■オードリー・フォンドゥカヴの絵本

〜繊細で美しい、大人のための絵本〜


●オードリー・フォンドゥカヴ ― Audrey Fondecave ―

1974年、フランスに生まれる。フランス国立美術大学卒業後、2001年より東京在住。
インスタレーション(現代美術のジャンルのひとつで、物体や装置などを配置し、アーティストの意向に添って構成された空間を体験させる芸術)、ドローイングなどの作品を制作し、ヨーロッパや日本のギャラリーで発表。 多数のファッションブランドと積極的にコラボレーションを行う他、カルチャー雑誌『OK FRED』(リトルモア)のアートワーク、エディターとしても活躍している。



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「grain-d'aile グランデール」

「わたしのロバと王女」



「grain-d'aile グランデール」

ポール・エリュアール 作/オードリー・フォンドゥカヴ 絵/須山 実 訳(エクリ)
grain-d'aile グランデール
とてもかるいという意味の「グランデール」と名づけられた女の子。木の上に飛び上がり、小鳥たちに寄りそって、おしゃべりを聞くことができました。
けれど小鳥たちとは違って、つばさを持たないグランデールは、ただかるいだけ。自由に飛ぶことはできないのです。
大きくなることは、つばさが生えてくることだと思っているグランデールは、毎朝、鏡に映した背中を調べ、「わたしちっとも大きくならないわ」とつぶやくのでしたが…。

この絵本は、シュールレアリスムの詩人ポール・エリュアールがのこした唯一の童話に、東京在住のフランス人女性アーティスト、オードリー・フォンドゥカヴが絵を寄せた一冊。
表紙の色彩だけ見ても印象的な絵本ですが、オードリー・フォンドゥカヴの絵がとても美しい。
透明感のある色彩、軽やかなタッチ、画面構成もしゃれている。ぱらぱらとページをめくって、この澄んだ色を眺めているだけでも心地好い。
詩人としてのポール・エリュアールをよく知らないのですが、翼をほしがる少女グランデールのおはなしを、幼い娘に語り聞かせるというテキストが、またなんとも素敵です。
今夜、きみにこのお話ができてよかった
わたしの思いをこんなにもゆたかにしてくれて
きみのひとみに信じることのかがやきをやどすこの物語を

『grain-d'aile グランデール』36ページより

→Amazon「grain-d'aile グランデール

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「わたしのロバと王女」

オードリー・フォンドゥカヴ 物語・絵/内田也哉子 文(ピエ・ブックス)
わたしのロバと王女
遠い昔あるところに、ひとりの王様がおりました。王様には麗しいお妃と、可憐な王女、心に平和をもった国民がおり、幸せな、争いのない世界がありました。
ところがある日、お妃が不治の病に倒れ還らぬ人となり、お妃を思い出すことに耐えられなかった王様は、母に似た王女を、宮廷から離れたところで生活させるよう命じます。
幾度か季節はめぐり、王様は広大な敷地の片隅で、息をのむほど魅力的な女性に出会います。王様はすぐにでもこの女性と結婚したいと望みましたが、その女性こそ、自らが追いやった王女に他ならなかったのです…。

『わたしのロバと王女』は、オードリー・フォンドゥカヴの絵本画集。
ペローの童話『ロバの皮』からイマジネーションを広げ、展覧会のためのアートワークの一環として作られた物語を、絵本『ブローチ』のテキストでも知られる内田也哉子が日本語に置き換え、書籍化したものだそうです。
装幀が凝っていて、表紙はピンクのフラミンゴが刷られた手触りのある紙に、金の箔押しでロバが描かれ、透明カバーがかけられています。見返しの片隅には仔山羊の絵、標題紙にピンクの花をかたどった紙が挟み込まれています。
おはなしは、なんとも切なく、『ロバの皮』に「ノアの方舟」のモチーフも融合した、奥深いものになっています。

→渡邉良重 絵/内田也哉子 文『ブローチ』の紹介はこちら

→Amazon「わたしのロバと王女

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