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□ 2008/08/31(Sun) |
●エヴァ・ビロウ 作・絵/佐伯愛子 訳 『ハリネズミかあさんのふゆじたく』(フレーベル館) ●モンゴメリ 著/村岡花子 訳『アンの青春』(新潮文庫) ●バーネット 著/龍口直太郎 訳『秘密の花園』(新潮文庫) エヴァ・ビロウは、スウェーデン生まれの絵本作家。エルサ・べスコフとの出会いがきっかけで絵本の世界に入り、1961年にはエルサ・べスコフ賞を受賞しています。 『ハリネズミかあさんのふゆじたく』は、A5判型とこぶりで、水色に白抜きのちいさなイラストというシンプルさが目をひく表紙。 見開きにも、木の葉舞い散るなかを行くハリネズミのイラストが刷られていて、子どもの手になじむ愛らしい装幀となっています。 10ぴきの元気な子どもたちの世話に大忙しのハリネズミかあさん。子どもたちに冬の靴を作ってやろうとしますが、ハリネズミは4本あし。靴は全部で20足も必要なのです! イラストは黒とピンク、黒と水色で刷られた線画の見開きが交互にあらわれ、やはりほのぼのとしたタッチが魅力的。 ちいさな動物たちのちいさな暮らしを描いたこの絵本は、エヴァ・ビロウの作品のなかでも、とりわけトーベ・ヤンソンのムーミン童話の挿絵を彷彿させます。 「赤毛のアン・シリーズ」読破計画。永遠の名作『赤毛のアン』に引き続き、シリーズ第2巻となる『アンの青春』を購入。 「赤毛のアン・シリーズ」は、主人公アンの、そして作者モンゴメリの豊かな感受性のフィルターをとおして描写されたプリンス・エドワード島の風景の美しさが魅力のひとつ。 大人になって読み返すと、そういった細部の描写にはっとさせられたりします。 『秘密の花園』は、『赤毛のアン』を読んで、わたしのなかで少女小説ブームが起こったため購入。 これも小学校の頃に読んだ作品ですが、内容をほとんど忘れていました。 再読してみると・・・感動しました。物語の運びも面白く、舞台となるイギリスのヨークシャーの自然、秘密の花園の描写も美しい! 読み継がれる児童文学の素晴らしさを、またまた感じさせられました。 主人公メアリーが両親を亡くし、一時ひきとられた家の子どもたちに、「つむじまがりのメアリー嬢」とはやしたてられるくだり、これってマザーグースだったんだなあとしみじみ。 物語の細部に目がゆきとどくようになるのは、ゆたかな世界を内包する児童文学を、大人になってから再読することの醍醐味です。 →「エルサ・べスコフの絵本」はこちら →Amazon「ハリネズミかあさんのふゆじたく」 |
□ 2008/08/25(Mon) |
●エヴァ・ビロウ 作・絵/佐伯愛子 訳 『のいちごそうはどこにある?』(フレーベル館) ●アーダルベルト・シュティフター 著/田口義弘・松岡幸司・青木三陽 訳『石さまざま(下)』(松籟社) エヴァ・ビロウは、スウェーデン生まれの絵本作家。エルサ・べスコフとの出会いがきっかけで絵本の世界に入り、1961年にはエルサ・べスコフ賞を受賞しています。 『のいちごそうはどこにある?』は、縦長の判型と、表紙の緑と赤、シンプルなレイアウトが目をひく愛らしい一冊。 ホップさんという森の妖精の大工さんが、のいちごそうという素敵な家を建て、森の仲間たちに部屋を貸し出します。楽しく暮らしていたある日、この家が・・・。 おはなしはわかりやすく、かわいらしく、子ども向き。イラストは緑と濃いピンクで刷られた線画で、ほのぼのとしたタッチ。 見開きいっぱいに迷路の絵がついているところなども子ども向きかと思いますが、エヴァ・ビロウさんのシンプルかつデザイン性を感じさせる絵は、大人が眺めてもきっと楽しいはず。 わたしなんて、実は迷路がけっこう難しくて、真剣に考え込んでしまいました(^ ^) アーダルベルト・シュティフター。リンクさせて頂いているサイト様では、けっこうシュティフターが絶賛されていて、まったく読んだことがなくて、これはいかんな〜と思ったわけですが。 で、買って読もうとしたら、むかしは岩波文庫から出ていたはずの『水晶 他三篇』が、絶版になっている!え〜そんな〜!? とにかくシュティフターの有名な一篇「水晶」だけは読まなくちゃと、この短篇が収録されている松籟社のシュティフター・コレクション『石さまざま(下)』を購入したのです。 そしたら安心して、『石さまざま(下)』は積ん読状態のままとなり、『赤毛のアン』やらほかのものを読んでいるうち時は過ぎ・・・なんと2008年11月14日、岩波文庫の『水晶 他三篇』が重版再開! ああ・・・もうちょっと待ってれば良かった。岩波文庫は、絶版?と思っても、待ってると重版されることもよくあるので・・・。 でも松籟社のシュティフター・コレクションは、良い本です。 読んでないけど、品のあるすっきりとした装幀、良心的な価格。背の綴じ方が、平らじゃなくて、ちゃんとまるくなってるし。 もちろんシュティフターは読みます、そのうち、必ず。読まずに本だけ並べておく趣味はないので ^ ^; →Amazon「のいちごそうはどこにある?」 |
□ 2008/08/18(Mon) |
●カレル・チャペック 作/関沢明子 訳/藤本 将 画 『郵便屋さんの話』(フェリシモ出版) ●モンゴメリ 著/村岡花子 訳『赤毛のアン』(新潮文庫) 『郵便屋さんの話』は、一目見て手にとらずにいられない、とても素敵な絵本。 カレル・チャペックはチェコを代表する作家で、「ロボット」という言葉をつくったことでも有名。 童話もたくさん書いていて、兄ヨゼフ・チャペックが挿絵を手がけています。 この『郵便屋さんの話』は、フェリシモの出版リクエスト企画とのことで、「チャペック童話絵本シリーズ」として刊行されています。 ヨゼフ・チャペックや、チェコの絵本画家による作品ではなく、日本であたらしく作られたチャペック童話の絵本。 でもこれが、すごくかわいい、懐かしくてあたらしい一冊に仕上がっているのです。 とにかく装幀が凝っていて、A5判型のこぶりの絵本をおおう表紙カバーは、はずして広げると、登場人物が一同に描かれた、大きな一枚の絵に。 物語の主人公「郵便屋さんのコルババさん」の絵がレイアウトされた表紙そのものも、とてもおしゃれ。 本文の絵のバックが木目模様になっているところも、あたたかみを醸し出してなんとも素敵。 絵を描きおろした藤本 将氏は、イラストレーターであり雑貨や洋服のデザインも手がけるデザイナーとのこと。 この藤本氏の絵が、色使いといい絵柄といいチャペックのおはなしとしっくり調和していて、見れば見るほどかわいいのです。 洗練されたデザインが、おしゃれな雑貨のような味わいも感じさせるこの絵本、部屋にちょこんと飾っておきたくなる一冊です。 『Anne of Green Gables』は、2008年で出版100周年。 これを機会に『赤毛のアン』を全巻読破しよう!と思い立ち、しかし数多くの邦訳版が出版されているこの名作、誰の訳で読むべきか?と迷ったのですが、やはりここは先人の訳業を讃える意味で、村岡花子 訳の新潮文庫版を読もうと決意。 出版100周年を記念して、カバーも新しくなった改訂版が発行された新潮文庫の「赤毛のアン・シリーズ」。 子どもの頃に手にとったのは、全10巻のうちの、はじめの3巻ぐらいでしたが、ほんとうに面白く夢中になって読みふけった記憶があります。 さて第1巻『赤毛のアン』のページを繰ると、アンやアンをとりまく人々、アヴォンリーの美しい風景の魅力がわっとよみがえってきて、なつかしい友だちに再会したような喜びを感じました。 あとがきで村岡花子女史も言っているように、やっぱり『赤毛のアン』は、「航空機の時代になってもテレヴィジョンに親しみながらも失われない永遠から永遠につづく」、不滅の少女小説だなあと、しみじみ思ったことです。 →Amazon「郵便屋さんの話 (チャペック童話絵本シリーズ)」 |
□ 2008/08/12(Tue) |
●エヴァ・ビロウ 作・絵/石津ちひろ 文 『フィリッパ・ラズベリーのうた』(フレーベル館) ●チャルカ 著 『チャルカの東欧雑貨買いつけ旅日記』(産業編集センター) 『フィリッパ・ラズベリーのうた』は、久しぶりに絵本が恋しくなって購入した一冊。 ラズベリー色の表紙がかわいいこの絵本の中身は線画で、緑・オレンジ・ラズベリー色・紺色のインクで刷られた見開きが交互にあらわれます。 テキストは森のちいさな妖精たちのことをうたった童謡風の詩で、「フィリッパ・ラズベリー」というのは、ピュスリングという妖精の女の子の名前。 森の妖精、ちまちました線画、まさにわたし好み! 作者エヴァ・ビロウさんはスウェーデン生まれ。エルサ・べスコフとの出会いがきっかけで絵本の世界に入ったのだそうで、1961年にはエルサ・べスコフ賞を受賞していらっしゃいます。 またちいさな妖精たちの様子をこまやかに描いた線画の雰囲気は、トーベ・ヤンソンのムーミンの挿絵を彷彿させるところもあります。 北欧の雰囲気が味わえる、とても愛らしい絵本。エヴァ・ビロウさんの他の絵本も欲しくなってしまいました。 『チャルカの東欧雑貨買いつけ旅日記』は、チャルカのはじめての本です。 チャルカというのは、久保よしみさんと藤山なおみさん、旅友たちの女性ふたりが作った、大阪北堀江にある有名なお店、東欧を旅する雑貨店[チャルカ] のこと。 『りんごの木の村で』というチャルカ2冊目の本を読んで感動し、北堀江のお店にも行ってみて、すっかりチャルカのファンになってしまったわたし。 チャルカがはじめて手がけたこの本は、旅先へも連れていきやすいよう配慮されたこぶりのサイズ。紙のざらりとした質感、見開きの模様からも、東欧の、「ちょっとあか抜けない、懐かしい」雰囲気が伝わってきます。 はじめての本らしく、手さぐりで作られた感じ、あれもこれもと情報をつめこんだ感じがうかがえますが、そこがまさに雑貨ハンターの旅日記そのもの、とも言えそう。とても読みごたえがあります。 チャルカの本の特色はといえば、雑貨のことだけではなくて、旅先で出会った土地の人々との触れ合いが描かれているところ。 ベルリンのタクシードライバー、プラハの切手屋のおじさん、ハンガリーの市場で出会ったおばあちゃんたち。みんな魅力的な表情で写真にうつっている。 こんな写真が撮れるのって、チャルカのお二人が訪れた土地で、雑貨だけ見ているんじゃなくて、そこに暮らす人々と、心の通った交流をしているからだよね、と思う。 盛りだくさんの旅日記、かわいくてあたたかい素敵な一冊です。 →「エルサ・べスコフの絵本」はこちら →Amazon「フィリッパ・ラズベリーのうた」 |
□ 2008/07/27(Sun) |
●小関由美 著『英国コッツウォルズをぶらりと歩く』(小学館) ●les deux 著『ヨーロッパのマーケット フランス・オランダ・ベルギー雑貨とおいしいものを探す旅』(ピエ・ブックス) ひきつづき、かわいいくておしゃれな旅と雑貨の本を。 『英国コッツウォルズをぶらりと歩く』は、雑貨とは関係のない旅の本なのだけれど、はっきり言って現実逃避のために購入(^^; アンティークビジネスを手がけ、イギリス関連の書籍も多数出版している著者が、イギリスの美しいカントリーサイド、コッツウォルズ地方をウォーキングし、その魅力を紹介するという一冊。 それほど長くないテキストと、たっぷりのカラー写真がレイアウトされていて、読みやすい。 コッツウォルズはほんとうに景色が美しく、自然がいっぱいで、どこまでも見渡せる緑の丘陵地帯は、ウィリアム・モリスの物語に出てくる風景を思い出させます。 イギリスといえばマナーハウスも管理人の憧れなのですが、マナーハウスに宿泊してその周辺をゆるりと歩くというウォーキングコースも紹介されていて、なんとも優雅〜。こんな旅をしてみたいものです。 『ヨーロッパのマーケット』は、まさにかわいい旅と雑貨の本。 les deuxというのは、名古屋の雑貨店「le petit marche(プチマルシェ)」の店主である滝村美保子さんと、イラストレーター松尾ミユキさんによる、「旅とモノ」をテーマにしたユニット。 『旅のコラージュ バルト3国の雑貨と暮らし』をはじめとした書籍や、リトルプレスなど発行されていて、『旅のコラージュ』がとてもかわいくて楽しい一冊だったので、新刊『ヨーロッパのマーケット』も思わず購入。 雑貨を買い付ける仕事をしている人ならではの、観光地をめぐる旅では味わえない、ヨーロッパの市場の魅力が紹介されています。 まずはフランス、有名なヴァンヴやクリニャンクールの蚤の市にアリーグルの朝市、それからアルザスやブルターニュやプロヴァンス、バスク地方の蚤の市へと足をのばして。さらにオランダやベルギーの市場までたくさんとりあげられていて、どこも楽しそう〜。 それぞれの市場でles deuxのおふたりが掘り出してきた雑貨を紹介したページもあり、どれもかわいく、こんなの蚤の市で探すのって面白いだろうなあと思う。 ピエ・ブックスの本はどれもブックデザインが凝っていて、les deuxの本はコラージュもかわいいので、そこも見逃せない。 こういうコラージュって、やってみたいけど、かなりセンスが要求されますよね・・・。 →ウィリアム・モリスの本の紹介はこちら →Amazon「英国コッツウォルズをぶらりと歩く (Shotor Travel)」 |
□ 2008/07/20(Sun) |
●ナカムラユキ・村岡 津 著 『pieni tytto 小さな女の子の小さなケーキ屋さん』(mille books) ナカムラユキさんの著書を続けて購入。 ナカムラユキさんはイラストレーターであり、京都北白川でアトリエショップ「trico+」(トリコプリュス)を運営していらっしゃいます。 『pieni tytto』は、村岡 津さんというパティシエの女性(小さな女の子)と、彼女が開いた小さなケーキ屋さん「pieni tytto(ピエニトット)」を紹介した一冊。 まず、村岡 津さんが「pieni tytto(ピエニトット)」をたちあげるまでの道のりを、短いテキストにナカムラユキさんのイラストを添えるという、絵本仕立てで紹介。 それから村岡 津さんのケーキのレシピ。 さらに、ナカムラユキさんと村岡 津さんのおふたりが、パリに一週間滞在して、蚤の市や製菓道具屋さんなどで買い付けする様子を、写真たっぷりで綴った、旅の日記がおさめられています。 この本、とにかくブックデザインがかわいい! 表紙にレイアウトされた封蝋。その表紙裏の愛らしいテキスタイル。標題紙にはレースペーパーが使われ、レシピのページでは、黄ばんだ方眼紙にポラのケーキ写真が配されていて、そのケーキ写真のスタイリングもかわいい。あとがきページには薄緑の紙ナプキンがレイアウトされています。 パリの旅の日記の、写真の素敵さは言うまでもなく・・・。有名なケーキ屋さん『ラデュレ』の店内の様子は、まさに乙女心をくすぐります。ああ行ってみたい。 こんなに乙女なデザインでありながら、この本、ナカムラユキさんの他の著書と同じく、やはり余白が多くとられていて、情報を詰め込みすぎていないところが良いです。 「pieni tytto(ピエニトット)」(名古屋市東山にあるそうです)に行ったことはないけれど、あまりのかわいさに魅了されてしまった一冊。 →Amazon「pieni tytto―小さな女の子の小さなケーキ屋さん」 |
□ 2008/07/13(Sun) |
●ナカムラユキ 著『京都文具探訪』(アノニマ・スタジオ) 先だって購入した同著者による『パリ雑貨日記』のデザインが、何ともわたし好みだったので、ナカムラユキさんの他の著書を集めなければ、ということで入手。 ナカムラユキさんはイラストレーターであり、京都北白川でアトリエショップ「trico+」(トリコプリュス)を運営していらっしゃいます。 『京都文具探訪』は、古いもの、文房具好きの著者が、地元である京都の文具店を訪ね歩き、古くて懐かしい文房具を紹介するという趣向の一冊。 よく知らなかったのですが、文房具好きの人というのはたくさんいて、文房具関連の書籍というのもたくさんあるのですね。 この本では、著者が文具店を訪ね歩くきっかけから始まる、文房具をめぐる小さな旅のエッセイに、著者自身のイラストが添えられています。 それぞれの文具店で発掘した文房具は、たとえば蛍光カラークリップや、インク・鉛筆両用消しゴム、木製のインクの吸取器…。そんなたくさんの古い文房具たちの写真に、それぞれの製品の歴史など解説が添えられています。 あれ、よく考えたらインク・鉛筆両用消しゴムは、職場(図書館)のカウンターの抽斗の奥に眠ってるし、木製のインクの吸取器なんて、今もうちの職場では現役で活躍してるじゃん! おお、こうして見ると何だかこの文房具たちも趣深い・・・なんて。 雑貨好きの著者の目線で書かれたこの本、文房具を雑貨として見る面白さを教えられました。 →Amazon「京都文具探訪」 |
□ 2008/07/06(Sun) |
●ナカムラユキ 著『365日雑貨暦』(アノニマ・スタジオ) ●チャルカ 著『りんごの木の村で チャルカが旅したチェコのガラスボタン物語』(ヴィレッジブックス) かわいいくておしゃれな旅と雑貨の本、ひきつづき探しています。 『365日雑貨暦』は、旅とは関連のない、タイトルどおり雑貨の本なのだけれど、著者ナカムラユキさんのセンスに惹かれて購入。 先だって購入した同著者による『パリ雑貨日記』のデザインが、何ともわたし好みだったので、ナカムラユキさんの他の著書を集めなければ、と思ったのです。 ナカムラユキさんはイラストレーターであり、京都北白川でアトリエショップ「trico+」(トリコプリュス)を運営していらっしゃいます。 古いもの、文房具、パリが大好き。雑貨好きが高じてアトリエショップを始めてしまったという著者の、雑貨な日々を綴った本書。 元旦から大晦日まで365日、1日にひとつ。著者の愛する、著者の感性に触れた、すてきな雑貨たちがとりあげられています。 ポラロイド、デジカメ写真、そして描線に味わいのあるモノクロのイラストに、短いテキストが添えられて。 この本、365日ぶん雑貨がたくさん登場して、見ごたえはあるのに、なんだか余白があるんですよね。 かわいすぎない、気取らない、使い込まれた、雑貨とともにあるしずかな毎日。 ぱらぱらページを繰って眺めるだけで、じんわり癒される一冊です。 『りんごの木の村で』は、まさに旅と雑貨の本。 はっきり言ってしまうと、この本はこういうジャンルの本の中でもかなり質の高い一冊ではないかと思います。 著者のチャルカというのは、久保よしみさんと藤山なおみさん、旅友たちの女性ふたりが作った、大阪北堀江にある有名なお店、東欧を旅する雑貨店[チャルカ] のこと。 わたくし管理人も、実際にお店を訪れたことがあるのですが、おしゃれな雑貨屋さんやカフェが集まる北堀江のなかでも、際立ったお店でした。 東欧が大好き!というお店のコンセプトがはっきりしていて、東欧雑貨、東欧の文化、そこに住まい雑貨をつくり使っている人たちへの愛が感じられる。 この本はまさにそんなチャルカの、チャルカらしい一冊。蚤の市で出会ったガラスボタンから、そのボタンを作っている工房を探しあて、工房のある村に滞在。ガラスボタンの最盛期が過ぎ去った今もボタンを作り続けている人々と触れ合った、しずかな、心あたたまる旅の記録がおさめられています。 ガラスボタンを作り続ける工房のある場所は、チェコの北端ヤブロネツ・ナド・ニソウ、「りんごの木の村」と呼ばれるところ。 いままで聞いたこともなかった土地の名前。そこに暮らすガラスボタンの職人さんや、村の人々の日常生活について、彼らの言葉を織り交ぜながら、敬意をもって綴られており、何ともいえない一瞬の表情をとらえた写真とともに、人生の奥深さが垣間見えて、ぐっと胸に迫るものがあります。 旅と雑貨の本は数あれど、これはほんとうに一読の価値あり。 興味をもたれた方には、チャルカの店舗にもぜひぜひ足を運んでみてほしい、と思ってしまう管理人なのでした。 →Amazon「365日雑貨暦」 |