■ムーミンの世界

〜子どもにも、大人にも〜


このページでは、子どもの本と思われているけれども、じつは奥が深いムーミンの世界をご紹介します。 トーベ・ヤンソンの原作童話の他、トーベと弟ラルスによる漫画、トーベが描いたムーミン絵本をとりあげます。
大人の心をもしみじみと打つ、ムーミン谷への旅を、ぜひあなたも。


●著者紹介 / ●キャラクター紹介 / ●ムーミン童話
●ムーミン・コミックス / ●ムーミン絵本



●著者紹介


トーベ・ヤンソン

Tove Jansson (1914-2001)

画家、風刺漫画家、小説家、童話作家。
1914年、フィンランドのヘルシンキに生まれる。スウェーデン系フィンランド人。父は彫刻家、母は挿絵画家。
15歳以降、ストックホルム、パリなどで絵を学び、はやくから画家として活躍。雑誌の挿絵やフレスコ画などを手がける。
1948年に出版した童話『たのしいムーミン一家』が大評判となり、その後、一連の「ムーミンシリーズ」は世界中で多くの読者を得る。
1954年からはロンドンの「イヴニング・ニューズ」紙に、漫画『ムーミントロール』の連載を開始。
『彫刻家の娘』『少女ソフィアの夏』(ともに講談社)、『誠実な詐欺師』(筑摩書房)など、おとな向けの著書も多数執筆。
1958年、『ムーミン谷の冬』でエルサ・ベスコフ賞を、1966年には、国際アンデルセン大賞を受賞。
2001年6月27日、没。享年86歳。

▲トップ



●キャラクター紹介


ムーミントロール

ムーミン家のひとり息子。
こころやさしい性格。
ムーミンママ

ムーミントロールのおかあさん。
家族思いで世話好き。
ムーミンパパ

ムーミントロールのおとうさん。
冒険好きで、小説も書きます。
スノークのおじょうさん

ムーミントロールの友だち。
女の子らしく、前髪が自慢。
スナフキン

ムーミントロールの友だち。
孤独と自由を好みます。
ちびのミイ

ムーミン一家の養女。
思ったことをはっきり言う性格。
スニフ

ムーミントロールの友だち。
臆病でちゃっかりした性格。
スノーク

スノークのおじょうさんの兄。
物知りで几帳面な性格。
ミムラねえさん

ちびのミイのお姉さん。
マイペースな恋多き乙女。
おしゃまさん

水浴び小屋に住んでいます。
物事に動じず飄々とした性格。
フィリフヨンカ

数多くのフィリフヨンカが登場。
とがった鼻に細い体が特徴。
ヘムレンさん

数多くのヘムレンさんが登場。
好きなことに熱中する性格。
ニョロニョロ

物言わぬ不思議な生き物。
電気を食べて生きています。
モラン

孤独な女の魔物。まわりの
ものを凍らせてしまいます。
めそめそ

狼に憧れる小さな犬。
めそめそ、おどおどしています。
トフスランとビフスラン

へんな言葉をしゃべる、
小さな仲睦まじい夫婦。
フレドリクソン

ムーミンパパの友だち。海の
オーケストラ号を作りました。
ヨクサル

ムーミンパパの友だち。
スナフキンのおとうさん。
ロッドユール

ムーミンパパの友だち。
スニフのおとうさん。
ソースユール

ロッドユールの奥さん。
スニフのおかあさん。
ミムラ夫人

ちびのミイ、ミムラ姉さん、
スナフキンのおかあさん。
ホムサ

数多くのホムサが登場。
内気なホムサ・トフトなど。


ミーサ

原作童話とコミックスに登場。
コンプレックスが強く、悲観的。


スティンキー

コミックスに登場。
色々と悪だくみをします。




●ムーミン童話


「たのしいムーミン一家」

トーベ・ヤンソン 著/山室 静 訳(講談社)
たのしいムーミン一家 (ムーミン童話全集 2)
長い冬眠から目覚めたある春の日、ムーミン谷の仲間たちが見つけた、まっ黒いシルクハット。 そのシルクハットは実は「まもののぼうし」で、やがて次々とふしぎな騒動が巻き起こります。

はじめてムーミン童話を読むという方におすすめ、タイトル通りのたのしい一冊。 ムーミントロールたちの、明日を思い煩うことのない無邪気さや、次から次へと好奇心のままに行動するところなど、 子どもが読むと共感できて面白く、大人が読むと羨ましく感じるのではないでしょうか。
そして子どもも大人もきっと、ムーミン屋敷へ行ってみたいと思うはず。 「いつでも満員」で、「だれでもすきなことをやって、あしたのことなんか、ちっとも気にかけ」ないという、すばらしいムーミン屋敷へ。

→Amazon「新装版 たのしいムーミン一家 (講談社文庫)」(文庫)
たのしいムーミン一家」(新書)
たのしいムーミン一家 (ムーミン童話全集 2)」 (単行本)

▲トップ


「ムーミン谷の彗星」

トーベ・ヤンソン 著/下村隆一 訳(講談社)
ムーミン谷の彗星 (ムーミン童話全集 1)
彗星が地球にぶつかって、世界が滅びてしまうのではないかと、ムーミン谷は大騒ぎ。 ムーミントロールとスニフは彗星について調べるため、遠くの天文台に出発します。 旅の途中でスナフキンや、スノークのおじょうさんたちに出会って…。

「たのしいムーミン一家」より前のおはなしで、深刻でドラマティックな一冊。 子どもたちの好奇心や楽天的な性格が、危機を前にした旅さえも、楽しいものにしています。 物語の後半は、いよいよ彗星がせまり、ムーミン谷は終末的な様相を呈してきますが、 「でも、冒険物語じゃ、かならず助かることになっているんだ」というスナフキンの言葉どおり、 新しい朝を迎える、すてきなハッピーエンドが、読者を待っています。

→Amazon「新装版 ムーミン谷の彗星 (講談社文庫)」(文庫)
ムーミン谷の彗星 (講談社青い鳥文庫 21-2)」(新書)
ムーミン谷の彗星 (ムーミン童話全集 1)」 (単行本)

▲トップ


「ムーミン谷の仲間たち」

トーベ・ヤンソン 著/山室 静 訳(講談社)
ムーミン谷の仲間たち (ムーミン童話全集 6)
9編の作品がおさめられた、さまざまな味わいが楽しめる短篇集。ムーミン一家が登場する作品のほか、 スナフキン、ホムサ、フィリフヨンカ、へムレンさん、スニフを主人公にした短篇もあります。

楽しくわかりやすいお話もありますが、とりわけ印象的なのは「この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ」という一篇。
主人公のフィリフヨンカは神経質で完璧主義。正体不明の恐怖と不安に怯えています。 やがて、世界の終わりがくるという妄想にとりつかれて…。このフィリフヨンカはおそらく、心の病気なのです。 これは、子どもには難しい内容で、大人向けの作品と言えるかもしれません。
ときに自律神経失調症に悩まされることのあるわたしにとっては、とても興味深いお話でした。

→Amazon「新装版 ムーミン谷の仲間たち (講談社文庫)」(文庫)
ムーミン谷の仲間たち (講談社青い鳥文庫 (21‐6))」(新書)
ムーミン谷の仲間たち (ムーミン童話全集 6)」 (単行本)

▲トップ


「ムーミン谷の夏まつり」

トーベ・ヤンソン 著/下村隆一 訳(講談社)
ムーミン谷の夏まつり (ムーミン童話全集 4)
6月のムーミン谷をおそった、火山の噴火と大洪水。ムーミン屋敷は水につかり、ムーミン一家と仲間たちは、 流されてきたふしぎな家にとりあえず移り住みます。その家は、実は劇場だったのです!

ムーミン童話のなかでも、とっておきのたのしい一冊。
この作品では、登場人物たちが思わぬハプニングで離れ離れになり、 それぞれの物語が進行していくのですが、最後、劇場での初日興行で、すべてのプロットがひとつに集約されます。 わくわくさせられる、巧みなストーリーテリング。劇場という非日常的空間の魅力も描かれ、クライマックスはとても感動的です。 災害を悲壮感なく乗り越える、ムーミン一家の、愛すべき無知と無邪気さに癒されます。

→Amazon「新装版 ムーミン谷の夏まつり (講談社文庫)」(文庫)
ムーミン谷の夏まつり (講談社青い鳥文庫 21-3)」(新書)
ムーミン谷の夏まつり」 (単行本)

▲トップ


「ムーミン谷の冬」

トーベ・ヤンソン 著/山室 静 訳(講談社)
ムーミン谷の冬 (ムーミン童話全集 5) 雪に閉ざされたムーミン谷。みんなと一緒に冬眠していたムーミントロールは、春が来る前に、 たった一人、目が覚めてしまいます。そうして彼ははじめて、冬の世界の厳しさと美しさを知ることになるのです。

ムーミン童話の奥深さを感じることができる、うつくしい一冊。
わたしもこの本ではじめて、北欧の冬がどういうものかを知りました。太陽が、一日のうち、ほとんど顔を出さないということ。 あまりにも深い雪のこと。そして、海の氷が、春のあたたかさで割れる音。
そのきれいな顔を見つめたら、誰でも凍りついてしまうという氷姫、魔物のモラン、子りすの死とお葬式などが、作品に陰影を与えています。
けれども最後には、クロッカスの芽吹く、春が廻ってくるのです。

→Amazon「新装版 ムーミン谷の冬 (講談社文庫)」(文庫)
ムーミン谷の冬 (講談社青い鳥文庫 (21‐4))」(新書)
ムーミン谷の冬 (ムーミン童話全集 5)」 (単行本)

▲トップ


「ムーミンパパの思い出」

トーベ・ヤンソン 著/小野寺百合子 訳(講談社)
ムーミンパパの思い出 (ムーミン童話全集 3)
愛する奥さんと子どもたちに囲まれて、おだやかな日々を送るムーミンパパ。ある日、かぜをひいて気弱になっていたパパに、 ムーミンママは「思い出の記」を書くことを薦めます。乗り気になったパパは、書けたぶんだけ、 みんなに「思い出の記」を語ってきかせるようになります。若き日のパパの、冒険の数々を…。

ムーミンパパの青春時代の冒険を綴った、たのしい一冊。
この本では、ムーミンパパの知られざる生い立ちや、登場人物たちの意外な関係が明らかになり、 物語世界はさらに奥深さを見せます。「思い出の記」の劇的な展開と、パパの思い出に皆で聴き入る、 現在のムーミン一家の様子との対比が、物語を重層的にしています。

→Amazon「新装版 ムーミンパパの思い出 (講談社文庫)」(文庫)
ムーミンパパの思い出 (講談社青い鳥文庫 (21‐5))」(新書)
ムーミンパパの思い出 (ムーミン童話全集 3)」 (単行本)

▲トップ


「ムーミンパパ海へいく」

トーベ・ヤンソン 著/小野寺百合子 訳(講談社)
ムーミンパパ海へいく (ムーミン童話全集 7)
おだやかで安らげる家庭を築いたムーミンパパ。毎日が平和すぎて、物足りなくなったパパは、 ある日ムーミンママとムーミントロール、養女であるちびのミイを連れ、海へ出ます。 慣れ親しんだムーミン谷を捨て、さびしい孤島の、燈台もりになるために。

ムーミン童話の文学的な魅力が際立つ、大人にもおすすめの一冊。
この本の主役はパパで、ママとムーミントロールとちびのミイ以外には、ムーミン谷の仲間たちは登場しません。 舞台は海と燈台の島で、全体的に淋しく厳しい雰囲気をたたえています。実際にフィンランド湾の岩の島、クルーヴ・ハルで毎夏を過ごしたトーベ・ヤンソンでなければ、島暮らしをこんなふうには描けないのではないでしょうか。
語の筋はたのしい部分もありますが、登場人物の内面を掘り下げる描写が多いので、子どもより大人にとって面白い物語になっていると思います。

→Amazon「新装版 ムーミンパパ海へいく (講談社文庫)」(文庫)
ムーミンパパ海へいく (講談社青い鳥文庫 (21‐7))」(新書)
ムーミンパパ海へいく (ムーミン童話全集 7)」 (単行本)

▲トップ


「ムーミン谷の十一月」

トーベ・ヤンソン 著/鈴木徹郎 訳(講談社)
ムーミン谷の十一月 (ムーミン童話全集 8)
へムレンさんにホムサ・トフト、フィリフヨンカ、スクルッタおじさん。彼らはそれぞれ、 ムーミン谷の明るさとあたたかさを求め、ムーミン屋敷を訪れます。ところが、たのしいムーミン一家は、旅に出ていて留守。 がらんとした家の中。冬も間近の、ひっそり静まり返ったムーミン谷。そこへミムラねえさんと、スナフキンがやって来て…。

美しく澄み切った自然と、登場人物の幾重もの心のひだを描き切ったムーミン童話の最終巻は、大人にこそ、ぜひおすすめしたい一冊。
ファンタジーでありながら、魔法も不思議もなんにもない。孤独な登場人物たちは、様々な悩みを抱えて生きるわたしたちの姿そのもの。
最後までムーミン一家が登場しないことによって、幸せなムーミン谷の風景が、いっそう深く読者の心に刻みつけられる本書は、 「ポスト・ムーミン」と呼ばれる大人向けの小説群への作風の変化を予感させる、トーベ・ヤンソン渾身の一作。
ムーミン童話の真髄が、ここにあります。

→Amazon「新装版 ムーミン谷の十一月 (講談社文庫)」(文庫)
ムーミン谷の十一月 (講談社青い鳥文庫 (21‐8))」(新書)
ムーミン谷の十一月 (ムーミン童話全集 8)」 (単行本)

▲トップ


「小さなトロールと大きな洪水」

トーベ・ヤンソン 著/冨原眞弓 訳(講談社)
小さなトロールと大きな洪水 (ムーミン童話全集)
ムーミン童話の、記念すべきほんとうの第一作。
プレ・ムーミンとも呼べそうな、ごく初期に書かれたこの作品は、他のムーミン童話とは雰囲気が異なり、挿絵のムーミントロールも、顔がずいぶん細長く描かれています。

作者の序文によると、もともとムーミントロールは「風刺まんがをかくときサインがわりにつかっていた、怒った顔をした生きもの」だったということです。 戦争のさなか、仕事はいきづまり、絵をかいても暗い色調の絵ばかりになってしまった時、 「怒った顔をした生きもの」を主人公にして、「むかし、むかし、あるところに」で始まる、たのしいおとぎ話を書こうと思ったのだそうです。
不安や苦難を乗り越えて、最後にはハッピーエンドを迎えるこの作品には、作者ヤンソンさんの、つよさとやさしさが滲み出ています。

→Amazon「小さなトロールと大きな洪水 (講談社文庫)」(文庫)
小さなトロールと大きな洪水 (講談社 青い鳥文庫)」(新書)
小さなトロールと大きな洪水 (ムーミン童話全集)」 (単行本)

▲トップ



●ムーミン・コミックス


▼ラルス・ヤンソン ― Lars Jansson ―

1926年、フィンランドのヘルシンキに生まれる。
15歳のとき、冒険小説『トルトゥーガの宝』でデビュー。推理小説やピカレスク小説を発表。
姉のトーベを助けてムーミン・コミックスを軌道に乗せ、1960年から1975年まではひとりで連載を続けた。
2000年7月31日、没。


ムーミン・コミックス(全14巻)

黄金のしっぽ ― ムーミン・コミックス1巻
@ 黄金のしっぽ
A あこがれの遠い土地
B ムーミン、海へいく
C 恋するムーミン
D ムーミン谷のクリスマス
E おかしなお客さん
F まいごの火星人
G ムーミンパパとひみつ団
H 彗星がふってくる日
I 春の気分
J 魔法のカエルとおとぎの国
K ふしぎなごっこ遊び
L しあわせな日々
M ひとりぼっちのムーミン
トーベ・ヤンソン + ラルス・ヤンソン 著/冨原眞弓 訳 (筑摩書房)
ムーミン・コミックスは、トーベ・ヤンソンと弟ラルス・ヤンソンによって描かれた漫画です。
1954年、ロンドンの「イヴニング・ニューズ」紙に登場するや、たちまち人気を博し、世界中の新聞に転載されたのだとか。 1960年以降は、ラルス・ヤンソン氏が1人でさらに15年もの間、連載を続けたのだそうです。

筑摩書房から刊行されたこのシリーズは、祖父江慎氏による装丁がとても素敵で、1冊に2〜4話の作品が収録されています。 ムーミン一家をはじめ、童話でおなじみのキャラクターたちの他、 コミックスにしか登場しないゲスト・キャラクターの活躍も魅力のひとつです。
風刺漫画家でもあったトーベ・ヤンソン一流の、ぴりりとスパイスの効いたパロディが楽しめる、 コミカルでユーモラスな作品の数々は、半世紀も前に描かれたもののはずなのに、まったく古さを感じさせません。 文明に毒され、時間に追われ、くたくたに疲れきっている現代人にこそ、うったえかけてくるお話ばかりです。

ふしぎなごっこ遊び (ムーミン・コミックス) 癒しの物語として、特におすすめなのが、第12巻に収録されている「ふしぎなごっこ遊び」。 この作品は、トーベ・ヤンソンさんが自身の思い出をもとに描かれたのだそうです。
ムーミン屋敷のお隣に引っ越してきた、フィリフヨンカとその子どもたち。何事にも几帳面で堅苦しいフィリフヨンカは、 ムーミン一家のあまりにのんきな暮らしぶりを見て、ムーミンママに、お手伝いを雇ってきちんと家事をやったほうがいいと忠告します。 あれこれと悩んだ末、結局お手伝いを雇うことにしたムーミンママですが、やってきたのは、 被害妄想とも言える悲観的な考えで頭をいっぱいにしたミーサと、マスクをかぶって顔をかくした彼女の愛犬インクでした。
このミーサとインクが、楽天的なムーミン一家との交流の中で、徐々に心を開いていく過程が、とても楽しく描かれています。 臆病なミーサが「ごっこ遊び」を通して、それまでの自分の殻を脱ぎ捨て、すっかり明るく変身するエンディングは、 幸せに満ちて感動的です。

世間の常識や既存の価値観を、ユーモアを交えながら風刺し、読者の思い込みを気持ちよくひっくり返してくれる、 ムーミン・コミックス。底抜けに楽しく、しかも読み応えのある、奥深い漫画です。

→Amazon「ムーミン・コミックス

▲トップ



●ムーミン絵本


「それから どうなるの?」

トーベ=ヤンソンのムーミン絵本
トーベ・ヤンソン 作・絵/渡部 翠 訳 (講談社)
それから どうなるの? (講談社の翻訳絵本―トーベ・ヤンソンのムーミン絵本)
子ども向けのたのしい工夫が凝らされた1冊。
まず鮮やかなオレンジ色の表紙の真ん中に、丸い穴があいていて、 そこからムーミントロールとミムラねえさんの顔が見えます。 絵本を開いてみると、各ページに切り取り線があって、カッターなどで切りぬくとその穴から、 次のページの絵が少しだけ、絶妙な具合でのぞけるようになっています。 子どもには楽しい、手作りの穴あき絵本です。

ストーリーはいたってシンプル。 おつかいに出たムーミントロールが、途中で、ちびのミイを探して泣いているミムラねえさんと出会い、 ふたり一緒に、ページに開いた穴をくぐって、ミイを探しに行くというものです。
とにかく絵がかわいい! 色彩感覚も、日本人にはあり得ない鮮やかさで、そこが魅力です。

→Amazon「それから どうなるの? (講談社の翻訳絵本―トーベ・ヤンソンのムーミン絵本)

▲トップ


「さびしがりやのクニット」

トーベ=ヤンソンのムーミン絵本
トーベ・ヤンソン 作・絵/渡部 翠 訳 (講談社)
さびしがりやの クニット (講談社の翻訳絵本―トーベ・ヤンソンのムーミン絵本)
子どもだけでなく、大人の心にも響く1冊。
表紙の鮮やかでかわいい絵の中に、ぽつんとさびしげな男の子がひとり。 彼が、さびしがりやのクニットです。

ひとりぼっちで過ごす夜がこわくて、家を飛び出したクニット。 はずかしがりやで、誰にも声をかけられず、 やがて浜辺にたどり着いたクニットは、流れ着いたびんの中に、手紙が入っているのを見つけます。 それは同じようにひとりぼっちで、さびしがりやのスクルットの女の子が、助けを求めて書いた手紙。 クニットはついに勇気を出して、スクルットを守るために、海へと乗り出します。
小さなクニットの成長物語は、読者に勇気を与えてくれます。 「それからふたりは、ずっーといっしょに、しあわせにくらしました」最後の一文が、読者に希望を与えてくれます。

→Amazon「さびしがりやの クニット (講談社の翻訳絵本―トーベ・ヤンソンのムーミン絵本)

▲トップ


「ムーミン谷へのふしぎな旅」

トーベ=ヤンソンのムーミン絵本
トーベ・ヤンソン 作・絵/渡部 翠 訳 (講談社)
ムーミン谷へのふしぎな旅 (トーベ・ヤンソンのムーミン絵本)
美しい水彩で描かれた、幻想的な1冊。
平和な日常に退屈して、ごきげんななめのスサンナ。「いっそのこと、なにもかも、めちゃめちゃ世界になーれ!」 そう言ってスサンナがめがねをはずすと、めがねはすーっと消え、別のめがねが現れます。 スサンナが新しいめがねをかけてみると、見慣れた風景はすっかり様変わりしてしまいました。 猫は魔物に、森はマングローブの木の沼に、海の水もなくなって、ほんとうに、めちゃめちゃ世界になってしまったのです! スサンナは、へムレンさんやスニフたちと一緒に、ムーミン谷を探して、ふしぎな旅を始めます…。

めちゃめちゃ世界の、暗く荒れ果てた光景が、最後にたどりつくムーミン谷の明るさを際立たせています。 ムーミン谷の花畑でみんなが顔をそろえる絵は、最高に美しいです。

→Amazon「ムーミン谷へのふしぎな旅 (トーベ・ヤンソンのムーミン絵本)

▲トップ



トーベ・ヤンソンは、大人むけの小説も執筆しています
「トーベ・ヤンソンの本」はこちら

トーベ・ヤンソン挿絵のアリス!
「不思議の国のアリス」トーベ・ヤンソン 絵の紹介はこちら

「ムーミンの世界」に興味をもったなら…
「おすすめファンタジー」はこちら
「おすすめ児童文学」はこちら


いやしの本棚 Top へ戻る


■HOME