■月の絵本



魔法めいた月の光、きれいなお月さまを描いた絵本たち。





↓クリックすると紹介に飛びます。


「おつきさまはきっと」

「おつきさまは よる なにをしているの?」

「ちいさなヘーヴェルマン」

「パリのおつきさま」

「ハンナのあたらしいふく」

「満月をまって」



「おつきさまはきっと」

ゲオルク・ハレンスレーベン 絵/ケイト・バンクス 文/さくまゆみこ 訳
(講談社)
おつきさまはきっと (世界の絵本)
日がくれて、そとはもう暗くなりました。窓から、おつきさまが顔をのぞかせています。
今ごろ、おつきさまはきっと、野原や砂漠や海、山や草原、いろんな場所の「おやすみなさい」を、見守っていることでしょう。 そして、これから眠りにつこうとする、あなたのこともきっと。

眠りにつく子どもと、夜を見つめながら輝くまあるいおつきさまのお話を、ハレンスレーベンの絵筆が、色鮮やかに描き出しています。 原色を使っているのに、どぎつい感じはまったくありません。指でさわると厚みが感じられるような、塗りかさねた油絵具の質感に、この上ないあたたかみがあるからです。
すべてをやさしく包み込むおつきさまの眼差しを感じることのできるこの絵本は、おやすみ前の一冊にぴったり。 3歳くらいまでの、ちいさな子どもへの読み聞かせにもおすすめです。

→「ゲオルク・ハレンスレーベンの絵本」はこちら

→Amazon「おつきさまはきっと (世界の絵本)

▲トップ


「おつきさまは よる なにをしているの?」

アンネ・エルボー 作/木本 栄 訳(ひくまの出版)
おつきさまは、よる、なにしているの?
おつきさまは、ひるま、ねむっています。では、よる、なにをしているのでしょう? 実は、おつきさまの、よるは、おおいそがし。みんながねむっている間に、たくさんの、たのしい仕事をしているのです。 おつきさまの仕事って、いったいなんなのでしょう?

とても大きな絵本で、カバーをはずすと本の背の部分が布張りという、凝った装幀。 大きなページいっぱいに、エルボーの素敵でふしぎな世界が広がっています。
大胆にデフォルメされているのに品のあるアーティスティックな絵と、ファンタジックなおはなしが調和していて、 子どもへの読み聞かせにもぴったりではないでしょうか。
おつきさまの仕事というのが、ふしぎでたのしく、読んでいると心があたたかくなります。 夜を描く暗い色調に、幻想の生まれる闇が潜んでいます。おつきさまの綺麗な秋の夜長に、読みたくなる絵本です。

→「アンネ・エルボーの絵本」はこちら

→Amazon「おつきさまは、よる、なにしているの?
→セブンアンドワイ「おつきさまは よる なにをしているの?icon

▲トップ


「ちいさなヘーヴェルマン」

リスベート・ツヴェルガー 絵/テオドーア・シュトルム 作/池内 紀 訳(太平社)

ちいさなヘーヴェルマン
いたずらな男の子ヘーヴェルマンは、乳母車を押してもらうのが大好き。いつも車を押してくれる母親が寝静まった夜、ふしぎなことが起こります。 船の帆にみたてたパジャマに、ヘーヴェルマンが息をふきかけると、乳母車がひとりでに動き出したのです。 その様子を見ていた、としよりのお月さまは、乳母車で町へ出たヘーヴェルマンに、やさしく寄り添います。

ツヴェルガーの絵本の中でも、わたしのイチオシの作品。 幻想的なおはなしが、ツヴェルガーのどことなく淋しい絵と調和して、不思議な味わいの絵本になっています。
絵やテキストを縁取る飾り罫、青を基調にした上品な色使い、お月さまの秀抜なデザインなど、ツヴェルガーの魅力を堪能できる一冊。 大人にも子どもにも、きっと深い印象を残すはず。

→「リスベート・ツヴェルガーの絵本」はこちら

→Amazon「ちいさなヘーヴェルマン
→セブンアンドワイ「ちいさなヘーヴェルマンicon

▲トップ


「パリのおつきさま」

シャーロット・ゾロトウ 文/タナ・ホーバン 写真/みらい なな 訳(童話屋)
パリのおつきさま シャーロット・ゾロトウのテキストと、パリの街を美しく切りとったタナ・ホーバンのカラー写真とで構成された、写真絵本の名作。

最初のページ。ゾロトウの言葉は、ごく静かに語りかけてきます。
おかあさんとおとうさんがパリへ行くことになり、おるすばんをする「わたし」。 パリですてきなものを見つけたら教えてねと、「わたし」はおかあさんに頼みます。
次のページからは、タナ・ホーバンの写真に圧倒されます。
まずは朝日に輝く花ざかりのマロニエの木の下を、少女が遊んでいる写真に「わあきれい」とひきつけられ、 虹やセーヌ川、バゲットを抱えて歩くパリジェンヌ、次々にあらわれるパリの風景に目を奪われます。
けれどもとりわけ素晴らしいのは、やっぱり最後のページの、ゾロトウの言葉。
パリで何がいちばんすてきだったのかとたずねる「わたし」に、おかあさんはこう答えるのです。
「あなたにも ぎんいろのひかりが とどいたでしょう。
パリのおつきさまは おしえてくれたのよ
あなたが おかあさんの すぐそばに みえるって」

『パリのおつきさま』より

おつきさまから見れば、わたしたち地球上の生き物は、みんなすぐそばで、寄り添って生きている。
シャーロット・ゾロトウの、この視点の転換の自由さには、いつも感動させられます。

→「写真絵本はたのしい」はこちら

→Amazon「パリのおつきさま
→セブンアンドワイ「パリのおつきさまicon

▲トップ


「ハンナのあたらしいふく」

イツァク・シュヴァイゲル・ダミエル 作/オラ・アイタン 絵/小風 さち 訳
(福音館書店)
ハンナのあたらしいふく (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
ハンナは、ちいさなおんなのこ。おかあさんが縫ってくれた、サバスに着るまっしろい服が、嬉しくてなりません。
おふろに入り、縫いたての服を着て、しあわせな気持ちで出かけるハンナ。ところが、途中で出会ったおじいさんの、重い荷物を運ぶのを手伝ったとき、まっしろの服に黒いすみのあとがついてしまいました。
きょう、はじめてきた服なのに。悲しむハンナでしたが…。

ほんとうに心洗われる一冊。おはなしは、子どもに読み聞かせるのにもちょうど良い文章の量で、とてもわかりやすいです。
ハンナが、新しいまっしろい服を着ていることなど忘れて、おじいさんの重い荷物を運ぶのを手伝ってあげるのですが、そのときの科白が素敵。 「おじいさん てつだっても いい?」
押し付けがましくないこんな言葉、なかなか言えるものではありません。わたしもハンナを見習わなければ、なんて思いました。

そして、なんといっても美しい絵の魅力。オラ・アイタンの絵は、絵の具の質感や、色づかいが素晴らしいです。
ハンナのまっしろのあたらしい服が、最後、お月さまの銀色にひかりかがやく様子など、銀色に塗られているわけではないのに、ほんとうに銀色にひかっているように見えました。
ちなみにサバスというのは、ユダヤ教の安息日のことで、ユダヤの人たちは、金曜日の日没から土曜日の日没まで、仕事をやすみ、神様のことを思いながら過ごすのだそうです。

→「オラ・アイタンの絵本」はこちら

→Amazon「ハンナのあたらしいふく (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

▲トップ


「満月をまって」

メアリー・リン・レイ 文/バーバラ・クーニー 絵/掛川恭子 訳
(あすなろ書房)
満月をまって
満月になったら、手作りのかごをハドソンに売りに行く、とうさん。 少年ははやく自分も町に連れていってほしいと、満月を待ち望みます。 とうさんから教わって、ちゃんとかごを作れるようになった時、一緒に町に行くことを許された少年は、憧れていた町で、山に住む自分たちへの差別と偏見にあうのです。

2000年に死去した、クーニー最後の作品。
今から100年以上前、アメリカのニューヨーク州ハドソンから、それほど遠くない山間で、かごをつくって暮らしていた人たちの物語です。
木々の声をきき風のことばを知る、かごつくりの人々の、貧しくとも素朴でうつくしい暮らし。 ハドソンの町の人々の偏見と差別に悩み、かごつくりの仕事が嫌になってしまった主人公の少年に、職人のひとりが言った言葉が、印象的です。
「風からまなんだことばを、音にしてうたいあげる人がいる。詩をつくる人もいる。風は、おれたちには、 かごをつくることをおしえてくれたんだ」
著者のあとがきによると、彼らがつくったかごは、博物館や民芸品のコレクションのなかに、 いまでもたくさん残っているそうです。山に住む人たちが、風の声をききながら編んだかごは、 いつまでも使える、丈夫ですばらしいかごだったのです。

父母や仲間に支えられ、やがて一人前の職人へと成長していく少年。最後に、彼は言います。  
「風が、ぼくのなまえをよんでくれたんだ」
山の木々と風の歌、かごつくりの人たちのうつくしい心が、クーニーの絵からしずかに、けれども確かに、伝わってきます。

→「バーバラ・クーニーの絵本」はこちら

→Amazon「満月をまって
→セブンネットショッピング「満月をまってicon

▲トップ



月の絵本に興味をもったなら・・・

秋の気配を感じたら、ページを繰りたい絵本たち「秋の絵本」はこちら


おすすめ絵本 Index へ戻る


■HOME