■本の蒐集記録(2011年7-8月)


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2011/08/30(Tue)
●Luigi Ghirri 写真『Atelier Morandi』(PALOMAR)

『Atelier Morandi』は、イタリアの写真家ルイジ・ギッリ(あるいはルイジ・ギリ)が、画家ジョルジョ・モランディのアトリエを撮影した写真集です。
Amazonに画像がないので、ここに表紙を載せられないのが残念。
これまでも何度かこの「本の蒐集記録」で触れたとおり、この写真集に収録された作品は、筑摩書房「須賀敦子全集」のカバー写真として使われています。
須賀敦子全集 第2巻 (河出文庫) 仕方がないので、参考までに、「須賀敦子全集」の表紙画像を載せておきます。
ちくま文庫の「須賀敦子全集」を手にしたときから、この写真集が欲しかったのだけれど、(わたしにとっては)けっこうお値段がはる一冊だったので、あきらめていたのです。
でも下記に紹介したルイジ・ギッリの写真集『It's Beautiful Here, Isn't It...』がとても素敵で、これはやっぱり『Atelier Morandi』を買わなければ! と、ついに決心したのでした。

わたしは、東京の恵比寿にある、アートブックの古書と家具のお店、リムアートさんのオンラインショップで購入。
で、これがゆうメールで届いたのですけど、ゆうメールはポスト投函だから、雨に濡れないよう梱包に気を使いますよね。
普通は水濡れを防ぐために、ビニール袋で包んだりすると思うのですが、リムアートさんの梱包は違いました!
ビニールでなくパラフィン紙(グラシン紙?)で綺麗に、丁寧に包まれていたんです。図書館では使いまわしのビニール袋で見た目なんか構わずに包んでしまうのに…。
開封しながら、なんとも素敵だなあ、おしゃれだなあと感心しました。

ルイジ・ギッリの写真の素晴らしさは言うまでもありません。
やわらかな光が入るモランディのアトリエ、絵の題材となった静物、重ねて置かれた本、使い込まれた道具たちを、静謐に美しく切り取った写真の数々。
本のなかにタゴールの詩集があったり、白い壁に小さなイコンがかけられているのや、アトリエの壁の暗さと窓の向こうに見える白い壁の対比や、簡素な白いベッドと白い壁とが白のグラデーションのように撮られた写真や…何を見てもはっとさせられる美しさです。

迷っていたけど、いろんな意味で買ってよかった。リムアートさん、ありがとうございました。

『Atelier Morandi』は、Amazonではマーケットプレイスに出品あり。またリムアートさんのオンラインショップ等で、現在購入可能です。

→「本棚の奥のギャラリー[写真篇]」はこちら

→Amazon「Atelier Morandi
→リムアート「Atelier Morandi」(中の画像が確認できます)
→恵文社一乗寺店「Atelier Morandi」(中の画像が確認できますが、現在品切れ中です)

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2011/08/22(Mon)
●Luigi Ghirri 写真『It's Beautiful Here, Isn't It...』(aperture)

Luigi Ghirri: It's Beautiful Here, Isn't It... ルイジ・ギッリ(あるいはルイジ・ギリ)の名前を知ったのは、ちくま文庫「須賀敦子全集」のカバー写真がきっかけでした。
あのカバー写真(左下の画像)に惹かれた人は少なくないと思います。モランディの絵のようで、じっと見ると絵ではなく写真であることに気付く。どこまでも静かで、須賀敦子さんの文章によく似合う。
モランディのアトリエを撮ったというルイジ・ギッリの写真集『Atelier MORANDI』が欲しくなったのでしたが、Amazon等のネット書店では入手できず、お値段もはるので、あきらめていました。

須賀敦子全集 第1巻 (河出文庫) 『It's Beautiful Here, Isn't It...』は、ルイジ・ギッリの1970年代から80年代の終りにかけての仕事を集大成した写真集として、恵文社一乗寺店のサイトで紹介されていて(http://www.keibunsha-books.com/shopdetail/021000000012/order/)、Amazonでとてもお安く入手できることがわかったので、購入しました。
これがとても美しい一冊で、わたしはすっかりルイジ・ギッリの写真の世界に惹きこまれてしまったのです。
何というか…この写真集は、恵文社一乗寺店では「乙女ヴィジュアルブック」というカテゴリに入っているのですが、まさに乙女的なエッセンスがあります。
絵画のような色合い、ときに可憐ともいえそうなモチーフの選び方、またさりげなく施された仕掛けが見せてくれる風景は、わたしの勝手な連想では、勝本みつるさんのアッサンブラージュを見るように不思議で懐かしい気持ちにさせてくれる。
この写真集は、いくつかの写真集から数点の作品が選ばれてまとめられたものなので、『Atelier MORANDI』からも7点収録されていました。

でもねえ、『Atelier MORANDI』収録作品以外の写真も、とっても素敵なんです。ほんとに、あえて乙女的なものを撮ってるわけでは決してないのに、やっぱりどこか乙女的。
うわー、いい! やっぱりルイジ・ギッリいいよ〜!! とページを繰るたび一人で盛り上がり、結局『Atelier MORANDI』がどうしても欲しくなってしまうのでした。
写真家ウィリアム・エグルストンが序文を書いているというのも、写真好きの方には見逃せない部分なのでは。

→「本棚の奥のギャラリー[写真篇]」はこちら
→勝本みつるさんの作品集の紹介はこちら

→Amazon「Luigi Ghirri: It's Beautiful Here, Isn't It...

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2011/08/16(Tue)
●P・G・ウッドハウス 著/森村たまき 訳
『感謝だ、ジーヴス』(国書刊行会)
●P・G・ウッドハウス 著/岩永正勝・小山太一 編訳
『ドローンズ・クラブの英傑伝』(文春文庫)

感謝だ、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション) 国書刊行会のウッドハウス・コレクション最新刊。
あっという間に読み終わってしまいました。ああ面白い。
今回は、ジーヴスのファーストネームが初めて明かされた!というのが特筆すべきことでしょうか。
「彼にファーストネームがあるだなんて僕は考えたことすらなかった」と作中でバーティは語っていますが、ジーヴスの名前は読んでみてのお楽しみ。
それにしても、わたしがウッドハウス好きなのは、彼の作品の”偉大なるマンネリズム”を心地よく思うからでありますが、『感謝だ、ジーヴス』の訳者あとがきには、ウッドハウス自身の言葉として、このような文章が引用されています。
長年、私は読者たちからどうしてこんなに沢山のカントリーハウス小説を書き続けるのかと訊ねる手紙を受け取ってきたし、そのことはいつも私を驚かせてきた。私はレックス・スタウトのネロ・ウルフ・ミステリーを読んで、その舞台が三十五番街の彼の自宅でなかったら自分がおそろしくがっかりすることをよく知っている。 …(中略)…もし自分がユーゴスラビアやクリミアを舞台にした小説を書いたらそれが進歩だなどと、私は思わない
まさに、そう!そのとおり!「すべての良質の文学作品の目的とは、つまらぬ悩み事を心のうちから追い払うことである」(*)以上、ウッドハウスの作品はやはり、マンネリでなくっちゃいけないのです。

ドローンズ・クラブの英傑伝 (文春文庫) 『ドローンズ・クラブの英傑伝』は、文芸春秋からの刊行。バーティもその名を連ねる”ドローンズ・クラブ”のお気楽メンバーたちが繰り広げる、ユーモア短篇の傑作選です。
文庫訳しおろしですが、収録作品のいくつかは、国書刊行会で森村たまきさんがすでに訳出されたものと重複していることを記しておきます。
国書刊行会と文芸春秋は、ウッドハウス作品を邦訳し続けてくれていて、ほんとうにありがたいです。作品が重複しているものは、訳の違いを味わう楽しみがあります。
ウッドハウスが文庫で気軽に手に入る…そんな日が訪れたことを喜びつつ…。

*P・G・ウッドハウス 著/森村たまき 訳『ブランディングズ城の夏の稲妻』より

→「イギリスはおもしろい」はこちら

→Amazon「感謝だ、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション)
→Amazon「ドローンズ・クラブの英傑伝 (文春文庫)

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2011/08/08(Mon)
●天沼春樹 作/北見葉胡 絵『リトル・レトロ・トラム』(理論社)
●かんのゆうこ 文/北見葉胡 絵『カノン』(講談社)

リトル・レトロ・トラム 北見葉胡さんは、絵本や児童書のイラストを多数手がけていらっしゃる絵本作家さん。
北見さんのことは、このサイトを見てくださった方が、管理人あてにメールで教えてくださいました。
北見さんのホームページ「北見葉胡の異次元からくり箱」(http://www.asahi-net.or.jp/~bg4t-ktm/index.html)を拝見すると、北見さんは、「安房直子コレクション」のカバー装画も描いていらっしゃったとのこと。
「安房直子コレクション」は、装幀をクラフト・エヴィング商會が担当しているので、表紙絵のことを憶えていました。
とても素敵な絵を描かれる方だと知り、さっそく絵本を購入しました。

カノン (講談社の創作絵本) 『リトル・レトロ・トラム』と『カノン』は、北見さんのホームページで調べて、表紙の絵の雰囲気に惹かれた2冊。
北見さんの絵は、一見かわいい中にも、シュールな味わいがあるのが魅力的。
2冊とも、街の風景などが細部まで描きこまれているのですが、これらの絵をすみずみまで眺めるのがとても楽しい! シュールでかわいい見どころがたくさんあるんです。
空を泳ぐ魚。画面のどこかに必ず隠れている、不思議な植物や動物や、小人(?)たち。建物と、これら登場人物たちの大きさのバランスがあえて崩され、シュールな光景が作り出されています。
『リトル・レトロ・トラム』の中では、輪まわし遊びをする女の子がそこかしこに見え隠れしているのですが、これなどキリコの絵『街角の神秘と憂鬱』へのオマージュなのかな、などと考えてしまいます。
あと『リトル・レトロ・トラム』も『カノン』も、お話の最後が、終わりだけれどいつまでも終わらないというような、不思議な味わいになっていて、そんなテキストの面白さを、北見さんの絵がよりいっそうふくらませています。

とてもかわいいのだけれどかわいすぎない、北見さんのシュールな絵本、もっと読んでみたいなあと思っています。

→「クラフト・エヴィング商會の本」はこちら

→Amazon「リトル・レトロ・トラム
→Amazon「カノン (講談社の創作絵本)

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2011/07/19(Tue)
●ルドウィッヒ・ベーメルマンス 作・画/瀬田貞二 訳
『マドレーヌといたずらっこ』(福音館書店)
●ルドウィッヒ・ベーメルマンス 作/江國香織 訳
『ゴールデン・バスケットホテル』(BL出版)

マドレーヌといたずらっこ (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本) 『マドレーヌといたずらっこ』は、福音館書店から出ている<マドレーヌ>シリーズの一冊。
この『いたずらっこ』では、スペイン大使の坊っちゃんぺピートが初登場。
BL出版から出ている『ロンドンのマドレーヌ』を持っているのですが、こちらはマドレーヌたちが、病気になったぺピートをロンドンにお見舞いに行くという話で、『いたずらっこ』でやっと話がつながりました。
ほんとにぺピートって「いたずらっこ」だったんだなあと納得。
そしてベーメルマンスの絵の素晴らしさは言うまでもなく。見返しの絵も中身の見開きページにも、パリの風景がカラフルに描かれていて、やっぱり<マドレーヌ>シリーズは大人が読んでも楽しいのです。

ゴールデン・バスケットホテル 『ゴールデン・バスケットホテル』は、<マドレーヌ>のベーメルマンスが書いた子ども向けの物語で、絵本ではなく読み物だけれど、ベーメルマンスの愛らしい挿絵が付され、お話の中にはちょこっとマドレーヌたちも登場します。
あ、裏表紙にこっそりマドレーヌたち12人の女の子の後ろ姿が描かれている!
ベーメルマンスは<マドレーヌ>シリーズ以外にも、『山のクリスマス』などの、地味だけれどじっくり読ませる良質な物語を生みだしているので、『ゴールデン・バスケットホテル』はまだ読んでいないけれど、読むのが楽しみ。
「襟ボタン、金の時計、金魚、そしてムッシュ・カルヌヴァル」「フランス人の将官、きゅうりのサラダ、十七号室の潜水艦、そしてリネンの数え方」「大聖堂、神聖な心を持った女の子たちとマドレーヌ、アヴィニヨン橋、そして一本の道」などなど、章タイトルを眺めているだけでも面白そう。
またこの章タイトルからもわかる魅力的な道具立てと、二人のかわいい女の子を主人公としたお話を、江國香織さんが訳しているのも見逃せません。
ちょっと難しい言葉もあえて使う江國香織さんの訳は、おしゃまでかわいい女の子の物語にこそしっくりくる気がします。

→「ルドウィッヒ・ベーメルマンスの絵本」はこちら

→Amazon「マドレーヌといたずらっこ (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
→Amazon「ゴールデン・バスケットホテル

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2011/07/12(Tue)
●Lisbeth Zwerger 著
『The Art of Lisbeth Zwerger』(North-South Books)
●Hans Christian Andersen 著/Lisbeth Zwerger 絵
『Thumbeline』(North-South Books)

The Art of Lisbeth Zwerger (The art of...catalogues) こつこつと集めつづけているリスベート・ツヴェルガーの絵本。

『The Art of Lisbeth Zwerger』は、ツヴェルガーの初期から1993年までの作品を収録した画集。洋書ですが、イラスト中心なので、英語が読めなくても大丈夫です(^^)
まあ、ツヴェルガーの絵本はすでにいろいろ持っていて、この画集に収録されている絵も、絵本とけっこう重複していたりするのですが…。
でも買ってしまいましたね〜。

この画集、なにしろ装幀が素敵なんです。
アンデルセン「オーレ・ルゲイエ」の挿絵が配された表紙、そこに凹凸のある黒い厚紙のカバーがかけられ、カバーの切り抜かれた部分から死神の絵がのぞくようになっており、さらにその上に透明カバーがかかっていて、この透明カバーにしゃれたフォントで書名が白く印刷されているのです。
本の中身も、ちいさい窓を切り抜いた紙が差し挟まれて、その窓から絵をのぞく仕掛けが施されていたり、窓をはずすと絵の全体が見えるんですけど、これが絵本では裁ち切られる端の部分まで載っているものもあったりして、レイアウトが凝っていて楽しい。
また現在では入手困難な『ふしぎな子』『ぶたかい王子』『くるみわり人形とねずみの王さま』『わがままな大男』『ティル・オイレンシュピーゲルのゆかいないたずら』からの抜粋もあるし、未邦訳のオスカー・ワイルド『The Canterville Ghost』の挿絵も載っている!
わ〜、『The Canterville Ghost』欲しい〜、と思ってしまいました。買っても英語読めないけど…。
やっぱり処女作『ふしぎな子』の絵は、なんとも興味深いです。抑えた渋めの色使い、アーサー・ラッカムの影響を受けたというのが頷けます。

ツヴェルガーの絵に興味はあるけど、どの絵本を買えば良いのかわからない、絵本をたくさん集めるのはちょっと…という方は、この画集だけでも持っていると、かなり楽しめるのではないでしょうか。
わたしは、この画集の装幀があまりにおしゃれなので、思わず部屋に飾ってしまいました。

Thumbeline ずっと欲しかった画集を思い切って購入したついでに、邦訳版は入手困難となっているツヴェルガーの『おやゆびひめ』、洋書のペーパーバック版を入手しました。
洋書絵本ってけっこう廉価版のペーパーバックがあるんですよね。この『Thumbeline』も、とてもお安い…ので、つい買ってしまったのですが。
ちなみに『Thumbeline』の絵の何点かは、上記の画集に収録されています。でも王子さまの絵とか、絵本でしか見ることのできないものも、もちろんあります。

『Thumbeline』も表紙の絵がなんとも雰囲気があるので、画集とともに部屋に飾って眺めています。
セピア色の絵具のにじみの中に、ほの白く浮かび上がる花と、どこか大人っぽいおやゆびひめ…。
ツヴェルガーの絵、やっぱり好きです。

→アーサー・ラッカムの紹介はこちら
→「リスベート・ツヴェルガーの絵本」はこちら

→Amazon「The Art of Lisbeth Zwerger (The art of...catalogues)
→Amazon「Thumbeline

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2011/07/05(Tue)
●Edmund Dula 著/Jeff A. Menges 編『An Edmund Dulac Treasury: 116 Color Illustrations』(Dover Publications)
●森 麗子 著『糸の旅 思い出とともに… 森麗子画文集』(求龍堂)

An Edmund Dulac Treasury: 116 Color Illustrations (Dover Books on Fine Art) 『An Edmund Dulac Treasury』は、20世紀初頭のイギリス挿絵黄金時代に活躍し、アーサー・ラッカムと人気を二分したエドマンド・デュラックの挿絵作品集。
デュラックの挿絵本やイラスト集はいくつか持っているのですが、この6月に新しく刊行された『An Edmund Dulac Treasury』、やっぱり買ってしまいました。
この表紙、オマル・ハイヤーム『ルバイヤート』の挿絵なんです。デュラックの『ルバイヤート』は見たいな〜と思っていたので。
他は、同じくJeff A. Menges 編の『Dulac's Fairy Tale Illustrations In Full Color』と重複している絵もあるのですが、『ジェーン・エア』や『テンペスト』、エドガー・アラン・ポーの詩集の挿絵なども収録されていて、イントロダクションに挿入された絵も含め116点のカラー作品は、どれも見ごたえあり!
Dover Publicationsがよく出してくれる、ペーパーバックの量産品で、フルカラーなのに安価で、イラスト中心で英語が読めなくても楽しめるので、デュラックに興味ある方にはおすすめのイラスト集です。

それにしても20世紀初頭のイギリスでは『ルバイヤート』やポーの作品は流行だったんですね〜。よくウッドハウスの小説にもオマル・ハイヤームやポーの名前は登場しますし。
今はもちろん流行ではなくて古典になっちゃいましたが、新書館さんとかでデュラック『ルバイヤート』の邦訳版、美麗な装幀で出してくれないでしょうか…夢のように美しい詩集になることと思うのですが…。

糸の旅 思い出とともに…―森麗子画文集 『糸の旅』は、森 麗子さんの、糸でつくる絵画「ファブリックピクチャー」の作品集。
初期作品〜近作までの中から84点が収録され、書き下ろしのエッセイが付されています。
ファブリックピクチャーというのは、染め、刺し、織り、アップリケなどの技術を自在に使って、布に絵を描いたもの。
森 麗子さんの作品は、北欧の街の落ち着いた佇まいや、森などの牧歌的な風景が、単純化された線と、美しい色と、布のさまざまな質感で表現されています。

ファブリックピクチャーを眺めているだけで、とても落ち着いた心持ちになってくるのは、これらの絵が、糸を染めたり、布を織ったり、刺繍をしたりといった長い時間のすえに出来上がっていて、そのことが何とも言えぬあたたかみを醸し出しているからなのだと思います。

→求龍堂サイトで、『糸の旅』の中身を少しだけ確認できます。

→エドマンド・デュラックの紹介はこちら
→オマル・ハイヤーム『ルバイヤート』の紹介はこちら
→『木立をすぎる時間 森麗子画文集』の紹介はこちら

→Amazon「An Edmund Dulac Treasury: 116 Color Illustrations
→Amazon「Dulac's Fairy Tale Illustrations in Full Color
→Amazon「糸の旅 思い出とともに…―森麗子画文集

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