〜手のひらサイズの絵本の中に、ちいさないのちが息づく〜
●イーダ・ボハッタ ― Ida Bohatta ―
1900年4月15日、ウィーンに生まれる。
ポストカードの仕事を経て、絵本作家に。 ドイツ語圏で、世代を超えて愛されてきた作家で、その著作は70冊を超える(→Amazon「イーダ・ボハッタの洋書絵本」)。 愛らしくユーモアあふれる作品の数々は、草花やちいさな生き物たちへのあたたかい眼差しが印象的。1992年11月、没。 |
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「はなのこどもたち」イーダ・ボハッタ 作/松居スーザン 永嶋恵子 訳(童心社) |
イーダ・ボハッタの絵本はどれも、かわいい、かわいい、ちいさな一冊。B6変型判の、てのひらサイズの本の中に、見ているだけで微笑んでしまう、やさしい愛らしい絵が、いくつもおさまっています。
装幀は祖父江慎 + 芥 陽子(コズフィッシュ)。きみどり色の表紙に、紺色の遊び紙のコントラストがおしゃれ。カバーをはずすと、表紙と背表紙にレイアウトされた原題がエンボス加工になっていて、とっても素敵です。 『はなのこどもたち』というタイトルどおり、ねこやなぎや、すみれ、ヒース、のばらなど、ちいさくてささやかな野の花々が、子どもの姿に擬人化されて描かれているのですが、これがとっても愛らしいです。 色使いもふんわりとやさしくて、ほんとうに眺めているだけで、にっこりとしてしまいます。 ひとつの花の絵に、ひとつの短い詩が添えられたスタイルで、物語はありません。短詩はごく明快なもので、自然へのやさしさと、人間への希望にみちています。 →Amazon「はなのこどもたち (イーダ・ボハッタの絵本)」 |
「かわいいひかりのこたち」イーダ・ボハッタ 作/松居スーザン 永嶋恵子 訳(童心社) |
イーダ・ボハッタの絵本はどれも、かわいい、かわいい、ちいさな一冊。B6変型判の、てのひらサイズの本の中に、見ているだけで微笑んでしまう、やさしい愛らしい絵が、いくつもおさまっています。
装幀は祖父江慎 + 芥 陽子(コズフィッシュ)。赤をバックに、黄色のひかりの子どもたちの絵が映える表紙。カバーをはずすと、表紙と背表紙にレイアウトされた原題がエンボス加工になっていて、とってもおしゃれなんです。 ひとつの絵に、ひとつの短詩が添えられたスタイル。物語はなく、太陽の光と野の花の出会いをモチーフにした絵が、やさしい色彩で描かれています。 光の擬人化である、黄色にかがやく子どもたちが、これも擬人化された野の花たちと戯れる様子がほほえましく、ひかりのこが、たんぽぽの古いぼうしを、あたらしいお花のボンネットにとりかえるという絵と詩など、オルファース『ちょうちょのくに』を彷彿させるものがありました。 →Amazon「かわいいひかりのこたち (イーダ・ボハッタの絵本)」 |
「雨だれぽとり」イーダ・ボハッタ 作/松居スーザン 永嶋恵子 訳(童心社) |
イーダ・ボハッタの絵本はどれも、かわいい、かわいい、ちいさな一冊。B6変型判の、てのひらサイズの本の中に、見ているだけで微笑んでしまう、やさしい愛らしい絵が、いくつもおさまっています。
装幀は祖父江慎 + 芥 陽子(コズフィッシュ)。雨ふる曇り空を思わせるグレーの表紙に、赤い遊び紙が映えます。カバーをはずすと、表紙と背表紙にレイアウトされた原題はエンボス加工。原題のフォントも素敵なので、カバーをはずして本棚などにちょこっと飾ってもかわいいです。 ひとつの絵に、ひとつの短詩が添えられたスタイル。物語はありませんが、愛らしく擬人化された雨だれたちが、そこかしこで活躍・冒険する様子が描かれています。 雨だれたちと一緒に描かれている、わすれなぐさ、ひなぎく、たんぽぽなどの野の花は、上記の2冊と同じくかわいい。ちいさいいのちたちへの眼差しのあたたかさを感じます。またこの本では力強い波や、月明かりに照らされた夜の海などが描かれているのも印象的です。 それからこの絵本、テキストのページに添えられた小さなモノクロ絵もかわいくて見逃せません。水が足りなくて倒れてしまったわすれなぐさを助けにきた「あまだれせんせい」に、お日さまを遮るための傘をさした「あまだれくん」など、みんなとってもかわいいです。 →Amazon「雨だれぽとり (イーダ・ボハッタの絵本)」 |
「ほしのこどもたち」イーダ・ボハッタ 作/松居スーザン 永嶋恵子 訳(童心社) |
イーダ・ボハッタの絵本はどれも、かわいい、かわいい、ちいさな一冊。B6変型判の、てのひらサイズの本の中に、見ているだけで微笑んでしまう、やさしい愛らしい絵が、いくつもおさまっています。
装幀は祖父江慎 + 芥 陽子(コズフィッシュ)。濃い青の表紙に、黄色いほしのこどもたちが配され、遊び紙もあかるい黄色と、あざやかなコントラスト。カバーをはずすと、表紙と背表紙にレイアウトされた原題がエンボス加工になっています。 ひとつの絵に、ひとつの短詩が添えられたスタイル。物語はなく、擬人化された「ほしのこどもたち」の愛らしい様子が描かれています。 「ほしのこどもたち」の姿は、無垢な幼い子どもや赤んぼうのよう。対して夜空を駆け抜ける「すいせいくん」のスマートなイケメンぶりが際立っています(笑)。また、「おつきさま」の満ち欠けするさまを、虫歯の治療や病気にたとえているところが、なんともユーモラス。虫歯が痛くてほっぺたを黒い布で包んだおつきさまは、市松模様のパジャマに赤いスリッパはいてます。 最後の見開きの詩「こもりうた」は、子どもを「ほしのこ」にかさねた親の願いがやさしくうたわれていて、おやすみ前のお子さんへの読み聞かせにぴったりなのでは? →Amazon「ほしのこどもたち (イーダ・ボハッタの絵本)」 |
「ようせいのおはなし」イダ・ホハッタ・モルプルゴ 著/ふかせ あきこ 訳(エンデルレ書店) |
エンデルレ書店、という聞き慣れない名前の書店さんから発行された、イーダ・ボハッタの幻の(?)邦訳絵本。
著者名の日本語表記が「イダ・ホハッタ・モルプルゴ」となっているのでややこしいけど、1979年発行で、上記の童心社の4冊より、実はこちらのほうが先に刊行されていたのです。Amazonではすでに古書扱い、セブンネットショッピングでは取り扱いがないようですが、本やタウンでは在庫あり(2010/02現在)。気になる方はチェックしてみてください。 手のひらサイズで、一葉の絵に一篇の詩が添えられた絵本の体裁は、上記の童心社の4冊と同じ。装幀には手作り感があり、表紙絵は、表紙の硬い紙の上に、別に貼り付けられています。タイトル文字はエンボス加工、薄い透明のカバーもついています。 絵はボハッタの初期の作のようで、初々しいタッチですが、妖精たちや草花の描き方が、ほんとうに愛らしくて素敵です。 この『ようせいのおはなし』には、こがねむしなど、ちいさな虫たちも登場しますが、虫たちへの親しみ深い眼差しは、やはりオルファースや、べスコフを彷彿させます。 ただ、明るい雰囲気の上記4冊と違い、この本には、少しもの哀しい感じの絵もあります。草花の擬人化ではなく、”妖精”そのものを題材にしているからでしょうか。 最後の見開き、<ようせい>という詩(下記引用)に並ぶ、霧に溶けいるような3人の白い妖精たちの絵は、とても幻想的で美しく、不思議に哀しい感じがします。 <ようせい> ふかせ あきこ 訳『ようせいのおはなし』より →ジビュレ・フォン・オルファースの絵本の紹介はこちら →Amazon「ようせいのおはなし (1979年)」 |
イーダ・ボハッタの絵本に興味をもったなら…
「ジビュレ・フォン オルファースの絵本」はこちら
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