〜格調高いクラシカルな絵で、童話の魅力を伝える〜
●フェリクス・ホフマン ― Felix Hoffmann ― |
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「グリムの昔話 1〜3」フェリクス・ホフマン 編・画/大塚勇三 訳(福音館書店) |
グリム童話の中から、フェリクス・ホフマンがみずから101の話を選び、美しい挿絵を付けたこのシリーズ。
全3巻で、愛蔵版と文庫版があり、わたしは文庫版を購入しました(とりあえず1のみ)。
絵本ではなく、挿絵つきの童話集で、グリム童話の奥深さをじっくり味わうことができます。 第1巻には、「ラプンツェル」「ヘンゼルとグレーテル」「灰かぶり」「七羽のカラス」など35篇が収められ、文庫版でもカラー挿絵が多数付されているのが、ありがたいです。 グリム童話は、数多くの無名の人たちによって語りつがれてきたものを、グリム兄弟が編纂したもの。 「フィッチャーの鳥」「ネズの木の話」など、多くの人々の心の結晶であるおはなしの数々は、ときに驚くほど残酷です。 人生の何たるかが凝縮されたような物語を、ホフマンの芸術的な絵が彩ります。 →Amazon「グリムの昔話」 |
「つぐみのひげの王さま」グリム童話フェリクス・ホフマン 絵/大塚勇三 訳(ペンギン社) |
美人だけれども、気ぐらいが高くて、うぬぼれやのおひめさま。
だれが結婚を申し込んできても気に入らず、相手をばかにして、からかいます。
ある時、求婚者がたくさん招かれた大宴会で、おひめさまは、あごがちょっと曲がっている、人のいい王さまを、「この人のあご、まるでつぐみのくちばしみたい!」と言って笑いました。
その時からこの王さまは、《ツグミヒゲ》と呼ばれるようになったのです。
娘のそんな態度に、腹をたてた父王さまは…。 グリム童話の一篇。バーナデット・ワッツも、同じ物語に絵をつけています。 女の子なら、ワッツの絵本が気に入るでしょうし、こちらホフマンの絵本は、古典的な雰囲気が何ともいえず素敵。正統派の一冊、といった感じです。 ホフマンの、描きこみすぎないのに、多くを物語ってくれる、芸術的な絵。 描線のひとつひとつが、物語の秘密を語りかけてくるようで、何度眺めても見飽きることがありません。 →Amazon「つぐみのひげの王さま―グリム童話」 |
「ねむりひめ」グリム童話フェリクス・ホフマン 絵/せた ていじ 訳(福音館書店) |
なかなか子どものできなかった王さまとお妃さまとの間に、やっと生まれた、かわいらしい女の子。
喜んだ王さまは、お祝いの宴会をひらきますが、その国に13人いる「うらないおんな」たちのうち、招かれたのは12人だけ。
人に運を授ける力をもつ12人の「うらないおんな」たちは、姫にひとつずつ、ふしぎな贈り物をします。
ところが宴会に招かれなかった一人があらわれて、姫におそろしい呪いをかけてしまうのです…。
有名なグリム童話の一篇を、フェリクス・ホフマンが美しい絵本に仕上げた、珠玉の一冊。 教会の壁画などを彷彿させる、格調高い雰囲気の絵が素晴らしく、ホフマンの絵本の中でも、わたしのイチオシ作品。 「おおかみと七ひきのこやぎ」と、この「ねむりひめ」は、どちらもホフマンが自分の子どもたちに贈った、手描きの絵本がもとになっています。 きっと「ねむりひめ」に描かれた、愛情あふれる王さまは、ホフマン自身の姿に違いありません。 呪いをかけるためにあらわれた「うらないおんな」から、姫を守ろうとする王さまの仕草や、 国じゅうの「つむ」が焼かれるのを見つめながら、姫を抱きしめる王さまの姿には、胸を打たれます。 なお、エロール・ル・カインも同じ原作で、『いばらひめ』という美しい絵本を描いています。 →Amazon「ねむりひめ―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)」 |
「ヨッケリなしをとっといで」フェリックス・ホフマン 絵/おか しのぶ 訳(小さな絵本美術館・架空社) |
ヨッケリ なしを とっといで表紙カバーの解説によると、この絵本は、ホフマンの「子どもたち自らが開いて楽しめる、子どもたちの手に合ったサイズの絵本を」という思いから生まれた作品とのこと。 なるほど、子どもに読み聞かせることも、子どもが手にとって読むこともできる、軽いちいさな絵本になっており、横長のちょっと変わった版型が目をひきます。 原文はスイス・ドイツ語のわらべうたで、これが日本語でも耳にここちよく訳されており、何よりホフマンの絵が魅力的。 かわいすぎず、あたたかみのある絵が味わい深く、登場するキャラクターたちの表情のゆたかさに、大人もくすりとさせられます。 (わたしは「こうし」が可愛いと思う) 原書では、表紙の色は水色ですが、邦訳版ではシックな感じの柿色になっています。 →Amazon「ヨッケリなしをとっといで―スイスのわらべうた」 |
フェリクス・ホフマンの絵本に興味をもったなら・・・
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