■いつも「いやしの本棚」を見てくださっている皆様へ


「ぼくたちはいいすぎることにためらいを覚える」と、
『指輪物語』のメリーが言ったように、わたしにも何も言えないと思ったけれども、
でもやっぱり、このたびの地震で、災害の影響を受けた方々に、心より、お見舞い申し上げます。
近畿地方在住のわたしは、大丈夫です。大丈夫なわたしに今できることは、
このサイトをいつも見てくださっている皆様が、いつここを訪れてくださってもいいように、
普段と変わらず更新を続けていくことだと考えています。
ひとときだけでも、ほんの少しだけでも、ここでほっとしてもらえるとしたら、幸いです。

2011年3月19日


「希望」は羽根をつけた生き物――

魂の中にとまり――

言葉のない調べをうたい――

けっして――休むことがない――


そして聞こえる――強風の中でこそ――甘美のかぎりに――

嵐は激烈に違いない――

多くの人の心を暖めてきた

小鳥をまごつかせる嵐があるとすれば――


わたしは冷えきった土地でその声を聞いた――

見も知らぬ果ての海で――

けれど、貧窮のきわみにあっても、けっして、

それはわたしに――パン屑をねだったことがない。


詩:"Hope" is the thing with feathers ― [254; c. 1861]
エミリー・ディキンソン 著/亀井俊介 編
『対訳 ディキンソン詩集―アメリカ詩人選(3)』(岩波文庫)

絵:ジョン・エヴァレット・ミレー
「盲目の少女」(1856年・バーミンガム市立美術館収蔵)



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