魔法めいた月の光、きれいなお月さまを描いた絵本たち。
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「おつきさまはきっと」ゲオルク・ハレンスレーベン 絵/ケイト・バンクス 文/さくまゆみこ 訳
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日がくれて、そとはもう暗くなりました。窓から、おつきさまが顔をのぞかせています。
今ごろ、おつきさまはきっと、野原や砂漠や海、山や草原、いろんな場所の「おやすみなさい」を、見守っていることでしょう。 そして、これから眠りにつこうとする、あなたのこともきっと。 眠りにつく子どもと、夜を見つめながら輝くまあるいおつきさまのお話を、ハレンスレーベンの絵筆が、色鮮やかに描き出しています。 原色を使っているのに、どぎつい感じはまったくありません。指でさわると厚みが感じられるような、塗りかさねた油絵具の質感に、この上ないあたたかみがあるからです。 すべてをやさしく包み込むおつきさまの眼差しを感じることのできるこの絵本は、おやすみ前の一冊にぴったり。 3歳くらいまでの、ちいさな子どもへの読み聞かせにもおすすめです。 →Amazon「おつきさまはきっと (世界の絵本)」 |
「おつきさまは よる なにをしているの?」アンネ・エルボー 作/木本 栄 訳(ひくまの出版) |
おつきさまは、ひるま、ねむっています。では、よる、なにをしているのでしょう?
実は、おつきさまの、よるは、おおいそがし。みんながねむっている間に、たくさんの、たのしい仕事をしているのです。
おつきさまの仕事って、いったいなんなのでしょう?
とても大きな絵本で、カバーをはずすと本の背の部分が布張りという、凝った装幀。 大きなページいっぱいに、エルボーの素敵でふしぎな世界が広がっています。 大胆にデフォルメされているのに品のあるアーティスティックな絵と、ファンタジックなおはなしが調和していて、 子どもへの読み聞かせにもぴったりではないでしょうか。 おつきさまの仕事というのが、ふしぎでたのしく、読んでいると心があたたかくなります。 夜を描く暗い色調に、幻想の生まれる闇が潜んでいます。おつきさまの綺麗な秋の夜長に、読みたくなる絵本です。 →Amazon「おつきさまは、よる、なにしているの?」 |
「ちいさなヘーヴェルマン」リスベート・ツヴェルガー 絵/テオドーア・シュトルム 作/池内 紀 訳(太平社) |
いたずらな男の子ヘーヴェルマンは、乳母車を押してもらうのが大好き。いつも車を押してくれる母親が寝静まった夜、ふしぎなことが起こります。
船の帆にみたてたパジャマに、ヘーヴェルマンが息をふきかけると、乳母車がひとりでに動き出したのです。
その様子を見ていた、としよりのお月さまは、乳母車で町へ出たヘーヴェルマンに、やさしく寄り添います。
ツヴェルガーの絵本の中でも、わたしのイチオシの作品。 幻想的なおはなしが、ツヴェルガーのどことなく淋しい絵と調和して、不思議な味わいの絵本になっています。 絵やテキストを縁取る飾り罫、青を基調にした上品な色使い、お月さまの秀抜なデザインなど、ツヴェルガーの魅力を堪能できる一冊。 大人にも子どもにも、きっと深い印象を残すはず。 →Amazon「ちいさなヘーヴェルマン」 |
「ハンナのあたらしいふく」イツァク・シュヴァイゲル・ダミエル 作/オラ・アイタン 絵/小風 さち 訳
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ハンナは、ちいさなおんなのこ。おかあさんが縫ってくれた、サバスに着るまっしろい服が、嬉しくてなりません。
おふろに入り、縫いたての服を着て、しあわせな気持ちで出かけるハンナ。ところが、途中で出会ったおじいさんの、重い荷物を運ぶのを手伝ったとき、まっしろの服に黒いすみのあとがついてしまいました。 きょう、はじめてきた服なのに。悲しむハンナでしたが…。 ほんとうに心洗われる一冊。おはなしは、子どもに読み聞かせるのにもちょうど良い文章の量で、とてもわかりやすいです。 ハンナが、新しいまっしろい服を着ていることなど忘れて、おじいさんの重い荷物を運ぶのを手伝ってあげるのですが、そのときの科白が素敵。 「おじいさん てつだっても いい?」 押し付けがましくないこんな言葉、なかなか言えるものではありません。わたしもハンナを見習わなければ、なんて思いました。 そして、なんといっても美しい絵の魅力。オラ・アイタンの絵は、絵の具の質感や、色づかいが素晴らしいです。 ハンナのまっしろのあたらしい服が、最後、お月さまの銀色にひかりかがやく様子など、銀色に塗られているわけではないのに、ほんとうに銀色にひかっているように見えました。 ちなみにサバスというのは、ユダヤ教の安息日のことで、ユダヤの人たちは、金曜日の日没から土曜日の日没まで、仕事をやすみ、神様のことを思いながら過ごすのだそうです。 →Amazon「ハンナのあたらしいふく (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)」 |
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