■春の絵本



あたたかい陽だまり、芽吹く草花、姿をあらわす小さな虫たち。
命の息吹を感じさせる、春に読みたい絵本たち。



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「うさぎのくにへ」

「ちょうちょのくに」

「ねっこぼっこ」

「はなのこどもたち」

「春のうたがきこえる」

「ルピナスさん」

「わたしとあそんで」



「うさぎのくにへ」

ジビュレ・フォン オルファース 作/秦 理絵子 訳(平凡社)
うさぎのくにへ
ここは、みどりの森のなか。むくむくちゃんと、ぷくぷくちゃん。森番しているおとうさんが、きのことりをしてる間に、 うさぎのかあさんに連れられて、うさぎのくにへ。 てづくりの、うさぎのふくを着せてもらって、こうさぎたちの仲間いり。

この絵本では、森に迷い込んだふたりの子どもが、無事に家に帰りつくまでのおはなしが、楽しく描かれています。 森に暮らすうさぎたちの様子が、愛らしく生き生きと描かれ、リズミカルな短い文章とあわせて、 子どもへの読み聞かせにぴったりではないかなと思います。
うさぎの描写がとにかく秀逸。かわいすぎず、リアルすぎず、こうさぎたちの表情が丁寧に描き分けられ、 それぞれの個性がよくわかります。カラーの絵の上部に、モノクロで描かれた植物や小鳥の絵もかわいく、春の森の様子をよく伝えています。

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「ちょうちょのくに」

ジビュレ・フォン オルファース 作/秦 理絵子 訳(平凡社)
ちょうちょのくに
とおいとおい、はるかなくにで、しあわせにくらす、ちょうちょたち。さなぎのこどもは、花のおにわであそんだり、 とんぼのおねえさんに、ダンスをならったり。やがて春の誕生日がやってきて、かがやく光の使いから、ちょうちょの羽をもらいます。

この絵本は、オルファースの死後出版された遺作です。
ちょうちょという、子どもにとっては親しみ深い生き物たち。 ちいさな命がさなぎから蝶へと成長する過程を、オルファース独特の、やさしいファンタジーで描いています。
この絵本の絵は、荘厳としか表現のしようがありません。蝶たちが花を愛でる庭園は、天国もかくやと思われる美しさ。 金の槍を手にした太陽の使いや、春風の中を飛びかう色とりどりの羽の蝶たちは、 まさに天使のよう。最後の、夕べのちょうちょの行列の絵は、はるかな幻想の世界へと、読者を誘います。

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「ねっこぼっこ」

ジビュレ・フォン オルファース 作/秦 理絵子 訳(平凡社)
ねっこぼっこ
「さあ おきなさい こどもたち もうすぐ春が やってくる」
ねっこぼっこは土のなか、大地のかあさんの声でめざめます。 そとのせかいにくりだして、よろこびの春、かがやく夏を楽しんで、秋にはまた、大地のかあさんの、おうちのなかへ。

この絵本は、四季のめぐりの美しさを、親しみ深く自然によりそって描いた作品です。
大地に育まれたちいさな虫や野の花たちを、オルファースは「ねっこぼっこ」という、愛らしい子どもの姿で描いています。 この「ねっこぼっこ」の視点が、読者を容易に絵本の中へ誘い込み、 季節のうつりかわりや、ちいさな命の大切さを思い起こさせてくれるのです。
様式美を感じさせる、左右対称の草花の飾り罫や、宗教画に出てくる天使のように愛らしい「ねっこぼっこ」たち。 わたしはこの一冊で、オルファースの絵の虜になったのでした。

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「はなのこどもたち」

イーダ・ボハッタ 作/松居スーザン 永嶋恵子 訳(童心社)
はなのこどもたち (イーダ・ボハッタの絵本)
イーダ・ボハッタの絵本はどれも、かわいい、かわいい、ちいさな一冊。B6変型判の、てのひらサイズの本の中に、見ているだけで微笑んでしまう、やさしい愛らしい絵が、いくつもおさまっています。
装幀は祖父江慎 + 芥 陽子(コズフィッシュ)。きみどり色の表紙に、紺色の遊び紙のコントラストがおしゃれ。カバーをはずすと、表紙と背表紙にレイアウトされた原題がエンボス加工になっていて、とっても素敵です。

『はなのこどもたち』というタイトルどおり、ねこやなぎや、すみれ、ヒース、のばらなど、ちいさくてささやかな野の花々が、子どもの姿に擬人化されて描かれているのですが、これがとっても愛らしいです。 色使いもふんわりとやさしくて、ほんとうに眺めているだけで、にっこりとしてしまいます。
ひとつの花の絵に、ひとつの短い詩が添えられたスタイルで、物語はありません。短詩はごく明快なもので、自然へのやさしさと、人間への希望にみちています。

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「春のうたがきこえる」

市川里美 作(偕成社)
春のうたがきこえる
この作品は、作者の市川里美さんが、イースターの休暇をブルゴーニュ地方のいなかで過ごした折の思い出を、一冊の絵本に仕上げたものです。
この絵本を手にとると、春の、あのやわらかくまぶしい光が、心の奥に希望のようによみがえってくる、そんな気がします。

やわらかい色使いの、郷愁に満ちた画風。どの絵も、春の野原で、子どもたちの遊びたわむれる様子が、あたたかく繊細に描かれています。
なんというか、わたしはこの絵本の装幀が好きだなと思っていて、まずカバーのつや消しの紙の風合いが素敵。
ページを開くと、見開きの左側に短い文章がぽつんとあって、右側に額縁におさまったような体裁のちいさな絵があり、全体的に白い余白のスペースが多いのが印象的です。
この空白が、とても良いと思うのです。読者の思い出を喚起する「間」になっているというか。

忙しい人に、春の光や風のにおいとともに、しずかでゆっくりとした時間を与えてくれる、そんな素晴らしい絵本だと思います。 春の野原にピクニックに出かける気分で、どうぞページをめくってみてください。

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「ルピナスさん」

小さなおばあさんのお話
バーバラ・クーニー 作/掛川恭子 訳(ほるぷ出版) 〜6歳から〜
ルピナスさん―小さなおばあさんのお話
海を見下ろす丘の上に住むルピナスさん。彼女はこどもの頃、おじいさんと約束しました。 「世の中を、もっとうつくしくするために」何かをするということを。 大人になり、遠い国々を旅したあと、 彼女が約束を果たすためにやったこと。それは海辺の村を、大好きなルピナスの花で一杯にすることでした。

この絵本は、ルピナスさんと呼ばれたひとりの女性の、ひとつの生き方を描いた作品です。 彼女はおじいさんと約束をし、はじめは何をすれば良いのかわかりませんでしたが、自分の頭で考え、自分の心で感じて、 やがてひとつの答えを見つけます。 「世の中を、もっとうつくしくする」方法に、ただひとつの、正しい答えはありません。 だからこそ、一人ひとりが希望をもって、生きていくことができるのではないでしょうか。
ページをめくるたびに、色づかいのやさしい絵が、ひとの心と世界のうつくしさを伝えてくれます。

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「わたしとあそんで」

マリー・ホール・エッツ 文・絵/よだ じゅんいち 訳(福音館書店)
あさひが のぼって、くさには つゆが ひかりました。 わたしは はらっぱへ あそびに いきました。

『わたしとあそんで』より

わたしとあそんで (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本) ばった、かえる、かめ、りす、かけす、うさぎ、へび…わたしはいろんな動物たちに「あそびましょ」と誘いかけますが、みんな逃げ出してしまって、一緒に遊んでくれません。
さびしくなって、ひとりぼっち、しずかに池のそばの石に腰掛けていると、動物たちが一匹、また一匹と戻ってきて…。

表紙の女の子の表情にひかれ、購入した一冊。
やさしい絵と温もりのあるおはなしで、自然とともにあることの喜びが、しずかに伝わってくる絵本です。
ばった、かえる、へびなど、苦手な女の子も多いに違いない、ちいさな生き物たちの描写。 ちちくさのたねをぷっとふきとばす仕草や、みずすましが池の表面にすじをひいて移動する様子。 どの場面をとっても、作者自身が自然にしたしみ、ちいさな草花や生き物たちに愛情をもっていたことが、よく伝わってきます。
すべてのページで、女の子をやさしく見守るおひさまの表情が、なんといっても素敵。 表紙も中の絵も、淡い、おひさまの色を背景にした鉛筆画で、色数の少ないシンプルさも良いです。

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