■本の蒐集記録(2007年5-6月)





2007/06/30(Sat)
●モーリス・センダック 作/神宮輝夫 訳
『とおいところへいきたいな』(冨山房)
●モーリス・センダック 作/神宮輝夫 訳
『ちいさなちいさなえほんばこ』(冨山房)

センダック熱にうかされる日々。
というわけで、『とおいところへいきたいな』は、センダックの初期作品。
これはタイトルがわたしの気分にぴったりだったので(?)購入。
あかちゃんの世話にかまけて相手をしてくれないお母さんに腹をたて、家を出たマーチン少年。
途中で出会った馬、すずめ、猫とともに、「とおいところ」を目指しますが…。
オレンジと黒しか使われていないシンプルな絵が、やっぱり素敵。
「とおいところ」へ行きたくて、ちいさな冒険をして、やっぱりもとの場所に帰ってくるという筋書きに、 デュボアザン『ゆくえふめいのミルクやさん』を思い出したりもしました。
誰しも結局は、もとの場所に帰ってくるものなのでしょうか?

『ちいさなちいさなえほんばこ』は、センダックの豆本4冊セット。
タイトルどおり、ちいさなちいさなえほんばこに、手のひらにすっぽりおさまるほどの、ちいさなちいさなえほんが4冊入っています。
全4巻の構成は、下記のとおり。

「アメリカわにです、こんにちは」(アルファベット絵本)
「ピエールとライオン」(教訓的な絵本)
「ジョニーのかぞえうた」(1〜10までのかぞえうたの絵本)
「チキンスープ・ライスいり」(12の月の絵本)

どれもかわいく、豆本好きにはたまらないのですが、とりわけお気に入りなのは、「チキンスープ・ライスいり」!
必ず「チキンスープ・ライスいり」という言葉で締めくくられる、リズム感あふれるテキストと、 センダックらしい幻想に彩られたイラストが、とても素敵。
何ともおいしそうな「チキンスープ・ライスいり」を、ぜひ食べてみたいものです。
『ちいさなちいさなえほんばこ』は、4冊とも、神宮輝夫氏の訳がほんとうに素晴らしいなと思いました (とくに「ジョニーのかぞえうた」なんか、こんなにうまく日本語にできるものなんだなあ、と感心)。

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2007/06/24(Sun)
●ドリス・シュワーリン 文/カレン・ガンダーシーマー 絵/木島 始 訳『あすはきっと』(童話館出版)
●ジャニス・メイ・ユードリー 文/モーリス・センダック 絵/こだま ともこ 訳『きみなんかだいきらいさ』(冨山房)
●モーリス・センダック 作/神宮輝夫 訳『ケニーのまど』(冨山房)

下記に紹介した『とっときのとっかえっこ』で、カレン・ガンダーシーマーの絵に魅了されてしまったわたし。
『あすはきっと』も、ガンダーシーマーの絵がとっても素敵な一冊。
この絵本は、見返しもかわいい〜。
『とっときのとっかえっこ』と違い、絵はフルカラーで描かれており、やはり、ちまちま、ほのぼのとしたタッチに心が和みます。
ドリス・シュワーリンによるテキストも素晴らしいです。「あすはきっと」楽しいことがあるよ、「あすはきっと」今日より何もかも良くなるよ、という、シンプルなメッセージ。
こういうの、実はわたしは、ちょっと斜にかまえて読んでしまいがちなのですが、「絵本」という形式になると、素直に心に入ってくるんですよね。
たとえばゴフスタインの『生きとし生けるもの』なんかも、そう。
絵本って、やっぱり、子どもも大人も関係なく楽しめる、すばらしい芸術作品だなあと思います。

そしてついに、センダック熱、到来!
『うさぎさんてつだってほしいの』も、美しい絵だなあ、好きだなあと思ったのですが、『シャーロットとしろいうま』で確信。
モーリス・センダックって、子どもの感じる不安や、そこから生まれる幻想を描いている人なんだ、と。
『きみなんかだいきらいさ』は、男の子ふたりのケンカの様子を描いたちいさな絵本ですが、 こんなユーモラスな作品でも、センダックの描線には、子どものさびしさや孤独がにじんでいるようです。

とりわけセンダックの処女作『ケニーのまど』は、幻想的で詩情に満ちた、とても美しい一冊。
ケニーの孤独、子どものみる夢の深さ、家族への愛情。一読して難解な印象もありますが、絵もおはなしも大好きになりました。
詩的でふしぎなケニーの夢の風景を味わううち、なんとなく、ジョージ・マクドナルドの『北風のうしろの国』などの作品に通じるものを感じたのですが、 訳者のあとがきによると、センダックはマクドナルドの『The Golden Key(黄金の鍵)』に絵を寄せているとのことで、なるほどと深く納得しました。
アマゾンで検索してみれば、センダックは同じくマクドナルドの『The Light Princess(かるいお姫さま)』にも挿絵を描いているではありませんか。
『The Golden Key』は、現在邦訳版はどれも絶版になってしまっているし、センダック挿絵のこの2冊、なんとか邦訳されないものかなあ、なんて思ってしまいます。

→マクドナルド『北風のうしろの国』の読書日記はこちら
→マクドナルド『かるいお姫さま』の読書日記はこちら

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2007/06/17(Sun)
●サリー・ウィットマン 文/カレン・ガンダーシーマー 絵/谷川俊太郎 訳『とっときのとっかえっこ』(童話館出版)
●ルース・クラウス 文/モーリス・センダック 絵/わたなべ しげお 訳『あなはほるものおっこちるとこ ちいちゃいこどもたちのせつめい』(岩波書店)
●ルース・クラウス 文/モーリス・センダック 絵/こだま ともこ 訳
『シャーロットとしろいうま』(冨山房)

『とっときのとっかえっこ』は、赤い表紙に、仲の良さそうなおじいさんと女の子の絵が印象的な一冊。
もうその表紙だけで欲しくなってしまった絵本ですが(裏表紙も良いんですよね〜)、中身もとても良かったです。
カレン・ガンダーシーマーの絵が、とにかく素敵。
この作品では、赤と黄色を基調に、ちまちま細かく描きこまれた絵がなんともかわいらしく、ほのぼのとした雰囲気を醸し出しています。
おはなしは、子どもというより大人の心にぐっとくるもので、老いについて、悲壮でなく、やさしい感性で描かれています。
谷川俊太郎 訳というのも、見逃せないところです。

『あなはほるものおっこちるとこ』は、モーリス・センダックの作品のひとつで、<岩波の子どもの本>シリーズのなかの一冊として刊行されています。
この絵本もまた、子どもの本なのに、大人にも訴えかける一冊。ルース・クラウスがアメリカの幼稚園や保育園の子どもたちと一緒に、 大人の常識をくつがえす「ことばの定義」を試みた、楽しい絵本。
「おしろは すなばで つくるもの」
「かいがらは うみの おとを きくもの」
「とけいは ちくたく おとを きくもの」
オレンジがかった紙に、モノクロの絵(センダックの描線の味わい深いこと!)、テキストは茶色というデザインが、素朴でとっても素敵です。

『シャーロットとしろいうま』もまた、モーリス・センダックの作品。手のひらサイズの、それはそれは美しい一冊です。
表紙のデザインといい、見返しの花模様といい、本文に入るまでの標題紙など、読者の期待を高めるアプローチの長さといい…。
シャーロットと、彼女のしろい馬(その名も「あまのがわ」!)との友情の物語なのですが、絵がとても繊細で幻想的で美しいです。
手のひらのなかの、ちいさな宝物のような絵本。
センダックの絵柄の幅の広さには、ほんとうに驚かされます。

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2007/06/10(Sun)
●W・デ・ラ・メア 著/鈴木耀之介 訳
『世界幻想文学大系36 ヘンリー・ブロッケン』(国書刊行会)
●ウィリアム・モリス 著/小野悦子 訳
『輝く平原の物語 ウィリアム・モリス・コレクション』(晶文社)

絶版の憂き目にあっていないデ・ラ・メアの邦訳作品を、できるだけ手許に置いておきたいと思っている今日この頃。
そんなわけで、『ヘンリー・ブロッケン』。国書刊行会発行の世界幻想文学大系のなかの一冊です。
ネットでいろいろと検索してみたのですが、この作品に関する情報はきわめて少なく、書評なんてひとつもアップされていませんでした。
それでとりあえず、ここに書いておきますが、『ヘンリー・ブロッケン』はデ・ラ・メアの処女長編。 内容は、主人公ヘンリー・ブロッケンがロシナンテ(ドン・キホーテの愛馬)に跨り、ワーズワースやシェイクスピア、スウィフト、ポーら、偉大な先達の創造した書物の王国を歴廻るというもの。
はっきり言って文学的評価はあまり芳しくなく、月報では矢川澄子さんが「壮大な失敗作」とまで書いています。
でも、大系本というのはやっぱりすごくて、函入りだし、月報もついているし、ボリュームのあるデ・ラ・メア論や詳細な文献目録も載っています。
意外だったのは、挿絵が付されていたことで、訳者によれば、コリンズ社版の重版本によるマリアン・エリスの絵だそうで、これがとても良いかんじ。
豪華な一冊を前にして、この作品を読むにはまずシェイクスピア、スウィフト、ポーなど古今の名作を先に読んでおくべきなんだろうな…などと、遠い気持ちになったりしています。

『輝く平原の物語』は、晶文社から刊行されているウィリアム・モリス・コレクションのなかの一冊。
装飾デザイナーでありファンタジーの始祖でもあるウィリアム・モリスは、理想の書物を追求し、自らケルムスコット・プレスをたちあげ、数々の美しい書物をこの世に送り出しました。
『輝く平原の物語』は、そのケルムスコット・プレスで最初に製作された記念碑的作品。
この晶文社版では、ケルムスコット・プレス版のウォルター・クレインによる挿絵23葉が、そっくり収録されています。
ケルムスコット・プレス版の豪華な装幀をそのまま再現することは難しいとしても、ウィリアム・モリス・コレクションは、表紙カバーにモリスの手になる壁紙のデザインが使われていたりと、 美しい本に仕上がっていて、なかなか素敵です。
じっくり読みすすめるのが、とても楽しみな一冊。

→デ・ラ・メア『妖精詩集』の読書日記はこちら
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2007/06/03(Sun)
●ウォルター・デ・ラ・メア 詩/エドワード・アーディゾーニ 絵/間崎ルリ子 訳『詩集 孔雀のパイ』(瑞雲舎)
●Hans Christian Andersen 著/Lisbeth Zwerger 絵
『The Nightingale』(North South Books)
●ピーター・トレメイン 著/甲斐萬里江 訳
『蜘蛛の巣 上・下』(創元推理文庫)

絶版の憂き目にあっていないデ・ラ・メアの邦訳作品を、できるだけ手許に置いておきたいと思っている今日この頃。
『孔雀のパイ』は、英国の子どもたちが親しんでいるデ・ラ・メアの詩に、エドワード・アーディゾーニが絵を添えた美しい詩集です。
この本は装幀が素敵で、カバーをはずした本体の表紙は、デ・ラ・メアの妖精詩にこの上なくふさわしい、幻想的なイラストで彩られています。 また本文も挿画も、栗色のインクで刷られているところなど、とても趣深いです。
余談ですが、Yahoo!オークションにデ・ラ・メアの絶版本『アーモンドの樹』が出品されていて、すごい高値がついていました。 できれば欲しい本だけど、こりゃ手が出ないなあ、などと思った次第です。

『The Nightingale』は、中国を舞台にした不思議なあじわいのあるアンデルセンの童話に、リスベート・ツヴェルガーが絵を寄せた、ペーパーバックの洋書絵本。
この童話には、英国挿絵黄金期を代表する画家エドマンド・デュラックも素晴らしい絵を寄せていて、ツヴェルガーはどんなふうにこの作品世界を表現するのかなあと興味津々。
ツヴェルガーの絵はテキスタイルのデザインがいつも繊細で素敵なのですが、この作品でも皇帝の衣装など、オリエンタルで美しい仕上がり。
川のほとりをナイチンゲールを探して歩く侍従一行を描いた一葉など、構図もはっとさせられるものばかりです。

『蜘蛛の巣』は、著名なケルト学者であるピーター・トレメインが、7世紀半ばのアイルランドを舞台に描いたミステリ。
ケルト好きとしてははずせない作品ということと、久しぶりにミステリを読むのも良いなあと思ったのとで、購入しました。
上・下巻で読みごたえがありそう、とても楽しみ。

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→デ・ラ・メア『九つの銅貨』の読書日記はこちら
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2007/05/26(Sat)
●グリム兄弟 原作/リスベート・ツヴェルガー 絵/池田香代子 訳
『ブレーメンの音楽隊』(BL出版)
●ウォルター・デ・ラ・メア 作/マクワガ葉子 訳/津田真帆 絵
『デ・ラ・メア物語集3』(大日本図書)

『ブレーメンの音楽隊』は、リスベート・ツヴェルガーの最新作の邦訳版。
数年前にわたくし管理人が興味を持ち始めた頃には、どちらかといえば入手困難だった記憶のあるツヴェルガーの絵本ですが、 近頃はBL出版さんが新作を次々に邦訳刊行してくれたり、太平社や冨山房などの既刊作品もふたたび流通しはじめており、 ツヴェルガーの大ファンとしては、まことに有難い限りであります。
最新作『ブレーメンの音楽隊』は、やっぱり素晴らしく洗練されたツヴェルガーならではの一冊で、 BL出版さんが装幀も美しく仕上げてくださっています。
アマゾンで洋書『The Bremen Town Musicians』を検索すると、「なか見!検索」もできるので、興味のある方は参考にしてください。
ツヴェルガーに関しては、当サイトのイチオシとしてきちんとコレクションしたいなあ、なんて考えている今日この頃。

カーネギー賞を受賞したデ・ラ・メアの「子どものための物語集」(Collected Stories for Children, 1947)。
『デ・ラ・メア物語集 全3巻』には、この素晴らしい本から選ばれた多数の作品がおさめられています。
今回購入した第3巻のいちばん最後に収録されている「ハエになったマライア」など、デ・ラ・メアでなければ描けない、ほんとうに魅力的な一短篇ではないかと思います。
そんなわけでデ・ラ・メアの諸作品を刊行している各版元さんにお願いしたいのが……復刊、であります。
デ・ラ・メアの美しい邦訳版の数々も、その大半が絶版の憂き目にあっているのは、あまりに悲しい、悲しすぎる!ということで、 せめて岩波少年文庫から出ていた、『ムルガーのはるかな旅』くらいは、ぜひとも復刊してほしいです!
ああ、なんでこう、これこそは欲しい! と思う本に限って絶版なのか……うう(涙)

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2007/05/19(Sat)
●ウォルター・デ・ラ・メア 作/マクワガ葉子 訳/津田真帆 絵
『デ・ラ・メア物語集1・2』(大日本図書)

「幼な心の詩人」とも評される、20世紀前半の英国を代表する詩人、幻想小説家ウォルター・デ・ラ・メア。
『妖精詩集』(ちくま文庫)を読み、その不思議な作品世界に魅せられ、デ・ラ・メアの書いた物語はどんなふうなのかと思い、ずいぶん前に購入したのが『九つの銅貨』(福音館書店)。
やっと最近になって『九つの銅貨』を読んでみたのですが……これが、わたしの大好きな作風だったのです。

めくるめく幻想の風景を描き出す、こまやかな描写。ストーリーを楽しむというよりは、美しい詩的なイメージを味わうための物語。 主人公たちは、みんな一人でいることが好きで、少し風変わりなところがあって、自分の心のなかにひろがる世界をとても大切にしていて。
そしてデ・ラ・メアの描く妖精たちの、新鮮な存在感。おそらくは日本人が知っていると思っている妖精像とはまるきり違う、ほんとうにほんものの、英国の妖精たち。

『九つの銅貨』に収録されている5篇はすべて、カーネギー賞を受賞した「子どものための物語集」(Collected Stories for Children, 1947)から選ばれたもの。
大日本図書から刊行されている『デ・ラ・メア物語集 全3巻』に、「子どものための物語集」におさめられた他の作品がたくさん入っていることがわかり、さっそく購入。
でもまだ1・2巻だけ。けっこうお値段がはるので…(^^;
津田真帆さんの挿絵も素敵で、子どもにも大人にも、ぜひ読んでみてほしいデ・ラ・メアの物語集。
第3巻も、必ず買います!

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2007/05/13(Sun)
●ターシャ・テューダー 著/内藤里永子 訳
『恋をするターシャ』(メディアファクトリー)
●フィービとセルビ・ウォージントン 作・絵/いしい ももこ 訳
『せきたんやのくまさん』(福音館書店)
●フィービとジョーン・ウォージントン 作・絵/まさき るりこ 訳
『ぼくじょうのくまさん』(童話館出版)
●マクドナルド 作/脇 明子 訳
『かるいお姫さま』(岩波少年文庫)

NHKの番組で、そのすばらしいガーデンやライフスタイルが紹介されたことから、いまや日本で一大ブームを巻き起こしている、アメリカの絵本作家ターシャ・テューダー。
わたしは近畿圏の地方都市在住ですが、近所の大手ではない本屋さんでさえ、売れ筋本の並ぶ目立つ棚に、ターシャの本がたくさんディスプレイされていたりします。
『恋をするターシャ』は、おそらくそんなブームにのって刊行された本の中の一冊。 発売は知っていましたが、『恋をするターシャ』というタイトルが、バレンタイン商品として売ることも狙ったのではと思われるキャッチーなもので、なんだかなあと思っていたのです。
ところが実はこの本は、1984年初版の『All for Love』という絵本の邦訳版で、内容はターシャ得意の詩画集。
ブレイク、シェークスピア、エマーソン、クリスティーナ・ロセッティ、イエーツなどなど、ちょっと古めかしいターシャ好みの作家や詩人たちの、美しい恋の詩に、 挿絵画家としてのターシャの力量を知ることのできる素晴らしい絵が添えられたスタイルです。
やっぱりターシャの絵は大好き、ターシャの古風なものを愛するところも大好きです。
アン・モロー・リンドバーグの「海からの贈り物」のなかに引用されていたブレイクの詩が、印象に残りました。
喜びを自分のほうに ねじ曲げる者は
翼ある命を滅ぼす
羽ばたく喜びに キスをする者は
日の出の時のなかに生きる。
ウォージントンの<くまさんシリーズ>、早速追加で購入。
『せきたんやのくまさん』のみ、石井桃子さんの訳なんですね。また、『ぼくじょうのくまさん』のみ、童話館出版から刊行されています。
あとは『ゆうびんやのくまさん』が欲しいのですが、これはクリスマスのお話なので、やっぱりクリスマスに買いたいなあと思っています。

『かるいお姫さま』は、ジョージ・マクドナルドの子ども向けファンタジー作品。
岩波少年文庫にはマクドナルドの作品がいくつか入っていますが、カバー画が少女マンガというのに違和感を感じます(マンガが嫌いというわけではなく)。 この『かるいお姫さま』のカバーは少女マンガではなかったので、安心して(?)買うことができました。
本文中の挿画は、ラファエル前派の画家アーサー・ヒューズの手になるもので、マクドナルド作品にぴったりの味わいです。

→ターシャ・テューダーの紹介はこちら

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2007/05/05(Sat)
●フィービとセルビ・ウォージントン 作・絵/まさき るりこ 訳
『パンやのくまさん』(福音館書店)
●フィービとジョーン・ウォージントン 作・絵/まさき るりこ 訳
『うえきやのくまさん』(福音館書店)
●グリム 著/リスベート・ツヴェルガー 画/池田香代子 訳
『七わのからす』(冨山房)

ウォージントンの<くまさんシリーズ>、ずっと気になっていたのですが、じっくり手にとってみると、やっぱり可愛い!
ふわふわした毛並みの、ぬいぐるみのくまさんが、「パンやさん」や「うえきやさん」として淡々と働く一日の様子を描いた、とてもシンプルな絵本。でも、これが何とも言えず良いのです。
子どもに読み聞かせる際には、「どさっ どさっ どさっ!」「ちょきん ちょきん ちょきん!」などの擬音の繰り返しが、きっと楽しいはずですし、 大人が読んでも、早起きして、一日元気に働いて、夜はぐっすり眠るという、何でもない日常がとても清々しく感じられて、癒される〜、という感じなのです。
それに、くまさんの家の雑貨や、英国式庭園の様子など、絵のディテールもとっても楽しめるんですよ(^^)
これはもう、シリーズをすべて集めなくては! と思わされてしまいました。

さて、根気づよく集め続けているツヴェルガーの絵本。今回は、比較的初期の一冊である『七わのからす』。
このおはなしにはアーサー・ラッカムやフェリクス・ホフマンも絵を寄せていて、とりわけラッカムに影響を受けたというツヴェルガーが、どんなふうに描いているのか興味があったのですが、やっぱり彼女の絵は……大好き♪
注目すべきは、しんせつな「お星さま」たちの絵で、のちの『ちいさなへーヴェルマン』に見られる「星」の表現に通ずるものがあり、たいへん興味深く感じました。
あとラッカムも描いている七わのからすたちの食事風景は、やっぱりとりあげられていて、動物たちのユーモラスな描写は、ツヴェルガーならではだなあと思いました。
派手さはないのだけれど、なぜだかコレクター心をくすぐられる、ツヴェルガーの世界なのです。

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2007/05/01(Tue)
●アイリーン・ハース 作・絵/わたなべ しげお 訳
『サマータイムソング つきあかりのにわで』(福音館書店)

『べスとベラ』ですっかり惹かれてしまった、アイリーン・ハースの夢幻的なカラーイラスト。
『サマータイムソング』では、贅沢な大判サイズで、ハースの愛らしくも幻想的な世界を楽しむことができます。
ルーシーが、夏の夜の庭で開かれる、小さな生き物たちのパーティに、魔法のぼうしで小さくなって参加するというおはなし。
子どもなら、きっとわくわくするシチュエーションではないでしょうか。
大人の目から見て印象的なのは、日本人形や、ルーシーのおばあさんの部屋の雑貨など、和風テイストが取り入れられているところ。
東洋美術を好むというハースならではのイラストで彩られた、不思議な魅力あふれる一冊。

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