁で書かれたもの。
架空の国の、架空の切手。今は亡き人に宛てて書かれる葉書…クラフト・エヴィング商會ファンとして、買わずにいられない設定です(^^;)

ただ実際に手にとってみると、ドナルド・エヴァンズの描いた切手等の図版のページは少なく、その点、コーネルのオブジェがカラー写真でたくさん掲載されていた『コーネルの箱』とは違うなと思いました。
また、装幀に凝った結果、値段が高くなっているとのことですが、ぱっと見た感じでは、どこがどう手がこんでいるのかわかりにくい、そっけない佇まいの本です。

真っ白な表紙カバー、余白の目立つ本文。
でも実は、この白さに、秘密が隠されているのかな、なんて思っているところです。

→チャールズ・シミック 著『コーネルの箱』の紹介はこちら
→「平出 隆の本」はこちら

▲トップ




2006/07/21(Fri)
●ルドウィッヒ・ベーメルマンス 作・画/瀬田貞二訳
『マドレーヌといぬ』(福音館書店)

やっぱりパリの風景は素敵。また子ども心で描かれた、勢いのある奔放な描線も、マドレーヌシリーズの魅力のひとつ。
おはなしも面白い。主人公マドレーヌの闊達さに元気をもらえる。
コルデコット賞受賞作品。

▲トップ




2006/07/19(Wed)
●ルドウィッヒ・ベーメルマンス 作・画/瀬田貞二訳
『げんきなマドレーヌ』(福音館書店)
●トーベ・ヤンソン 著/冨原眞弓 訳『誠実な詐欺師』(ちくま文庫)

『げんきなマドレーヌ』は、アマゾンで表紙画像を目にして、惹かれた一冊。
実際に手にしてみて、とても素敵な絵本で嬉しくなり、さらにマドレーヌシリーズの続編『マドレーヌといぬ』も注文する。
子ども向けにも楽しい絵本だけれども、パリの風景がたくさん描かれていて、大人が眺めてもよし。

トーベ・ヤンソンの傑作長篇『誠実な詐欺師』、待望の文庫化。
単行本も持っていて、読んで、とても感動して、一生ものの座右の書になると確信した作品。
文庫化にあたり、訳者の冨原眞弓氏が、大幅な改訳を施したとのこと、やはり買わずにはいられなかった。
冒頭の数行を読んだだけでも、たまらなく好きだなあ、と感じる。

→トーベ・ヤンソン『誠実な詐欺師』の紹介はこちら

▲トップ




2006/07/13(Thu)
●酒井駒子 著『金曜日の砂糖ちゃん』(偕成社)
●アンソニー・ドーア 著/岩本正恵 訳『シェル・コレクター』(新潮社)

本屋さんで、絵本『赤い蝋燭と人魚』を見て以来、気になっていた酒井駒子さん。
そう、わたしは『よるくま』でなく、ざらざらした油絵タッチの絵のほうに惹かれて、『金曜日の砂糖ちゃん』を購入しました。
表紙の女の子の絵がまず素敵。
装幀を担当されているのが祖父江慎氏で、表紙カバーも表紙も、文字と絵が箔押しされているのが、本好きにはたまりません。
表紙をめくると、しわ感のある半透明の紙に、タイトルと著者名と、一匹の蜂の絵。
次のページに刷られた、一輪の黄色い花が透けて、蜂が花の蜜を吸っている様子が、見てとれる仕掛けになっています。
こぶりの本の中には、3篇の、幻想的で短いおはなしがおさめられ、子どもを描いているのだけれども、大人向けの絵本に仕上がっていると思いました。
いつかは『赤い蝋燭と人魚』も欲しいですね。
本との出会いはタイミングが大事だから、今はその時ではないと感じるのだけれども。

『シェル・コレクター』は、『アルネの遺品』の素晴らしさに感動して以来注目している、「新潮クレスト・ブックス」シリーズの中の一冊。
気鋭の作家の処女短篇集。冒頭の一篇「貝を集める人」から、もうその描写力に感嘆させられます。

→ジークフリート・レンツ『アルネの遺品』の読書日記はこちら

▲トップ




2006/07/11(Tue)
●アンネ・エルボー 作/木本 栄 訳
『そらいろの いえ』(ひくまの出版)

『おつきさまは よる なにをしているの?』で、99年ボローニア絵本賞(ラガッツィ賞)を受賞した、アンネ・エルボーの絵本。
大判・縦長サイズで、カバーをはずすと、本の背の部分が布張りという、凝った装幀。

この『そらいろの いえ』は、絵本作家ワンダーランド<公式サイト>で、ちらっと中の絵を見て、どうしても欲しくなってしまった一冊。
やっぱり素敵な絵でした。大胆な構図と、美しい色彩。
おはなしに関しては、ネット上で、いまひとつという意見も見かけたので、ふむふむ? と構えながら読んだのでしたが、そう納得できない結末でもありませんでした。

このひろく美しい空の下で暮らしたい、と思った旅人は、空と海をみはらす丘の上に家を建てますが、その家は鳥たちに馬鹿にされてしまいます。 壁を空色に塗ってみてもからかわれ、タイルで飾り立ててみても、そのタイルは風で剥がれ落ち……。
最後に、旅人は空の中に理想の家を描き、ひかりかがやく空の屋根の下で、しあわせに眠ったのです。

そういえばアンデルセン童話「旅の道づれ」でも、貧しい主人公ヨハンネスが、夜空の下で満ち足りて眠りにつく様子が描かれています。 野原の中は、ヨハンネスにとってはすばらしい寝室。花咲く草原は立派な絨毯。ニワトコの茂みや野バラの生垣は花束。 顔を洗うためには冷たい小川があり、お月様は青い天井に輝く大きなランプ……。

『そらいろの いえ』では、美しい自然に抱かれて生きたいなら、立派な家など建てる必要はなく、ただ空の下で眠ればいい、そういうことが描かれているのかな、と思いました。
空はすべての人間の幻想を容れることのできる、ひろいひろい家なのですよね。

→「アンネ・エルボーの絵本」はこちら

▲トップ




2006/07/06(Thu)
●ガブリエル・バンサン 作/もり ひさし 訳
『ふたりで しゃしんを ―くまのアーネストおじさん―』(BL出版)

くまのアーネストおじさんシリーズは、やっぱり好きです。
「あめの ひの ピクニック」も、素敵だなあと思ったのですが、この「ふたりで しゃしんを」も良いですね。

アーネストおじさんの昔の写真をこっそり見てしまって、そこに知らないしろねずみの子が写っていたため、やきもちをやくセレスティーヌの様子が、とっても可愛い♪
そして、アーネストおじさんの仕草のひとつひとつが、セレスティーヌへの愛情にあふれていて、絵を見るだけでぐっときます。
セレスティーヌは、こんなにも愛されているんだから、すねることなんてないのに…。
でも、セレスティーヌの気持ちもわかるなあ。

セレスティーヌにすねて泣かれて、アーネストおじさんが一体どうしたかは…結末が、また素敵なんです!

→「ガブリエル・バンサンの絵本」はこちら

▲トップ




2006/07/05(Wed)
●ガブリエル・バンサン 絵/ピリ・マンデルボーム 詩/もり ひさし 訳
『おやすみのまえに ―きょうのおなはし―』(BL出版)
●銀色夏生 × HARCO 『メール交換』(角川文庫)

『おやすみのまえに ―きょうのおなはし―』は、バンサンの淡い水彩画に、子どもたちの日常を切りとった短い詩が添えられた絵本。
ピリ・マンデルボーム氏というのは、バンサンの30年来の友人で、絵からインスピレーションを受けて詩作に取り組んだのだそうです。
バンサンの絵は、まだ水彩画の作品しか見たことがないけれども、なんともいえない雰囲気があります。

この絵本では、細い枠の中に水彩の絵が描かれているスタイル。
夏の終わりの海辺の情景を描いた絵が、とくに好きです。

『メール交換』は、本屋さんで、銀色さんの新刊がないかな〜とぶらぶらしていて、見つけました。
ミュージシャンHARCOとの、実際のメールのやりとりを、そのまんま本にしてしまった! という一冊。
表紙には、「GINIRONATSUO COLLABOSERIES 1」とあるのですが…じゃあ、2も3も、続けて出るのでしょうか?
相変わらず、面白い本、作ってるなあと思います。

→「ガブリエル・バンサンの絵本」はこちら

▲トップ




2006/07/02(Sun)
●マリー・ホール・エッツ 文・絵/よだ じゅんいち 訳
『わたしとあそんで』(福音館書店)

表紙の女の子の表情にひかれて、購入。

やさしい絵、温もりのあるおはなし。
自然とともにあることの喜びが、しずかに伝わってくる絵本。
作者自身が自然にしたしみ、ちいさな草花や生き物たちに愛情をもっていたことがよくわかる。
すべてのページで、女の子をやさしく見守るおひさまの表情が、なんといっても素敵。
表紙も、中の絵も、淡い、おひさまの色で統一されている、そのシンプルさも良い。

→「マリー・ホール・エッツの絵本」はこちら

▲トップ

本の蒐集記録 Index へ戻る



■HOME