■ケイト・グリーナウェイの絵本

〜英国式庭園と古風な服装の子どもたち、絵本史上最大の人気作家〜


●ケイト・グリーナウェイ ― Kate Greenaway ―

1846年、ロンドンに生まれる。
父ジョン・グリーナウェイは彫版師。父の友人で、彫版師、印刷業者であったエドマンド・エヴァンスのすすめで、最初の絵本『窓の下で』を刊行し人気を博する。
親友であり美術評論家のジョン・ラスキンは、彼女の絵を高く評価し、『ハメルンの笛ふき』を「あなたの最良の作品」と絶賛している。
生涯独身を通し、絵本を描きつづけ、1901年、55歳で没。
絵本史上最大の人気作家であり、その業績に因んで、1956年、イギリス図書館協会が「ケイト・グリーナウェイ賞」を創設した。

→「連想美術館」ケイト・グリーナウェイのページを参照する



↓クリックすると紹介に飛びます。


「ケイト・グリーナウェイのマザーグース」

「ハメルンの笛ふき」

「窓の下で」

「The Art of Kate Greenaway」



「ケイト・グリーナウェイのマザーグース」

西田ひかる 訳/ケイト・グリーナウェイ 画(飛鳥新社)
ケイト・グリーナウェイのマザーグース
Humpty Dumpty sat on a wall,
Humpty Dumpty had a great fall.


 ハンプティーダンプティー へいにすわり
 ハンプティーダンプティー へいからおちた

『ケイト・グリーナウェイのマザーグース』より

日本でもよく知られるイギリスの伝承童謡マザーグース。ケイト・グリーナウェイのマザーグース絵本の素晴らしさは有名でしょう。
この西田ひかる訳による邦訳版は、印刷の発色が良すぎて、原書より絵の色が濃く、そのためクラシックな雰囲気が損なわれてはいるのですが、 その点を了解した上で楽しめば良いのではないでしょうか。
収録された童謡の数も多く、一篇一篇に添えられたグリーナウェイの絵の美しさは、見る者を飽きさせません。 人物の古風な服装、英国式の庭園、細部まで丁寧に描かれた雑貨や草花。 愛らしい子どもたちの姿を生涯描きつづけたグリーナウェイのマザーグースは、他の挿絵画家の追随を許さない、 独自の完成された世界を築きあげています。

→Amazon「ケイト・グリーナウェイのマザーグース
→セブンネットショッピング「ケイト・グリーナウェイのマザーグースicon

▲トップ


「ハメルンの笛ふき」

ロバート・ブラウニング 詩/ケート・グリーナウェイ 絵/矢川澄子 訳
(文化出版局)
ハメルンの笛ふき ねずみの大群におびやかされる中世ハメルンの町に、ある日、一本の笛をたずさえた怪しげな男があらわれます。
男は市会議員たちに、千ギルダーのお金とひきかえに、ねずみを町から追い払うという約束をとりつけ、世にも稀なる笛の音で、見事ねずみたちを誘い出し、川で溺れ死にさせてしまいます。 ところが市会議員たちが約束の千ギルダーを支払わなかったため、男は町の子どもたちを一人残らず、笛の音で導いて、はるかな幻の国へと連れ去ってしまうのです。

有名な「ハメルンの笛ふき」のおはなし。この絵本では、中世ハメルンの町で起きたという子どもたちの失踪伝説を、詩人ロバート・ブラウニングが美しい詩形式に仕立ててあります。 古めかしい言い回しが多く、ちいさな子どもにはわかりにくいかもしれません。ただ文章が多くはないので、絵とのバランスがよく、絵本としては一級品だと思います。
グリーナウェイの絵はすばらしく、クラシカルで、優雅で、中世の雰囲気を見事に再現しています。子どもたちが笛の音に誘われて、歌い踊りながら行進する場面の絵は圧巻。
また表紙にもなっている、幻の国で子どもたちが楽しげに遊ぶ絵は、ほんとうに夢のように美しい一葉に仕上がっています。この絵があることで、ハメルンの町の謎に包まれた不気味ともいえる伝説が、美しい妖精物語のように感じられてくるのです。

→Amazon「ハメルンの笛ふき
→セブンネットショッピング「ハメルンの笛ふきicon

▲トップ


「窓の下で」

ほるぷクラシック絵本
ケイト・グリーナウェイ 作/しらいしかずこ 訳(ほるぷ出版)
窓の下で (ほるぷクラシック絵本)
窓の下は わたしのお庭よ
 そこには あまい あまい花が咲くの
そして梨の木には
 わたしの大好きな駒鳥さんが住んでるのよ

『窓の下で』より

『窓の下で』は、こんな詩ではじまる、美しい絵本です。ケイト・グリーナウェイが自身の詩に絵をつけたもので、 この一冊の中に、彼女の独創的な世界が広がっています。
<ほるぷクラシック絵本>シリーズの中の一冊で、装幀にもクラシックで優美な雰囲気が感じられるのが嬉しいところ。
詩も絵も数が多く、それでいてどのページも充実しています。絵はすべて構図に工夫があり、細部の描写にも神経がゆきとどいています。 牧歌的な風景の中で遊ぶ子どもたちの、愛らしく古風な服装が特徴的。詩は童謡のようで、マザーグースよりやさしく繊細な印象です。
邦訳版のグリーナウェイ絵本の中では、イチオシの一冊。

※<ほるぷクラシック絵本>は、黎明期の絵本づくりの名匠・名工の技を、原本から複版し甦らせた贅沢なシリーズ絵本。 ですが、現在でも流通しているのは、ケイト・グリーナウェイ『窓の下で』と、ハインリッヒ・ホフマン『もじゃもじゃペーター』の2冊だけ。 コルデコット、イワン・ビリービン、エルンスト・クライドルフ等の美しい絵本がラインナップされているこのシリーズ、ぜひ全作品復刊してほしいものです。

→ハインリッヒ・ホフマン『もじゃもじゃペーター』の紹介はこちら

→Amazon「窓の下で (ほるぷクラシック絵本)
→セブンネットショッピング「窓の下でicon

▲トップ


「The Art of Kate Greenaway:
A Nostalgic Portrait of Childhood」

Ina Taylor 著(Pelican Pub Co Inc)
The Art of Kate Greenaway: A Nostalgic Portrait of Childhood
和書では絶版の多いケイト・グリーナウェイの絵本。彼女の絵に、もっともっと触れてみたいなと思って、アマゾンで洋書を購入。

ハードカバー、本文は英語で、画集というよりは評伝のような本です。挿絵や、おそらく他ではお目にかかれない貴重なイラストもたくさん収録されていたのですが、 文章も多くて、英語がまったく読めないわたしには、「猫に小判」「豚に真珠」とも言うべき一冊でした(^^;
この本の内容を理解できるかどうかは、今後のわたしの勉強次第…。

→Amazon「The Art of Kate Greenaway: A Nostalgic Portrait of Childhood

▲トップ




ケイト・グリーナウェイの絵本に興味をもったなら…

「ウィルビーク・ル・メールの絵本」はこちら
「ジェシー・W・スミスの絵本」はこちら
「ウォルター・クレインの絵本」はこちら
「現代絵本の源流―グリーナウェイ、クレイン、コールデコット―」はこちら
「挿絵本のたのしみ」はこちら


おすすめ絵本 Index へ戻る


■HOME