〜様式美に彩られた、香り高いロシアの絵本〜
●イワン・ビリービン ― Ivan Bilibin ―
1876年、ロシアのペテルブルグに生まれる。
画家、舞台装置家。くっきりと力強い描線、アールヌーヴォーや古い写本装飾の影響を色濃く受けた飾り枠など、非常に美しい独特の画風を築き、ロシア芸術界に新風を吹き込む。 1942年、66歳で他界。 |
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「金鶏物語」プーシキン 作/ビリービン 絵/山口洋子 訳(MBC21) |
遠い遠いはるかかなたの王国をおさめる、高名にして横暴なダドン王。
年老いて安らぎを望むようになった王様でしたが、隣国や海賊の侵略にいつもおびえる毎日。
誰かこの苦しみから救ってくれる者はいないかと、賢者を呼び寄せた王様は、金色に輝く鶏を授けられますが…。
専制政治を批判する、プーシキンの風刺に満ちた物語に、ビリービンが華麗な絵を添えた一冊。 イワン・ビリービンの絵は、アールヌーヴォーや古い写本装飾の影響を色濃く受けた飾り枠が特徴的だと思うのですが、 この『金鶏物語』は、制作年代の違いからか画風が少し異なっていて、飾り枠などはなく、そこが残念。 けれどもおはなし・絵ともに質が高く、テキストとイラストのレイアウトにも工夫があります。 王様や高官たちが着ている衣装、宮殿の壁や床などに描き込まれた模様が、ことに美しいです。 巻末にプーシキンとビリービンについての詳しい解説もあって、プーシキンの生い立ちなどもよくわかります。 →Amazon「金鶏物語」 |
「Russian Fairy Tales」Everyman's Library Children's ClassicsGillian Avery 著/Ivan Bilibin 絵(Everyman's Library) |
イワン・ビリービン挿絵の洋書です。
<Everyman's Library Children's Classics>という、子ども向けの名作童話のシリーズなので、本文の英語自体は簡単…のはずだけど、わたしには読めません。 でも、イワン・ビリービンの絵本の邦訳版はたいがい絶版で、洋書でも安価で手ごろなイラスト集というのがないので、この本はいちばんお買い得。 結論は「英語は読めないけど買って良かった〜」です。 文章も多いけれど、イラストもけっこうたくさん載っています。 絶版となっている邦訳絵本『うるわしのワシリーサ』『カエルの王女』『サルタン王の物語』のイラストが、ほぼ収録されています。 本のサイズが小さいため、必然的に大判の絵本とは迫力が違いますし、ページのすみに縮小してレイアウトされたイラストなどもあるのですが…。 ただ<Everyman's Library Children's Classics>は、布張りに箔押しの表紙という美しい装幀なので、本棚に並んでいるだけで、なんとなく満足感があります。 背表紙も箔押しで綺麗なんですよ〜(^^) →Amazon「Russian Fairy Tales (Everyman's Library Children's Classics)」 |
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